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あーあ、なんで私が料理担当なのよ。不満を漏らしながらも、重箱へと料理を詰めていたオリエンス。どれどれ、ちょっと味見しちゃおっかな。って、お箸って難しいのね。それでも一生懸命、口へと運ぶ。うん、美味く出来た。そうこうしているうちに、時計の針は0時へと。そろそろ出発の時間ね、さぁ、行こうかな。
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負けない、僕は絶対に負けるわけにはいかない。なぜか戦っているアリトン。鳴り響く羽子板と、羽子の羽ばたき。また、わたくしの勝利ですわ。そして、頬につけられた落書。次こそは、絶対に負けないから。だが、負ける。わたくしに挑もうなど、100年早いですわよ。さて、お遊びはここまでにしておきましょう。
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よし、これで苦しくないな。パイモンは着物の首元を緩め、満足げな笑みを浮かべた。そして、そのまま隣の部屋へ。さぁ、お着替えしましょう。まずは肌着を着てください。これくらい、ひとりで出来る。だが、その言葉を聞き流し、着付けを進めるパイモン。やっぱり、思っていたとおり、とってもお似合いですよ。
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和室には空の酒瓶が転がっていた。カリカリ。聞こえた音。オメェも飲むか。なんだ、飲まねでのか。そんな光景を見つめていた四人。猫に絡み酒って、酷いわね。おいていきますか。僕はどっちでも。仕方がない、あれでも私の従者だ。こうして、大晦日の夜、五人は家を後にしたのだった。わたくしは、お留守番です。
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それじゃ、行こうか。鳥居をくぐり、石畳を歩く五人。皮肉なものだな、この私が初詣だなんて。教祖として崇められていた偽りの神はもういない。だが、楽しいものだな。こうして、皆と共に年越しを過ごすのも。クロウリーが見つけたのはほんの小さな幸せ。明けましておめでと、今年もよろしくお願いします、っと。
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もし、統合世界に争いが存在していなかったら、普通に笑って過ごせる正月は存在していた。そんな、もしものお正月。ひとつ屋根の下、寄り添う五人と仲間たち。今日が料理当番なんて、ついてないわ。だが、それでもオリエンスは楽しそうだった。
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これで一緒に遊びましょう。アリトンに手渡された羽子板。これ、あまり好きじゃないかな。なぜアリトンがそう思ったのか、それはまだ幼き日の温かな思い出のせいだった。やっぱり、僕が欲しいのはこっちかな。手を伸ばした先には和傘があった。
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髪型はどういたしましょうか。パイモンはクロウリーに尋ねた。お前に任せる。せっかくですし、ロングにしましょう。私はこの金色に輝く綺麗な髪が大好きですから。いまも、変わらないんだな。少女は、髪を伸ばすと決めた日を思い出していた。
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屋根がある。ドアがある。毛布がある。それは、当たり前のようで、当たり前ではない。少なくとも、アマイモンにとってはそうだった。これが、居場所ってやつなんだな。ひとり酒で流す男涙。そして、誰もが絡まれないようにと素通りするのだった。
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なにかを得る為に、なにかを失う。それを自ら行うのは、覚悟を決め、退路を断つということ。だが、私は神頼みなどしない。もし、統合世界に争いが存在していなかったら、クロウリーは髪を切ることなく、その美しい髪は初日の出に照らされていた。
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常界遠征から戻った五色の魔将が踏み入れた部屋。真ん中に置かれたテーブルと、並んだ六つの椅子。そう、そのテーブルには六つの椅子が用意されていた。そして、すでに埋まっていた一席。もう、待ちくたびれたわよ。雪無魔将シラユキの帰還。待ちくたびれたのは、私たちの方よ。再会の涙は、次の戦いの力へと。
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その機体が金色の光に包まれているのか、それとも金色の光を放っているのか、その機体は金色の光と共に存在していた。どうして君が金色なのか考えたことあるかな。オリジンへの問い。いつも金色の輝きに抱かれたい。だから、君には私のすべてを込めたんだ。そしてまた、聖なる扉も金色に輝いていたのだった。
