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アカネぼんはトマトが大好きだぼん。幼いときに父を亡くし、母子家庭で育ったせいもあって、意外と家庭的な一面も持ち合わせいるんだぼん。意外と家事は得意ぼん。だけど、どんな料理にでもトマトを入れてしまうのは、あんまり良くないことだぼん。真っ赤っかだぼん。寝るときは冬でもタンクトップらしいぼーん。
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アオトぼんはクールだぼん。だけど、ちょっと天然なところがあるぼん。サバが好きらしいぼん。刀型ドライバで綺麗に捌いてみせるぼん。サバへのこだわりが尋常じゃないぼん。サバにはオメガ3脂肪酸が豊富に含まれているぼん。だから、きっとアオトぼんは不健康そうにみえて、健康第一に決まっているんだぼーん。
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ミドリぼんはいつも走ってるぼん。基本的に突っ走ってるぼん。走り続けてなきゃ死んじゃう生物みたいだぼん。さすがに寝るときは止まるぼん。だけど、夢の中では走り続けているぼん。夢の中のミドリぼんは時速65kmだぼん。キュウリだけ食べているくせに、よくそんなパワーが出るなぁと感心するんだぼーん。
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ヒカリぼんは、ぼんきゅっぼんだぼん。色々なところがぼんぼんしてるぼん。きゅっともしてるぼん。いつもキラキラ笑顔が可愛い子だぼん。だけど、その笑顔の裏には闇があるぼん。それは周知の事実だから、触れたくない人は触れないぼん。優しい友達は触れるぼん。抉るぼん。だけど、それも友情の形なんだぼーん。
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ユカリぼんはナスだぼん。間違えたぼん。ナスが大好きぼん。猫も大好きぼん。いつか猫と一緒にナスを食べたいと思っているぼん。だけど、猫にナスは食べさせちゃ駄目ぼん。ここだけの話、ユカリぼんは飼い猫にあだ名をつけているらしいぼん。ふたりきりのときにだけ、その名前で呼ぶらしいぼん。気になるぼーん。
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ギンジぼんはよくわからないぼん。無ってなんだぼん。そんな概念の話をされても困るぼん。乱暴そうにみえて、意外と友達思いらしいぼん。あと、残念な恋をしたことがあるらしいぼん。残念な奴だぼん。だけど、それでもギンジぼんはめげないぼん。そういうところが、きっとギンジぼんの良いところなんだぼーん。
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一人の魔物は、世界の為に竜になった。一人の妖精は、世界の為に神になった。そして一人の男は、人間であり、ただの広報だった。人間が広報になったのか、広報が人間になったのか、その答えはみんな知っている。人間であり、広報であるミスター☆ヒスインが存在していた。彼は、二人とはまったくの無関係だった。
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ここは多種多様なぼんが出現するとされるぼんの聖地だぼん。いわゆるぼんの国だぼん。ここではみんながぼんだぼん。本人とぼんとの関係はまだ解き明かされていないらしいぼん。別にいまのままでも困ることはなにもないぼん。気にしたら負けぼん。
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集められた六聖人。それじゃあ、今回の件のそれぞれの見解を聞こうか。ダンテが口にしたのは、世界の均衡について。たったふたつの世界が強く結ばれようと、我々はただ、来るべき日を待てばいいだけだ。それが、この席についた俺の仕事だからな。
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ひっくり返った椅子の上、あぐらをかいていたヨハンは、口をあけたまま斜め上を見つめていた。だから、僕は興味ないんだって。争いの果てを見たいだけ。それより、各世界の郷土料理を混ぜ合わせたらさ。そこでヨハンの番は打ち切りとなった。
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各世界の代表が不在のいま、意思をひとつにまとめるのは難しいでしょう。ですが、初めからひとつになどなっていなかった私たちからすれば、なにも変わりません。ただ世界の決定に従い続けてさえいれば、災厄は回避出来るんじゃないでしょうか。
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もう、本当に議論になんないわね。ジャンヌは各者の変わらない顔色を伺おうともしなかった。もし、世界の決定が覆ったとしたら。それは誰かの裏切りを予期しての言葉。アタシらの中で、誰も裏切らないなんて保証は、どこにもないんだからさ。
