警戒レベル3の警報が聞こえた時、もはや聞き慣れてしまったプロテクトの解除音が聞こえた。そう、再び現れたのは光の大型自立型ドライバ、第五世代の天昇る機竜。予期せぬ敵の出現に、宝石塔の警戒態勢が予測出来ないものへと変わった。
警戒レベル4、真っ先に聞こえてきたのはプロテクトの解除音。光の天昇る機竜に続き、現れたのは闇の空翔る機竜。闇の力を蓄えたその機械の身体は、自らの意志で予期せぬ侵入者へと、終わりを、永遠に続く闇を与えようとしていた。
警戒レベル5、9回目のプロテクトの解除音。地走る機竜の出現はもはや予測の範疇となっていた。7つ連なっていた宝石塔の最期、目にも止まらぬ速さで繰り広げられる攻防、加速したその先に、天界<セレスティア>への道が待っている。
開かれた扉により、訪れようとしていたのは黄昏の審判。噂ばかりが先行しているその真実を目指し、その足を赤帝楼閣スザクへと。待ち構えていたのは始まりの炎を司る大精霊。真実へ近づかせるか計る為の、精霊による力試しが始まる。
精霊に認められた者だけが進むことの許された楼閣で、次に待っていたのはきまぐれな炎の妖精。口ずさむ歌、放たれる炎、妖精の火遊びが行く手を遮る。だけどそんな火の妖精には、水を浴びせて一網打尽にしてしまえばいいだけのことだった。
赤帝楼閣に伝わる伝承、狐の嫁入りになぞらえた3匹の炎狐。炎の精霊により、以前よりも力を増した炎の狐が燃やす炎。燃え盛るのは赤く染められた楼閣。炎を越えたその先に、炎が浮かび上がらせた道へと辿り着くことが出来る。
恋に恋焦がれた乙女の恋談議。世界の情勢に興味がないわけじゃないけれど、それよりもやっぱり身近な恋にばかり興味があるのはお年頃の炎の妖精。火傷する程の燃える恋を、冷たく冷えた水で冷ましてあげない限り、ここから先へは進めない。
非常警報を告げる鐘が鳴り響いた。鈍く、重い、その鐘の音が告げたのは破壊力の暴走。リミッターの解除された第五世代の大型ドライバによる破壊力の暴走。今、赤帝楼閣は、上位なる存在の悪戯により、脆くも崩れ去ろうとしていた。
辿り着いた青帝楼閣セイリュウ、最初にお出迎えをしてくれたのは水を司る大精霊。そんな始まりの水の起源<オリジン>が優しく語りかけるのは黄昏の審判の始まりの始まり。母なる海の様な優しさは、時として厳しさへと変わった。
降り出した雨、楼閣の縁側でしばしの雨宿り。そんな雨の中、嬉しそうに歌って踊るのは水の妖精。出来たばかりの水溜まりで飛び跳ね廻る。降り続き、勢いを増した雨は、ただの水遊びだった妖精の悪戯を、悪意のない悪意へと変えた。
降り止むことのない強い雨、雨漏りすら出来てしまった青帝楼閣。滴る雫を浴びながら、その水弾く毛並みは氷の狼。むしろ浴びれないことに残念な表情を浮かべた狼達は、そのうっぷんを晴らすよう、晴れない空へと遠吠えを上げる。
しばらく楼閣を進んだ先で、お出迎えをしてくれたのは水の妖精、清らかな乙女。疲れた者を癒す為に尽くすことこそが、乙女の嗜み。そして、それはこの統合世界<ユナイティリア>に生きる全ての男性の、憧れの的となっていた。
響き渡る鐘の音は、降りしきる雨音でさえも消すことは出来なかった。聞きたくなかった非常警報。止まない雨の中、リミッターの解除された第五世代自立型ドライバの潜水力の暴走。雨の中を泳ぐ機竜に、青帝楼閣は押し流されかけていた。
緑帝楼閣に吹いた風、それは始まりの風。天界<セレスティア>からお目見えした風を司る大精霊は向かい風を吹かせた。そして、この強い向かい風を見事止ませることが出来た時は、更に強い追い風を吹かせると、そう約束をして。
風に乗ってゆらゆらと、住み着いてしまったのは悪戯な風の妖精。楼閣の居候は何をするでもなく、ただ風の行方をぼんやりと眺めていた。開かれた扉により変わってしまった風が、また、更に変わり始めたことに、気がついていたのかも知れない。
風を司る大精霊が作り出した追い風に乗ったのは、開かれた扉<ディバインゲート>を目指した者達だけではなかった。そう、風に乗り、猪突神進の如く追いかけてくる風の猪達。追いつかれるよりも前に、楼閣を抜けることが出来るか。