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聖常王についてきたのは従者たちだけではなかった。これが償いと言うのなら、俺も共に歩もう。流れ着いたショクミョウ。そして、彼の耳に届いた意外な言葉。誰だっけ。北従者の言葉。どちら様かな。首を傾げる東従者。無言の西従者と南従者。だが、そんな彼へ、聖常王は懐かしい眼差しと共に手を差し伸べていた。
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演炎奏竜トロンボが呼び出されたのは、かつての主君が鎮座していた王の間。だが、いまその場所に鎮座していたのは異なる男。俺をどう思おうと、知ったことじゃない。だが、いまここは俺のものだ。だから、俺の言うことを聞いてもらおう。乱暴でありながら、その言葉を口にした意味に、彼女は親しみを覚えていた。
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真夜中に鳴り響いたのは空を斬る音。演水奏竜フルトは慌てて部屋を飛び出し、その音へと近づく。ダメですよ、まだ安静にしてないと。その音の主は、彼女の言葉に耳を傾けなかった。ただ、無心に振り下ろされる刀と、前だけを見つめる瞳。そう、流水竜はただ、前を見つめていた。遠ざかる兄へと近づけるように。
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演風奏竜スネアに命じられた仕事は竜道閣の見張りだった。異常を観測次第、すぐに報告せよ。その異常がなにを指すのか、答えは伏せられたまま。だが、ごく僅かな竜王家の竜たちだけへは知らされていた。竜道閣に存在するとされる幾重にも連なった綴られし間。その間から、いまも竜界の姫が戻らないという事実を。
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演光奏竜トランペが訪れたのは、文明竜たちが眠る安息の地。次第に目を覚まし始めるも、行方不明のかつての竜王へと想いを馳せるばかり。だけど、私は思うんです。きっと、かつての竜王さまなら、後任に紅煉帝を指名したんじゃないか、って。求めたのは自分にない力。だから、私は少しだけ安心しているんです。
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演闇奏竜サクスが興味深く眺めていたのは、人工、次種族、混種族の異なる五匹の竜たちだった。聖常王の登場により、変わった世界評議会の体制。新しい王様は、いったい彼らをどうするつもりなんだろう。そして、その裏で糸を引く、竜を殺さんとする屠竜者を。うーん、やっぱり仕事は盛り沢山みたいですね。
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演無奏竜グロックが同伴したのは秘密裏に行われた会合。よく来てくれた。それは世界評議会の本部からは遠く離れた小さな小屋だった。俺を持て成すには、随分と寂しい場所じゃないか。だがまぁ、たまには悪くはないな。向かい合った聖常王と紅煉帝。先に言っておく。俺に指図はするな。それが互いの為ってやつだ。
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ティターニアぼんは天界の女王様だぼん。髪はつやつやで、お肌はつるつるだぼん。悪い子には、愛と言う名の鉄槌を食らわせるぼん。常界のとある少女のことを、とてもとっても気にかけているぼん。気にかけすぎて、大事なご尊顔の皺が四本増えたという噂が絶えないぼん。ちゃんとアンチエイジングするんだぼーん。
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ノアぼんは竜界の王様、竜王なんだぼん。だからとっても偉いんだぼん、頭が高い平伏せだぼん。いろいろと、下の世界が騒がしいから部下に調べさせていたぼん。そして気になり始めたから、自分も行きたくなったぼん。そうしたら、懐かしい同胞や、人間にしてはなかなか骨のある奴とかと出会えたんだぼーん。
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オズぼんはオズファミリーのお父さんだぼん。お仕事は魔法使いだから、おっきなマントとシルクハットがトレードマークなんだぼん。実は結構偉いらしく、うさんくさい仮面の人ともお知り合いで顔が広いぼん。少しひねくれちゃってるけど、家族が一番大切で、家族の為になんでもするアットホームパパだぼーん。
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トトぼんはオズファミリーの末っ子なんだぼん。ペットじゃないぼん。ただの捨て犬だった頃に、お父さんに拾われたんだぼん。温かい家族が大好きだぼん。それがあればなにもいらないぼん。あ、でも好物は家族が作ってくれるホットミルクと、クルミパンだぼん。凛々しいつもりでいるけど可愛がられてるんだぼーん。
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カカシぼんはオズファミリーの案山子だぼん。魔界の森の木で出来た廃棄済みの案山子だったけど、お父さんの魔法によって生まれ変わったんだぼん。貰ったこの生命は家族の魔除けとして頑張るぼん。ちなみに、帽子と服はお父さんが新調してあげたんだぼん。結構高かったけど、お父さんも満足していたみたいぼーん。