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未だに竜界の正式な王は不在です。だが、古神殿の玉座には紅煉帝が腰を下ろしていた。彼らの真意は計りかねますが、もしあの両世界に加担したとしたら、それは世界の決定が覆ることになりかねません。シオンは妹として、複雑な想いを抱いていた。
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そして、議長が最後に問いかけたのは無聖人。君が一番危ない存在だって、皆気づいてるんだよ。だって、彼は君の。だが、その言葉を否定する無聖人。俺はすべてを捨て、この席にいる。そう、俺には息子も娘もいないんだ。世界の決定は覆らない。
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元気にしてるか。ヒスイが訪ねたのは弟弟子の病室。兄さんは、彼を受け入れるつもりじゃないよね。開口一番にそれかよ、可愛くねぇな。詰まる言葉。言ったろ、俺は俺らしくやらせてもらうって。張り詰めた空気。だから、あとのことは上手くやってくれよ。創竜神ヒスイの去りゆく背中は、いまも大きなままだった。
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俺はオマエを、そんな風に育てた覚えはないぞ。死刑執行人の学園長室、呼び出されていたのはフレイムタンだった。俺は俺の思うがままに動いたまでだ。偉そうに胸張ってんな。学園長の鉄拳制裁。少しは加減しろよ。うずくまる小さな体。だが、今回は特例だ。退学代わりに炎魔刑者は一等悪魔へ昇格したのだった。
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古ぼけたストーブにパイプベッド。ボロボロの毛布は投げ捨てられた。こんな日が来るって、わかってた。去りゆく背中へと声をかけた燃恋乙女。もう一度、彼に会いに行くんだよね。氷魔刑者アイスブランドは常界へ。それじゃあ、行ってらっしゃい。そこに不安はなかった。大丈夫、私はあなたを信じているから。
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あの、失礼します。風魔刑者ウィンドピアが訪れたのは真嵐隊の隊長室。開かれたドアから吹き抜ける風。本日から研修にやってきました、って、あれ。そこに気配はなかった。いったい、どういうことなんでしょうか。なびくカーテン。風が答えてくれる、ってことさ。乗せられた声。彼女は今後が不安で仕方なかった。
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僕は君が大嫌いだった。魔界の共同墓地に揺れる二等悪魔のコート。だけど、君がいたから僕は強くなれた。真閃魔将は亡き友への想いを吐露していた。くっくっ、作戦成功。そんな姿を楽しげに見つめる光愛者ライトブレード。もぅ、いつまでたっても悪戯っ子なんだから。訪れたもうひとりの友。昔の俺は死んだのさ。
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よく働いてくれたな。ダークサイズを褒め讃えた学園長。別に、俺はたいしたことしてません。そして与えられた一等悪魔への昇格。オマエが影で働いてたのを俺は知っている。だから、もっと胸を張れって。問題児ばかりの死刑執行人学園で、彼のような生徒は珍しかった。そこで俺から、ひとつ提案があるんだ。
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その格好、どうしたのさ。言い渡された破門。こうなることを望んでいたのかもしれません。すでに一等悪魔同等の力を得ていたムミョウガタナ。これからの私は、名もなき浪士です。そして、そんな彼の理解者がいた。それじゃあ、私たちで大義の誠を貫くとしようか。極東国、そこにはふたりの始まりが存在していた。
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古神殿の王の間をひとり訪れたヒスイ。なんだ、お別れの挨拶でもしにきたのか。玉座から動くことなく、ヴェルンはヒスイを見つめる。おい、そんな警戒すんなって。その言葉はヴェルンを守るように刃を構えた裏古竜衆へと向けられていた。
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弟君を傷つけられた復讐かな。問いかけるファブラ。それはまたいつか、な。歩みを止めないヒスイ。それなら、我らが紅煉帝へと反旗を翻すつもりかな。挑発するファブラ。そんなことして、俺になんの得がある。そして、ヒスイはヴェルンの眼前へ。
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早くそこどけよ。ヒスイが睨みつけたのは棍を構えたウロアス。止めとけ、この男は歴代の古竜衆とは訳が違う。制止したヴェルン。あぁ、俺も無駄に争いたくない。だから、聞かせてもらおうか。それは先の聖戦の結末に現れたヴェルンの意図だった。