吹きつける風が少し冷たく、だけど心地よい昼下がり。緑帝楼閣の一角、緑色のコートに袖を通した乙女の昼下がりは優しい緑の香りがした。摘んだばかりの四つ葉に、審判の訪れを、阻止できるようにと、ただそれだけを願っていた。
遠くから音が聞こえた。そしてその音は、徐々に大きく、大きすぎる程に。非常事態に気が付き、警報の鐘が鳴らされた頃にはもう、その鐘の音は轟音にかき消されていた。進撃力の暴走は、避難する時間さえも与えてはくれなかった。
黄帝楼閣に差し込んだのは始まりの光。天界<セレスティア>からお目見えした光を司る大精霊が発した光は輝かしく楼閣を包みこんだ。優しい光の、その優しさに甘えることなく、自らの足で歩きだせた時、開かれた扉の真実へ近づくことが出来る。
光に導かれ、やってきたのは悪戯な光の妖精。光に包まれた鮮やかな楼閣に、またひとつ、小さな光が集った。その眩さに、目を眩ませることなく、しっかりと前を見る大切さ、それもまた、光を司る大精霊が与えようとした優しさだった。
光に集ったのは妖精だけではなかった。3つ首の3匹、そう、魔界<ヘリスティア>の番犬もまた、眩い光に導かれて、この黄帝楼閣へやってきたのだった。首輪の外された番犬は眩い光に惑わされて、忘れられた自制心、鋭い牙を剥いた。
溢れた光に気が付き、光を憎む者すらも訪れる黄帝楼閣で、光の妖精、戦乙女は自らの、乙女の戦いを繰り広げていた。全ては我が主の為に、その身を呈して放つ光は、楼閣を輝かせ、そして更なる光となり、楼閣全てを包み込んだ。
光に包まれた楼閣が更なる光に包まれる。そして、直後に鳴り響く轟音。それはリミッターの解除された第五世代の自立型ドライバが落とした雷鳴。バーストモードの発動、機動力の暴走が呼び寄せた光は、誰も望まない、悪意ある光となった。
紫色の夜が訪れた時、紫帝楼閣への入り口が開かれた。少し弱気に見える幼い姿、だけどその目には力を宿し、未来を見据えた始まりの闇を司る大精霊は、審判の先にある、約束された未来を、辿りついてはいけない未来を、知らせようとしていた。
楼閣の隅っこで、闇に紛れて悪戯をしていたのは闇の妖精。誰にも気付かれないように、ただひとり遊びをしていたいだけだった。だけど、闇を司る大精霊の訪れに共鳴してしまった闇の力は、隠しておくことが出来ないくらい大きなものになっていた。
訪れた紫色の夜、活動を始めた闇の鴉達は羽音を頼りに集い始める。ここは何かが違う、野生の勘は闇を司る大精霊の訪れを察知した。大きくなる闇の力、闇と闇の共鳴<リンク>はご褒美となり、そして、行く手を遮る大きな脅威にもなった。
闇に包まれた楼閣は、闇の妖精、魅惑な乙女にとって最高の楽園だった。繰り広げられるのは誘惑。魅了された者はこの世界に二度と戻ってくることが出来ないほどの乙女の誘惑は、時として、闇だとわかっていながらも、幸せを感じさせるものだった。
何故誰も気が付かなかったのか。飛翔力の暴走は、闇に紛れ、鐘を鳴らす暇さえ与えず、紫帝楼閣のすぐ側まで来ていた。解除されたリミッターにより増した飛翔力は、全て、予想を遥かに上回っていた。夜の帳の中で、闇に紛れた闘いが始まる。
全ての始まりは、何もない。そう、無から全てが始まる。そんな始まりの無を司る大精霊が伝えようとするのはこの世界の理。自らの産まれた理由も、その存在理由すらも知らない大精霊が、無の起源<オリジン>がいう、この世の理とは。
何も無い楼閣に、理由も無く現れる無の妖精。自らの意志とは関係のない場所で、産まれてしまった存在理由。自分の存在を隠してしまいたい、誰にも見つからずに、ただひとりで遊びたい、そんな悪戯好きの妖精に、悪意はなかった。
無の力が集まり始めた無帝楼閣に、にじりより、剥かれた毒牙は魔界<ヘリスティア>の無の蛇のもの。これから何かが、大きな何かが起きようとしている、その前触れを気付かせた野生の勘、防衛本能は毒を更なる猛毒へと進化させた。
何が起きようと、無の妖精、幽霊の乙女にはそんなこと、どうでもよかった。ただちょっとお祭り気分、そんな慌ただしい世界を眺めているのは嫌いじゃなかった。薄らと浮かべた乙女の微笑、それは少しだけでも世界に興味を持てた表れ。