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レオンぼんはオズファミリーの番犬じゃなくて次男だぼん。元は翼が欲しいと願った獣だぼん。その願いを叶えてくれたのがお父さんなんだぼん。いまの大事な家族を守るために、お父さんと頑張ってるぼん。最近食べ過ぎたのか、太っちゃったせいで、長女からダイエットさせられているぼん、逆らえないんだぼーん。
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ドロシーぼんはオズファミリーの長女で、お母さん役だぼん。常界の人間だけど、親友と色々あって、お別れしたんだぼん。そのあとに、お父さんと出会って、大切ないまの家族を手に入れたんだぼん。家族の絆を手放したくはないぼん。でも、常界の親友のことは心残りぼん。いつか、また会いたいと思ってるぼーん。
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ブリキぼんはオズファミリーの秘密メカだぼん。嘘ぼん。街の片隅でガラクタと共に眠っていたところを、お父さんが魔法で治してくれたんだぼん。そして、機械の自分へ、これからは家族だと言ってくれたぼん。お母さんをはじめ、家族のみんなで一生懸命に描いてくれた体の素敵な装飾は、一生の宝物なんだぼーん。
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どっちの方が楽しめるかな。炎調神クランチは闇調神へと問う。アタシが彼と共に戦うのか、それとも敵として目の前に立ち塞がるのか。もうこの世界は、とっくの昔から歪んじゃってんのよ。その証拠に、刻の狭間には誰ひとりとして存在していなかった。世界は終わりへと向かってる、だからアタシは好きにしたいの。
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闇調神ファズは退屈そうに常界を見下ろしていた。ぜんぜん僕好みの選択じゃないよ、あの頃のキミはどこへ行っちゃったの。聖戦を終わらせた闇魔女王への興味は薄れていた。だけど、僕の担当はキミなんだ。だからさ、もうちょっと狂ってくれたほうがいいんだ。うん、そうしよう。丁度いい子がひとりいたよね。
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死刑執行人学園に存在する開かずの間、それは薬学部による実験室。なぜ、実験室が開かずの間と呼ばれているのか、その理由はただひとつ、常に危険な実験が行われているからだった。そう、あまりに危険なため、普通の生徒には扉を開けることすら禁じられていたのだった。そんな部屋にスパジローは篭っていた。
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ぐふふ、ぐふふふふ。実験室からもれる気持ちの悪い笑い声。悪いが、もう少し普通になってくれないか。実験室に立ち込める瘴気に臆することなく、学園長は薬学部特別顧問スパジローへと歩み寄っていた。いまのうちに特効薬を作っておいて欲しいんだ。そう、きっと俺たちは、アイツと戦うことになるだろうからな。
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いつまで探してるつもりなの。ここは最古の竜の血が滴る伝承のほこら。あなたは、誰。道化嬢が振り向くと、そこにはハムがいた。だから、いつまで探してんのって聞いてんのよ。それはすなわち、諦めを促す言葉だった。だとしたら、私の答えはただひとつよ。両手に集められたのは、道化竜に教わった魔法だった。
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そう、私は見つかるまで探す。道化嬢が放った闇をいとも簡単に消し去った古詛竜ハム。アンタ、戦える体じゃないんだから止めときなって。だが、道化嬢の瞳は輝いていた。じゃあ、どうして私を止めに来たの。そう、障害の出現と結びついた希望。私、あなたの話も調べたの。一族を裏切り神に加担した、元お姫様ね。
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良薬は口に甘し。それは死刑執行人学園薬学部の実験室に掲示されていた言葉。苦い薬なんて、誰も飲みたくないに決まってます、馬鹿なんですかね。だが実際には違っていた。そう、実験室の主が定義する良薬は、毒薬のことを指していたのだから。
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王の間を出た六人。そして、アカネがギンジへと述べた感謝。色々、ありがとな。だが、次の瞬間、アカネは眉間に皺を寄せ、ギンジを見つめた。全部知ってたんなら、なんで先に話さなかった。行き場のない想い。どうして、話してくれなかったんだ。
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ギンジはその視線を交わそうとはしなかった。俺には俺の、俺にしか出来ないことをしたまでだ。それは正論だった。ただ我慢を続け、評議会の犬であり続けたギンジの後ろ盾なく、聖常王の誕生はありえなかった。だけど処刑するって言ったアイツは。