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ニズル、説明してやれ。あのとき、世界を見渡す鏡が映し出したディバインゲートの解放という災厄。そして、それは世界の決定のうえでの出来事だったということ。だから、勘違いすんじゃねぇぞ。俺は、あいつらの為に出ていったわけじゃない。
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俺の目的の為、あいつらにはひとつになってもらわなきゃいけなかっただけさ。余裕の表情を浮かべるヴェルン。その目的を言えと言ってるんだ。落ち着いたヒスイ。きっとオマエの思っている通りさ。だが、やり方が違う。そう、これが俺のやり方だ。
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自室でひとり、うかない顔をしていたシオン。私は選ぶことが出来るのでしょうか。シオンの脳裏をよぎる世界の決定。そして天秤にかけられたのは故郷であり、兄であり、家族。きっと、私は私を許すことが出来ないでしょう。だから、今回だけは。
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俺は認めることは出来ない。それはヴェルンが竜界の王であるということ。だけど、あいつらのことを頼ませてくれ。ヒスイがついた膝と下げた頭。そんな姿、見てもつまんねぇーよ。だから、さっさと行ってこい。こうして、ヒスイは竜界を後にした。
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ドロシーに手渡された絵本。そこに記されていたのは、温もりを求めた姿かたち様々な四体。この物語に彼は出てこないんだ。だけどね、君たちのそばには大切なお父さんがいたはずなんだ。大勢に嫌われながらも、家族だけは想い続けたオズという一匹の火竜。彼のそばにいてあげられるのは、やっぱり君たちなんだよ。
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ねぇ、君はいまどこにいるの。聞こえた悲痛な叫び。ねぇ、君はいまなにしてるの。続ける聞こえないフリ。ねぇ、みんな待ってるんだよ。もどかしい思い。ねぇ、だから早く帰ってきてよ。思い出すあたたかな日々。ねぇ、君がいなきゃ駄目なんだ。
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季節が変わるたびに用意されていた洋服。そして、そんな洋服が用意されなくなってから、いったいどれだけの季節が流れただろうか。常界に近づいてきたのは雪降る季節の足音。トトの寝床には、誰かの匂いの染み付いた洋服が敷き詰められていた。
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いつも思い出すのは真っ赤に燃え上がった教団崩落の日の炎。あのとき感じた懐かしさ。カカシはただ、新たな居場所を守り続けていた。いつか、誰かが帰ってこられるように。いつか、炎をまとい、帰ってくる魔法使いの為に、守り続けるのだった。
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その日、事件は起きた。なんと、修復中も不動間から出なかった炎杖刀が、その場所から姿を消したのだ。だが、なぜ姿を消したのか。それは彼によく似た少女の行動を見れば一目瞭然だった。彼に似たジャージに、彼に似たゴーグル。そして、彼に似た杖刀型ドライバ。そう、ヒナギクが彼を探し回っていたからだった。
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えっ、ウチは妹なんかじゃないですよ。火杖刀ヒナギクは語る。小さな頃、命を助けてもらったんです。それで、あの方のように強くなりたくて。あの方は、礼も聞かずに去ってしまいました。そして噂を辿り、入学を果たした精霊士官学校。だが、炎杖刀の活躍など、彼をよく知るもの以外、信じるわけもなかった。
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あの日、自らに架した枷。この翼は、空を飛ぶ為ではなく、皆を運ぶ為に使うと。レオンが皆を運びたい先は、家族が寄り添いあっていた、あたたかな日々。だが、レオンは前を見つめていた。過去にすがるのではなく、もう一度、あの日々を求めて。
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私にとって、彼らは、彼は本当の家族だった。それはいまも変わらない。みんな、待っているんだよ。だから、ドロシーは探し続ける。みんな、信じているんだよ。だから、ドロシーは探し続ける。いつだって、あなたの居場所は、私たちなんだから。
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少し剥がれた塗装。塗りなおしてあげようか。ボームの提案に対し、首を横に振るブリキ。君に心が生まれるなんて、やっぱり彼の魔法は出来損ないなんかじゃなかったんだ。ううん、少し違うね。君たちにとっては、特別な魔法だった、ってことかな。