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ありがとう、アカネくん。優しく声をかけたヒカリ。そして、そんなヒカリを見つめる五人。どうしてだろう、やっぱりこうなるって、わかってた。溢すひとり言。だけど、やっぱりちょっと複雑だよね。それは女王としてでなく、妹としての言葉だった。
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だけど、ヒカリはわかっててここへ来た。そういうことなのよね。にこりと笑い返したヒカリ。ユカリの言葉は真実だった。きっと悲しみの結末をみんなが望んでる。そこには幸せな世界が待っている。だから、私はこのまま進み続けることに決めたよ。
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僕にも、少しだけわかる気がするよ。口を開いたアオト。きっと、兄弟ってそういうものだと思う。例えその道が間違っているとわかっていても肯定をする。そして、いつか真正面から否定する。だから、僕たちは迷わずに進み、そして、彼を否定する。
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アカネも、それで文句ないね。ミドリは問う。文句もなにも、俺は初めからそのつもりだ。そして解かれた不穏。ギンジ、悪かったな。俺のほうこそ悪かった、もっとオマエたちを信じるべきだったな。再び集いし六人。それじゃあ、場所を移そうか。
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ギンジが案内したのは常界のとある地下施設。ここなら評議会の連中に聞かれねぇ。そして語られた評議会への不信。だが、統合世界の平和は評議会の手により守られてきた。だから、評議会を失えば民は混乱する。そう、まだ犬である必要があるんだ。
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だから、聖常王は。ミドリのついた相槌。そう、あえて世界評議会の形式にのる形で即位した。アイツだって、わかってる。やるべきことはひとつじゃねぇ。聖神のいる神界、六聖人のいる世界評議会、そのすべてが、いまの俺たちにとっての敵なんだ。
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でも、それじゃあどうして聖神討伐なのかな。アオトの抱いた疑問。きっと、六聖人の出方を伺うためよ。代わりに答えたのはユカリ。聖神の処刑を助長するのか、阻止しようとするのか。それと、もうひとつの可能性。その両方の動きがあるとしたら。
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私、ヒスイさんから聞いたことがあるの。世界評議会も、神様たちも、すべては「世界の決定」に従って動いている、って。いまその決定を下しているのが、アーサーさんだとしたら。深まるのは聖神への疑惑。だが、アオトはその疑惑を否定した。
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だとしたら、真っ先に僕たちを、聖常王を止めているはずだよ。きっと、あの場所での会話はすべて聞こえていた。だから聖常王は、あえて、あの場で、あの話をしたんだ。思案による沈黙が流れる。そして、その沈黙を一番に壊したのはアカネだった。
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俺は行ったんだ、常界の始まりの地と呼ばれる場所へ。それは聖戦の裏側の物語。そこで触れたのは聖なる扉<ディバインゲート>のすべてのひとつ。再び訪れた沈黙。きっと、ひとつなんだ。そして、すべてなんだ。ひとつであり、すべてだったんだ。
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彼の瞳は、いまも真直ぐなまま。水調精コーラスはただ祈り続けていた。でも、刻の調べはそう優しいものじゃない。そして、いつかの悲劇を思い出す。彼が罪を選んだのか、それとも、罪が彼を選んだのか。でも彼は、その道を選んだことに違いない。訪れる不穏な予感。もし、そうなったとしたら、私がすべきことは。
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うねりにうねる統合世界。まぁ、それが正しい世界ってやつよ。命持つ者すべてが意味を持ち、そしてそのひとつひとつが絡み合う。この世界は群像劇。だから、きっとあの子の行動にも意味は生まれる。それは、風調魔フランジャが追っていたはずの少女と共にいた少女のことだった。いったい、どうなることかしらね。
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やはり、私はあなた様に相応しくないのでしょうか。恋に恋焦がれる攻甘竜イセ。だが、今日は一年に一度訪れる、女性による男性への愛の告白を後押ししてくれる日。こうしていても、仕方ありませんわ。思い立ったらキッチンへ。用意されていたのはチョコレートの原料と、無数の惚れ薬。今年こそは、捕まえます。