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いまも全員が肌身離さず大切に持っていたのは、何気ないある日の家族の思い出の切り取られた1ページ。そして、いまも全員が肌身離さず大切に持っていたのもまた、小さくて、大きな共通したひとつの想いだった。思い出なんかで終わらせない、と。
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ねぇ、まだなのかしら。創水神シグルズが見つめた常界。早く会いたいのよ。染まる頬と、上がる息。あのときよりもね、ずっとイイ男になったのよ。染まる頬。あぁ、楽しみだわ。閉じた瞼に浮かべた光景。そうよ、苦痛に歪む、彼の顔が。今度は、どうしてあげようかしら。磨がれた刃。もう一度、奪ってあげるわ。
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未だ各世界の自由移動は解禁されないまま、時間だけが過ぎていく。だが、それでもラスティはとあるルートを経て、常界へと降り立っていた。おさまることのない二次災害。どうして。聖戦は終結したはずなのに。そして、もうひとつの新たな疑問が生まれていた。なぜ、被害は最小限で食い止められているのかしら。
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世界を統べる者が不在の常界はいま、世界評議会に残った有志たちにより運営されていた。だからといって、こんなに上手くいくわけはない。水砕卿ラスティが辿る違和感の足跡。これ以上は、知らないほうが身のためですわよ。滴り落ちた雫。あなたは、いったい誰に仕えているのかしら。いまも昔も、変わりませんわ。
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天界の深い森がかき消したのは、中に建てられた小さな小屋の扉を叩く音。やっぱり、来るんじゃないかと思ったよ。ニミュエが出迎えたのは、俯いた精参謀長。私はあなたの動きを知ってた。だけど、止めることは出来なかった。そう、彼女達を追放したときのように。だから、私はいまからでも、もう一度始めたいの。
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私は私に出来ることがある。そして、あなたにも、あなたにしか出来ないことがある。翠妖精ニミュエが触れたヴィヴィアンの前髪。だから、少しでも前を向いて。後悔を、後悔で終わらせたらいけない。そんな簡単なことを教えてくれたのは、息子、娘のような存在たち。だから、私たちは大人として、ケジメをつけよ。
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天界ののどかな水砕館には、たびたび物騒な依頼が舞い込んでいた。ここに来たってことは、他言無用ということですね。行われた取引。私たちは歪な象徴。だけど、君たちがいなきゃ困る世界だってあるんだ。裏側にも、裏側の想いが存在していた。
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聖戦は終わり、少しずつ平穏を取り戻しはじめた統合世界。それは、常界も例外ではなかった。各地の二次災害は鎮火の一途を辿る。だけど、どうしてこんなにすんなりと。そしてまた、その対処と平穏に、不吉な予感を感じずにはいられなかった。
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その不安な予感は的中した。突如、発令された避難勧告。常界を襲う複数の災厄。彼らに、緊急対応指示を。各地に散っていた円卓の騎士たちは、その災厄の対処と原因調査へ。きっと、僕も同じ気持ちだよ。最近の平穏に、嫌な予感が止まらないんだ。
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常界を襲った災厄の数は六つ。あのときよりも、被害規模が大きいわね。かつて、神才により創られし子たちが引き起こした災厄、常界の被害は三箇所。やっぱり、今回も彼女たちが。だが、その災厄に近づけば近づくほど違和感は大きくなるのだった。
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大丈夫、きっとこの災厄はどうにか収まるはずです。マリナには確固とした自信があった。そして、そのときこそ、わたくしがここにいる意味を果たさなくてはなりません。そう、こうなることを望んでいたんです。いまこそ、わたくしたちの好機です。
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レオラが向かったのは炎の災厄。ここは私が対処します、住民はすぐに避難して下さい。思い返すのはアカネと再会を果たした日。だけど、今回は違うみたいですね。レオラは辿り着いた災厄の正体に怒りを隠せずにいた。私はこの日を待っていました。
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オレはアンタのこと、認めないね。アスルがあらわにした怒り。だから、さっさとくたばれ。力任せに振り回した鎚。生まれた因縁は、ひとりの君主の為に。そして、水の災厄は、離れ離れになっていた二人の水の運命を手繰り寄せようとしていた。