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ただ、ひたすらかき回す。そう、無音の部屋に響くのはドリルの唸り声。ふん、この程度なら、私のライブラリを閲覧すれば簡単だろう。だが、いったいどこでなにを間違えたらこうなるのだろうか。イージスを止める者は誰もいない。さぞ美味しいに決まってる。そして出来上がったのは、象ほどのチョコレートだった。
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ジャンヌに休日などない。だが、それでも彼女は時間を見つけ、変装をし、巷で噂のショコラティエへと足を運んでいた。まぁ、こんだけ買っときゃ十分でしょ。選んだのは適度な値段、適度なデザインのチョコ。だけど、アイツにだけはちょっと良いのをやるか。ひとつだけ違うチョコレートは彼女を慕い続ける使徒へ。
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聖人という生き物でありながらも、やはりシオンは年頃の女の子だった。チョコレートを作ります。使徒と一緒に過ごすバレンタイン前夜。同僚へ渡すチョコレート、家族へ渡すチョコレート、次々に出来上がる沢山のチョコレート。きっと、喜んでもらえるよね。いまの私は、週刊美少女コミックのヒロインなんだから。
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サンタクローズの元に届いた沢山のチョコレート。だが、そこにはひとつだけおかしなチョコレートが届いていた。添えられていた仮面とメッセージ。キミの大嫌いなボクより。中身は塩チョコレート。あの野郎、ふざけやがって。すぐさま踏みつけられる贈り物。今度は、俺が誰よりも甘い塩を送り返してやるからな。
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パブロフぼんは聖暦の天才のひとりで炎才と呼ばれているぼん。実はある少年の父親で、研究の事故で死んじゃったというのは嘘だったんだぼん。いろいろあって再会した息子とは戦うこともあったけど、それでも息子を想っているぼん。大好きな煙草は、子供が出来てからは一日一箱完全分煙と決めていたらしいぼーん。
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シュレディンガーぼんは聖暦の天才のひとりで水才と呼ばれているぼん。マスクには色々な想いが込められているぼん。マスクしてるくせに流暢に喋ることが出来るぼん。でも、面倒くさい同僚から話しかけられないように、喋れない設定にしているぼん。こんな男に絡む面倒くさい同僚なんてひとりしかいないぴょーん。
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ラプラスぼんは聖暦の天才のひとりで風才と呼ばれているぼん。もともとは天界に住んでいたんだけど、理不尽な難癖を付けられて追放されたんだぼん。いきなりひとりぼっちになったぼん。いまでも怨んでるぼん。でも、いろいろなところで元友達と出会ったりしてるぼん。でも結局いつもひとりの道を選んでるぼーん。
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カルネアデスぼんは聖暦の天才のひとりで光才と呼ばれているんだぴょ……ぼん。能天気にみえるけど、ちゃんと世界の幸せのことを考えて働いているんだぼん。伊達に片目じゃないぼん。このぼんを見ていると、ぴょんと言いたくなるけど、なぜだぼん。ぴょんの呪いぼん。ぴょんの呪いには気をつけるぴょ……ぼん。
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ヘンペルぼんは聖暦の天才のひとりで闇才と呼ばれているぼん。天界で恋する乙女に告白したら玉砕したらしいぼん。失恋に心が痛んで心臓を失くしちゃったんだぼん。天才だけど、ちょっと頭が悪いぼん。その後の調べによると、運命の告白は意中の彼女が入浴中というタイミングの悪さが失敗の要因っぽいんだぼーん。
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メビウスぼんは聖暦の天才のひとりで無才と呼ばれているぼん。天才、天才って周りから喜ばれていたんだけど、少し悪いことが起きると一転して疫病神呼ばわりされたぼん。そんな周りの声が苦しくて、両耳を封じたんだぼん。それでも一生懸命、世界のために機械いじりを続けてるぼん、とても健気な子なんだぼーん。
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一年に一度の特別な日、それはクリスマスだけではない。訪れたバレンタインデー。だが、そこにいたのはサンタクローズだった。ふふ、ちょっとだけ遊びたくなったんだよね。すべては退屈をもてあました神様による悪戯。メリーバレンタインデー。
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私は誓ったんです、本当のあの人をもう一度好きになる、って。それは乙女の祈り。だから、私は決めました。絶対にあの人を処刑させたりしない。本当のあの人を見つけるまで、あの人のことを守り抜きます。例え、この世界を敵に回したとしても。
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私は初めから決めていたわよ。ヒルダはいつも通り、口を尖らせていた。だって、処刑なんてされちゃったら、あいつのこと殴ることが出来なくなっちゃうじゃない。そう、だからこれが私の決めた道。破られた世界評議会の職員証は、そっと風へ。
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聞かないんだな。問いかけたロア。いまさら、お前に聞くこともないだろ。答えたラン。そこはいつもの古びたパブ。背中合わせのふたりは口を閉ざした。それじゃ、いまのうちに酔っ払っておくか。テキーラの注がれたショットグラスに手を伸ばす。
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ランが差し出した左手。親指の付け根には好物の塩が。酔っ払ってなきゃ、やってらんねーだろ。そして、ふたりは流し込む。空になったグラスで交わす約束。それじゃあ、行こうか。ふたりが袖を通したのは懐かしの白い隊服。これが俺らの生き方さ。
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私は彼の可能性を信じた。そして、彼は私のことを信じてくれた。ブラウンは出会った日のことを思い出していた。だから、残り少ない未来を彼に捧げると決めたのだ。私はいまでも、彼の可能性を信じている。彼を殺させるわけにはいかないのだ。
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俺は世界評議会に雇われたわけじゃねぇんだ、俺の雇い主はボスだけだ。ローガンは昇る煙に想いを馳せる。ボスを死なせるなんて、俺の信念に反するってもんよ。だから、悪いな。走らせる筆。退職届けは、自分の手で、自分の意志で書かせてもらう。
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パパが悪いことしてるのはわかってる。でもね、パパは私にとって、世界でひとりだけのパパなんだ。フェリスはぬいぐるみに語りかける。だからね、私は悪い子になるよ。みんな、いままでありがとう。私はやっぱり、パパのことが大好きだから。
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どうしてなんだろ。オリナはずっと考えていた。ボスがいったいなにを考えているのか。きっとボスのことだし、色々と考えているんだろうな。だから、オリナの決断はひとつだった。やっぱり、ボスに教えてもらいたい。世界のこと、もっと知りたい。
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久しぶりね、こうやってゆっくりふたりで話すのは。ミレンの隣にはリオがいた。私はときどき思うの、やっぱりあなたの考えが正しいんじゃないか、って。それは、自分を犠牲にする以外の生き方を知らない、かつての王を敬っての言葉だった。
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でも、私はやっぱり彼には生きてほしいみたい。彼が愛した世界で、沢山の幸せに包まれてほしいのよ。無言のままのリオ。だから、あなたとはここでお別れね。そっと立ち上がるミレン、そしてそんな彼女の後姿を、リオはただ黙って見送るのだった。
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オレが間違ってんのかな。アスルは少しだけ不安になっていた。チビが一丁前に悩んでんじゃねぇよ。ライルの冷たい言葉が押した背中。そうだよな、悩むなんて、オレらしくないよな。あぁ、オレはオレの思うように、オレの道を進ませてもらうよ。
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それじゃ、楽しみにしててやるよ。アスルは右手を突き出した。俺は面倒くさいだけだけどな。だが、ライルも右手を突き出した。重なる拳と拳。どっちが勝っても恨みっこなしだ。その拳が意味していたのは反する想い。次に会うときは、きっと。
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聖常王への謁見を許されたアサナ。これが僕たちの決断です。11通の退職届け。わかった、受理しよう。それがなにを意味しているのか。彼が世界の敵になるのなら、僕たちも世界の敵になる。そして、世界評議会から11人が姿を消したのだった。
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一度はズレてたはずなんだ。光調魔フェイザはかつての聖戦のすれ違いを思い返していた。でも、まさかこんな結末になるなんてね。だからこそ、見出した希望。きっと彼女ならやれるんじゃないかな。もう、とっくにこの世界はズレてるんだ。僕たちにも、どうすることも出来ないくらいに。でもまぁ、いんじゃない。