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ひとりの男は、ただ見つめていた。起きた災厄と、奮闘する人々を。その男は、ただ耳を澄ましていた。悲鳴と、歓声へ。その男は、ただ感じていた。世界の痛みと、世界の愛を。その男は、ただそこにいた。常界から遠く離れた神界の玉座に男はいた。
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あぁ、俺に名前はない。アインが捨てたのは「W」の一文字。だから、もう一度生まれ変わってやるさ。あの日、彼が憎んだのはたったひとり。それと、借りを返さなきゃなんないからな。すっきりとした表情で、災厄へと向かう。そうさ、俺は俺の居場所を見つける。俺は俺という人間だということを、証明してやるよ。
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もう、涙は流れない。ツヴァイが捨てたのもまた、「X」の一文字。世界には悲しいことがいっぱいなのかな。だとしたら、僕はそれを受け入れるよ。存在していなかった少年が自覚した存在。僕は僕なんだ。否定された過去と、塗り替えられた現在。僕がここに来たのは、災厄を起す為なんかじゃない。止める為なんだ。
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見つめていたのはある日の写真。幼き自分と、兄と、その幼馴染の少女、金髪の少年。そんな四人に優しく寄り添う亡き母は左端に。破りとられた右端。どすん。暖炉から聞こえた賑やかな音。いつも、ごめんな。私は、いつだってお兄ちゃんの味方だよ。聖鐘女イヴは、準備をすました兄を見送ることしか出来なかった。
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燃え盛る炎を、さらに燃え上がらせたのは対する炎。そんな炎が消えたとき、立っていたのはあのときと違う笑みを浮かべたアインだった。そして、笑顔を捨てたアインとレオラ、ふたりが共に睨みつけたのは、漆黒の喪服に身を包んだスルトだった。
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シグルズへ鎚を振り上げたアスル。だが、そんなアスルを押し戻した流れ。んだよ、邪魔すんな。感謝して欲しいね、君があのまま飛び込んだら、水の刃で串刺しだったよ。そこには、かつての水害を引き起こした張本人であるツヴァイがいたのだった。
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すべて世界の決定だ。スルトが放つ炎。人間がいくら足掻こうと、決して覆ることはないんだ。だったらそれを覆したら、俺は人間だって証明になるな。足掻くアイン。これがあの人の意思だっていうんですか。レオラは想いを刃へと乗せるのだった。
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うふふ、ふたりとも可愛いわね。シグルズは美味しそうに舌なめずりをした。そんなシグルズに飛び掛るふたり。複数プレイも大歓迎よ。でもね、アタシが会いたいのはアンタたちなんじゃないわ。だから、あの子が来るまでの時間だけ相手してあげる。
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私は認めない、これがあの人の意思だなんて認めない。これはなにかの間違いです。だが、レオラの刃が届くことはない。この決断が、本当のあの人なんでしょうか。剣を持つ手は震える。本当にあいつを好きなら、こんなことで動じてんじゃねぇって。
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オレが会いたいのも、アンタなんかじゃない。アスルが見つめ続けているのは、たったひとりの王。いま、アイツはどこにいるんだ。そんなこと聞いて、どうするのかしら。んなの決まってんだろ、殺しに行くんだよ。それはまた、別の男の声だった。
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朝、目を覚ますと枕元には赤い衣装が置かれていた。つまり、そういうことか。汗ばんだ肌をシャワーで流すと、白いシャツへと着替え、無造作にかけられていたコートに手を伸ばし、いざ商店街へ向かうアーサー。俺はあの日特別なプレゼントをもらった。だから、今度は俺の番だ。そう、今日は俺がサンタクローズだ。
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サンタクローズはサンタクローズであるにもかかわらず、なぜ自分がトナカイの格好をしているのかわからなかった。そして、さも当然のようにトナカイを迎えに来たのは赤い衣装に身を包んだ幼馴染。そして、ひとつだけ本能的にわかったことがあった。俺はいま、この格好をさせたヤツをブッ殺したい。いや、本気で。