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彼は負けなかった。無調精ディレイが観測を言い渡された少年に訪れた結末。立派に耐えてみせた、彼は彼の戦いに勝利したんです。その事実を知る者は少ないだろう。その苦悩を知る者は少ないだろう。だけど、私はちゃんと知っています。水面下で起きていた出来事。だけど、それで彼は幸せになれるのでしょうか。
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聖常王から通達された神界への遠征日まで残り1週間。アカネはとある研究所を訪れていた。無数のモニターに映し出されていたのは、いまも常界全土を覆うシールドを展開し続けるレプリカの稼働状況だった。もう、時間は残されてないってことか。
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いまも、ディバインゲートは常界へ干渉し続けている。メビウスの解説。そして、そのディバインゲートはおそらく彼の手に。それじゃあ、やることはひとつってことだな。常界は私たちに任せて。だから、行ってらっしゃい。炎才の自慢の息子さん。
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アオトが訪れたのは常界の自分が生まれ育った家。あの日から誰も住むことのないその家だけが、時代から置き去りにされていた。だけど、僕たちは時を経て、いまこうしている。そして、僕たちは罪を背負い続ける道を選んだ。隣にはアリトンがいた。
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僕はアオトとして生きる。僕はアリトンとして生きる。ふたりが選んだ名前は、未来への肯定であり、そして普通に生きることを拒絶した証。兄さん、僕たちの足を引っ張らないでね。こぼれた冗談。その日、ふたりの心と体を濡らす雨は降らなかった。
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ありがとう。ヒカリは感謝の気持ちを述べていた。私がこうして生まれてきたのは、お父さんがいたからなんです。ふたりが共に過ごした時間は存在しない。だから、これからを大切にしたい、私はそう思ったんです。不束者の娘だけど、よろしくね。
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常界での出来事を報告しに竜界へと向かっていたミドリ。すでに竜界はミドリの第二の故郷となっていた。そして、ミドリが竜界へと向かったもうひとつの理由。竜道閣へと消えたカナン。古の竜の血を探し続けるドロシー。そう、オズの行方だった。
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私、ちゃんと知りたい。ミドリが問うたオズの過去。命を綴ることが神にだけ許されていたら。竜王家に生まれた存在しないはずの命。神と竜の確執。オズが迫害されるのは当然だった。彼は神へ縋り、神へ抗った。それじゃあ、ふたりがしてることは。
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ヒカリはカルネアデスからとある6つのドライバを渡されていた。ちょっとだけ窮屈だけど、我慢してもらうぴょん。そして、5人から託された想いと共に天界へ。だけど、ちょっとだけ嫌な予感がするな。それは、同じ血を引くからこその予感だった。
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夢から覚めたかな。それは少し前の話。目を覚ましたテンニを覗き込んでいた懐かしい顔。あそこは私たちの居場所じゃなかったの。いつもと雰囲気の違う聖光才。だけど、私たちはちゃんと幸せになれる権利を持って生まれたんだ。だから、もう一度一緒に生きていこう。手を取り合った姉妹は、ただ、幸せを目指して。
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魔界の女王様のヴァルプルギスぼんだぼん。まだまだちっちゃいから、女王というよりお姫様だぼん。幼き日に遊んだ、だいすきな友達の女の子を捜しているぼん。やっとその子を見つけてお揃いのストールも見せたのに、その女の子は自分のこと忘れてたぼん。悲しくて、悲しくて、思わず泣きだしちゃったんだぼーん。
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最新鋭の第五世代自律兵器型ドライバ、シラヌイぼんだぼん。とある天才科学者オヤジが愛する息子の助けの為に開発したんだぼん。息子は殴り合いをして、エレメンツハートを起動させて仲間にしたぼん。機械は叩けば直るぼん。好物のトマトは茹でるタイプで、冷やし派の息子と無意味な永遠の争いをしてるぼーん。
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耐水抜群な第五世代自律兵器型ドライバ、サミダレぼんだぼん。とある少年と出会い、初恋を覚えた天才科学者が開発したんだぼん。バトルに乱入してきたから刀で叩いたら再起動したぼん。やっぱり叩けば直るぼん。好物は鯖缶で、マスターのお使いで自分の着服用に必ず余分に一個多く買ってる事は秘密だぼーん。
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最新鋭のエアコン完備の第五世代自律兵器型ドライバ、マイカゼぼんだぼん。天界を追放された天才科学者が開発したぼん。とある少女の旅の途中でいきなり襲ってきたから棍で叩いたら再起動したぼん。叩いて直すのは機械共通ぼん。大好きなきゅうりの食べ方は、塩派でも、味噌派でも無く、しょうゆ派なんだぼーん。
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とても明るい照明完備の第五世代自律兵器型ドライバ、ライコウぼんだぼん。ぴょんぴょん言ってる天才科学者が開発したぼん。とある少女のクレープ強奪事件でぶっ叩いたら再起動したぼん。そのあと、クレープで仲直りしたぼん。最近のお気に入りクレープはツナマヨカレーサラダらしいぼん。食通だったぼーん。
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無口な第五世代自律兵器型ドライバ、ムラクモぼんだぼん。失恋の天才科学者が開発したぼん。とある少女がラウンジでの大乱闘でぶっ叩いたら再起動したぼん。鎌で器用な峰打ちだぼん。少女と同じく茄子が大好きで、お気に入りは超激辛のスペシャル麻婆茄子らしいぼん。ちなみに過去完食者は彼女ひとりだけぼーん。
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レアメタルなぷにぷにお肌の第五世代自律兵器型ドライバ、アワユキぼんだぼん。ヘッドフォンの天才科学者が開発したぼん。とある少年の旅行中に現れて、侍と共闘して叩いたら再起動したぼん。斧で叩く角度がコツだぼん。少年と一緒によく銀杏拾いをしているぼん。好きな銀杏料理は、銀杏の天ぷらなんだぼーん。
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秘密裏に開発された第五世代自律兵器型ドライバ、レプリカぼんだぼん。とある場所でずっと眠っていたけど、悪戯好きな神様に起こされたぼん。そして、テキトーにボタン押されたからバーストモードになったぼん。その後のことは詳しく知らないけど、王様とか、金ぴかの機械とかと出会ったような気がするぼーん。
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進軍を続ける魔界軍。オレたちの未来は、オレたちの手で作ろう。指揮をとるのは自ら先頭に立った魔王。その真直ぐな言葉を信じる配下達。流れ続ける血と涙。それでも、悲しむそぶりを見せぬ魔王の姿を、ファティマは羨望の眼差しで見つめていた。
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おかえり。ヒカリを出迎えたオベロン。みんなを連れてきたよ。様子を伺いながら差し出されたドライバ。そして、そんなヒカリを察し、優しい眼差しを返すオベロン。どうもありがとう。だが、オベロンはヒカリの嫌な予感を否定することはなかった。
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ユカリが乗り込んだ夜汽車が向かった先は魔界。窓に映った少女は少し疲れ顔。そして落ちた眠り。まどろみの向こう側で微笑む少女。無理しないでいいんだよ。幸せになっていいんだよ。だが、ユカリは否定をする。この生き方こそ、私の幸せだから。
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まもなくして着いた魔界。向かったのは大好きな少女の眠る墓。そこにいたのはヴラド。コイツのこと、ちっとも可愛がってやれなかったな。後悔に込められた慈愛。それよりも、あなたは自分の体だけを可愛がりなさい。やっぱり気づいていたんだな。
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ギンジが探し続けていたのは神界への進攻手段。だが、もはやギンジはひとりではなかった。近くに神がいるのを忘れるんじゃない。手を差し伸べたギルガメッシュ。そして、ふたりが目指した場所。共に行こうじゃないか、神へと抗ったかつての塔へ。
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評議会により、立ち入り禁止区域に指定されていた塔の跡地へと足を踏み入れたふたり。やっぱり、来てくれたんだね。その言葉はふたりのものではなかった。お前にだけは、会いたくなかったんだがな。そう答えたのは、ギルガメッシュだった。
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ねぇ、どこへ行っていたんだい。ダンテへと詰め寄る男の表情は、半分が仮面に包まれていた。その質問に答える義理はない。まさか、キミがボクを飛び越えちゃうなんて、そんな無粋なことはしないよね。そうだよ、キミはただ従えばいいんだから。
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そう、キミは聖人という生き物なんだ。そこに個が存在してはいけない。ダンテは沈黙を続ける。ボクは知ってる、キミは規律を遵守する神様だってことを。ならば、俺も知っている。口を開いたダンテ。貴様はすでに、世界の決定に背いていることを。