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ふふ、みんなびっくりするかな。エリザベートは届けられたリボンを身にまとっていた。だけど、私なんかがプレゼントで、喜んでもらえるのかな。招待状を手に、向かった先はとある王都。きっと、みんなも集まってくるんだよね。そう、今日は常界では年に一度のクリスマス。そして、大切な幼馴染の誕生日だった。
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空を見てみな。今日はオレとキミのために、星も祝福してくれてるよ。ライルはカウンターで左に座った女性へと愛の言葉を囁いていた。だけど、どうしてあなたも星なのかしら。グラスに映った自分の姿に驚愕。とりあえず、クソ神をブッ殺してくる。そして大剣に手を伸ばすも、なぜかそこには大きなチキンがあった。
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いーっぱい飾り付けちゃおっ。イヴはツリーに扮し、沢山の飾りを施していた。やっぱり女の子はオシャレしなきゃ。だが、気になることがひとつ。お兄ちゃんも、仕事してないみたいだけど、本当に大丈夫なのかな。彼女の元に届けられた招待状に記載されていた言葉。今年は仕事を忘れ、盛大に楽しもうじゃないか。
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飾りの施された王都でひとり待っていたロキ。やぁ、ボクからのプレゼントは楽しんでもらえたかい。だが、彼に集まったのは情況を理解出来ないでいる視線と、殺意むき出しの視線だった。今日は年に一度の特別な日、だからみんなに楽しい一夜の夢を見せてあげよう。そして、次の瞬間、王都は決戦場へと変わった。
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12月24日から25日へと変わる午前0時、その出来事は起きた。雪降る王都、神の悪戯。これは夢か現実か。そんなの、どっちだっていいじゃないか。ボクはただ、みんなで楽しいことをしたいだけなのさ。こうして、悪戯なクリスマスは始まった。
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隣にはロアがいた。悪い、遅くなっちまった。仲間の応援、剣を握る手に再び力を取り戻したレオラ。俺もきっと、同じなんだろうな。なにを考えているかわからない、そんな俺たちの王サマに恋してたんだ。だからきっと、あいつには理由があるんだ。
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交わる二本の剣と大剣。あら、せっかちな子ね。テメェ、いいとこ取りすんなっ。アスルが振るう鎚。ふたりの久しぶりの再会に喜びの声はなく、目的は違えど同じ男を見つめていた。アンタたちと同じで、アタシもアンタたちじゃないのよ。ほら早く。
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で、理由ならこいつにもあるみたいだぜ。ロアと共にいたのはアカネ。常界の始まりの地で知った、聖なる扉の在り方。俺は絶対に、お前だけは許すことが出来ない。例え、いまがこの世界の在るべき姿だとしても。その胸には沢山の炎が宿っていた。
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もぉ、あの子はまだなのかしら。シグルズは待ち焦がれていた。だって、ここにはあの子の会いたい彼がいるじゃないの。人知れずに解決されていた災害。その対処をした正体。ほら、やっぱり彼に会いに来たのね。そこには二刀を構えたアオトがいた。
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人間がいくら束になろうと、神に救いを求めることしか出来ないのだ。スルトの刃が切り裂かんとする未来。俺は壊すんだ、この時計仕掛けの世界を。その為に、聖なる扉を。アカネは、あの頃からひと回りも、ふた回りも大きくなった拳を握り締めた。
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みんな、久しぶり。アオトが一瞬みせた笑顔。だけど、再会を喜んでいる暇はなさそうだね。会いたかったわ、アオトちゃん。僕も、君にはもう一度会いたかったよ。だけど、いま僕が会いたいのは君なんかじゃない。だから、僕たちの邪魔をしないで。
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アイツはいま、どこにいるんだ。アカネはスルトのさらに後ろを見つめていた。そうか、真実を知ったというのだな。ふたりの間にだけ通じた言葉。いくら足掻こうと世界の決定は覆らない。そして、その裏側ではとある準備が進められていたのだった。
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圧倒的な力を見せ付けるシグルズに対抗する四人。互いに一歩も譲らない攻防戦。そして、そんな戦いを遠くから見つめるもうひとりの青年がいた。そろそろ、僕たちの出番だね。変わり始める均衡、それは偽りの王への道へと通じていくのだった。
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本当、あなたたちはいつも口だけね。創風神ヘズは退屈そうに槍を放る。こんなんじゃ、目も覚めないわ。そんな彼女の前、立ち塞がった四人は懸命に堪える。どんな理由があろうと、私はあなたを許すことは出来ない。一度引き裂かれた家族の絆。そしていま、あなたがここにいることを、認めることも出来ないの。
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やっぱり若いっていいわね。創光神オーディンの槍を弾いた剣。でも、女王さまがこんなところに出てきちゃっていいのかな。もう、大丈夫。天界は、素敵な王様たちが守ってくれるから。そして、あなたを討つことが、彼の為でもあるんだから。いいよ、そういう若い感情大好きだよ。だから、全力でやりあおうよ。
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私はずっとひとりだった。そして、ドライはひとりで散った。だけど、目を覚ましたとき、彼らは、彼女らは私の手をとってくれたの。だから、私はいまここにいる。そう、私はひとりの女になったんだから。ナンバーズと呼ばれていた少年少女たちは神才の元を離れ、自らの足で自らの道を歩み始めていたのだった。
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私たちは捨てられた。使い捨てられました。私たちは人ですらなかった。道具に過ぎなかった。フィアが打ち明けた胸中。だから私たちは、あなたに感謝しています。聖導院に差し込んだ温かい光。これは、私たちなりの恩返しです。あなたが守りたいすべてを、私たちが守ります。私たちを、人にしてくれてありがとう。
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どうやら、彼らも動き出したみたいなんだ。闇通竜テンゲンへと伝えられた動向。やはり、やっかいな存在ですね。常界を襲う神々による災厄、その裏側には分かたれたふたつの道。どちらが正しいか、その証明をしなきゃいけないね。そう、黄金の夜明けを手にするのは我々だ。もうすぐだね、世界に夜が訪れるのは。
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ベディヴィアぼんは、豆乳が好きな真面目系剣士女子だぼん。誰とでも分け隔てなく、優しく接するから仲間だけでなくいろんな人達とも凄く仲良しなんだぼん。真面目すぎるせいか先輩仲間から、からかわれたり、騙されたりしているぼん。ボスからは「ベディ」って愛称で呼ばれているんだぼーん、嬉しいぼーん。
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トリスタンぼんは、ブランデーが好きなクールビューティーだぼん。仲間内で優れた頭脳を持って、副官を務める出来る女なんだぼん。あと、特技は簿記で隊員の経費の使い込みは見逃さないらしいぼん。もし不正が見つかったときは、口に出せないような厳しいお仕置きが待っていると、男性隊員が言っていたぼーん。
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ガレスぼんは、料理が大好きで独自の産地直送の素材ルートも持っているらしいぼん。その素材で作ったスープは極上の味なんだぼん。でも、仕事中もスープの心配ばかりしてる困ったじーさんなんだぼん。体に悪そうな食品を食べている所を見かけると、説教するらしいぼん。ボスも怒られたひとりらしいぼーん。
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三度の飯より女が好きで、誰かの手作りハンバーグが好きで、手料理が苦手な色男、その名もランスロットぼんだぼん。この前、一晩で口説いた女の数を記録更新したらしいぼん。ボスになにかと楯突くけど、実は信頼してるらしいぼん。バレバレぼん。それと、すごい年の離れた可愛いお母さんがいるらしいんだぼーん。
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パーシヴァルぼんは塩が好物だぼん。隠密任務をする際に、塩は携帯に便利だから、っていうもっともらしい理由があるぼん。適当言ったぼん。趣味はダーツだけどヘタクソぼん。暗殺者としてどうかと思うぼん。ハートのTシャツを着ているのは、心臓を撃ち抜くぜ、って意味らしいぼん。撃ち抜かれちゃってるぼーん。
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十二人の仲間の最年少マスコット、ガウェインぼんだぼん。ボスの事をパパって呼んで慕っているぼん。大好きなパパの為に毎日お仕事頑張っているぼん。もっともっと働けるように早く大きくなりたいぼん。大好きなハンバーガーをいっぱい食べてナイスバディになるぼん。だけど、ピクルスはパパに食べさせるぼーん。
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例外なく発生していた風の災厄。神々の猛威に対抗するのは人々の想い。私たちはあの日、みんなの居場所を奪った。ドライの後悔。だけど、いまは違う。この世界で、私たちは生きていくって決めたんだ。この場所を、あんたたちの好きにはさせない。
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おばちゃん、もうあんまり体力ないから長引かせないでね。オーディンは自嘲しながらも、楽しげな笑みを浮かべていた。今回のは命令だから、思う存分やらせてもらうよ。だとしたら、私も思う存分やらせてもらいます。フィアの瞳に光が宿る。
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私は従ってるだけ。ヘズが巻き起こす風が奪う沢山の命。そこに、理由なんてない。だから、あなたたちの言葉を聞く理由もないの。なぜ、世界が生まれたか。そこに理由はない。そして、始まりに理由がなければ、また、終わりにも理由などないのに。
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いいな、みんなキラキラしてて。オーディンが見渡すと、そこには四人の女が立っていた。いいよ、四人相手で。私ってモテるねー。そうだ、一度これ言ってみたかったんだ。死にたい子から、前に出ておいで。そして四人は一斉に飛び出したのだった。
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いくら老い先が短くても、死ねない理由が出来てしまったのでな。ブラウンが求めたのもまた、新たな道を示してくれたひとりの王の帰還だった。そして、今度こそ彼が帰ってくる場所を、守らなければいけないのだ。そこには、戦士の魂が宿っていた。
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やっぱり、私は指揮官の器じゃないみたいね。槍を構えたミレンは楽しそうだった。どうして、そんなに楽しそうなのかな。オーディンの純粋な疑問。どうしてわからないのかしら。だって、あなたを討つことが出来れば、あの人へ近づけるじゃない。
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あのときの借りを、まだ返せてなかったしね。雨降る王都で儚く散った想い。私はべつに、あいつの為なんかじゃない、私の為だから。あいつの口から、あいつの言葉で理由を聞かなきゃ、納得出来ないのよ。ヒルダは無数の矢を宙へと放つのだった。
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アタシが知りたかったのはこんな世界じゃない。オリナが抱き続けてきた想い。なにを言ってるの、これは君たちの王様だった男が選んだ世界だよ。違う、アタシは認めない。もし、これがあの人の本心だとしたら、アタシがお説教してあげるんだから。
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あなたを討つべきは、きっと私じゃない。だけど、あの人がいないいま、あなたを討つのは私でありたい。ミドリは棍を構え、宙へと空を蹴る。もう、私はあの頃の私じゃない。沢山の涙を見てきた。だから、もう誰かが悲しむ顔は見たくないんだ。
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君たちの言い分はわかったけどさ、君までここにいちゃっていいのかな。オーディンが槍を向けたのは天界を統べる女王でありながらも、常界へと降り立ったヒカリだった。あなたがいま、ここにいる。それが、私がいまここにいる理由になるんだ。
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いいよ、そういうの。ヘズが飼いならした風へと届くことのない想い。あと、もう一歩。ミドリたちが募らせる想い。ここは、私たちだけで、どうにかしなきゃいけないんだから。私たちはまだ終わらないんだ、まだ終わらせたりなんかしないよ。
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だから、私はここであなたを討つ。ヒカリが振り下ろした大剣。へぇ、立派な覚悟だね。だが、それをオーディンはいなしてみせた。いったい、その覚悟は誰に似たんだろうね。少なくとも、私が知ってるあなたの兄は、そんな善人なんかじゃないよ。
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均衡する風のぶつかり合い。そして、そんな均衡を崩したのもまた一筋の風。邪魔をしないで。感情を顕にしたのはヘズ。どうして、あなたがここに。戦場での再会、かつてミドリへと吹いていた向かい風は時を経て、追い風へと変わっていたのだった。
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そう、いまの彼は世界の敵なんだ。オーディンの口からこぼれた言葉。そっか、やっぱり血って争えないんだね、ちょっと妬いちゃうかな。ヒカリは悲しそうに、だけど嬉しそうに笑ってみせた。それなら、やっぱり私は負けるわけにはいかないよ。