予定調和な大型ドライバの訪れ。そして当然、何者かに外されていたリミッターに、発動されたバーストモード。激化する統合世界<ユナイティリア>に訪れようとしている黄昏の審判を前に、無の力が集った無帝楼閣は窮地に陥っていた。
最後の楼閣は白帝楼閣シュラだった。炎、水、風、光、闇、無、その全てを司るその楼閣に住まう無数の獣達。魔界<ヘリスティア>の光の犬、闇の鴉、無の蛇は種族を越えて集い、そして審判の日へと向かう統合世界<ユナイティリア>を盛り上げる。
発動されてしまったバーストモード、永遠に繰り返される止まらない暴走、大型ドライバは約束された未来へと、その足を止めることはない。解除されてしまったリミッターにより、止まらないその動きを止めるには、無理矢理にでも破壊するしかない。
炎の狐、氷の狼、風の猪、その全てが牙を剥く。幾つもの牙が織りなす獣達の宴。野生の血を身体中に巡らせ、研ぎ澄まされた狩猟本能が踊り出す。それがいったい何の為なのか、獣達に問いかけても、答えなど返ってくるはずもなかった。
次第に明るみになるのは「黄昏の審判」の真実。混乱が増し始めた統合世界<ユナイティリア>を制止する者達の訪れ。冷静さを欠如したこの世界ではもう、敵も味方も関係なく、ただ、各々が信じる道を、ただひたすらに進むしかなくなっていた。
再び姿を見せた無の大精霊は、自らが生まれた意味に何もなかったことを告げた。そして、何もないからこそ、新しい道へと歩き出せると。何も持たないことは、恥じることではない、何も無いからこそ、約束されることのない未来を、掴みとれると。
この扉の果てに何が待っているのか、その答えを知る者は、この世界にはひとりもいなかった。そう、その答えは知る者は、この世界よりも遥か上位なる世界に存在し、そして、幾億万と繰り返されてきた歴史と共に、扉の最果てで待っている。
魔界<ヘリスティア>の深い黒の森の中心に聳え立つ御城に席を構えた赤の王女、アカズキン。使役するのは自立型ドライバ【ヴォルフ】。思春期の少女は願っていた。そう、普通でいたいと。繰り返されるありきたりな、だけど楽しい日常。しかし、そんな彼女の日常は、審判の日が近づくにつれ、崩れ去っていく。
666議会により、新たな王として選出されたアカズキン。賑いを見せる黒の森。きっとこの宴が最後の宴。そう、皆気付いていた。審判の日を阻止出来ない限り、選べる未来はないと。赤の女王は玉座で待っている。自分を超えてゆく、共に審判の日に立ち向かう人間を。ドライバの【ヴォルフ・シザー】と共に。
魔界に位置した黒の森の奥深く、人知れずそびえ建った赤き城がみせた賑わい。それは新たな赤の女王が666議会により選出されたから。さぁ、生まれたばかりの赤の女王を、共に審判へと抗う仲間へと。女王は玉座でその時を待っている。
収獲魔が支配する魔界に位置するハロウィンランド、音もなく24時間稼働するお菓子工場、次々と生産されるのは悪意を持ったお菓子達。全ては子供を楽しませようと、それとも大人を驚かせようと、もしくは何かを収獲しようとしているのか。クッキャーは、そんなマスターの盾となる。例えその身が割れようと。
割れた盾に割れた頭、それでも挫けずに立ち上がったのは、一度死を迎え、そして生き返ったデッドクッキャー。全ては自らのマスター、収獲魔の為に。常界を勇ましく歩くその割れた姿はまさに漢。本当のハロウィンを、収獲魔が望むハロウィンを始める為に、死した戦士はその身が割れようとも、盾になり続ける。
ハロウィンランドに位置するお菓子工場の1区画、充満した甘すぎる程の甘い匂い。それは誰もが好きな美味しい匂いを漂わせ、ハニートラップを仕掛ける甘いレディ、キャンディアの生産ライン。常界へと出荷される甘い悪意は、10月31日、人々に驚きと恐怖を与える為、暴れ回る。例えその身が砕けようと。
出荷された甘い悪意は、常界にとびきり甘い匂いを撒き散らかした。一度は砕けた頭、だけどそれは、デッドキャンディアへの進化の始まりに過ぎない。再び撒き散らす甘い匂い、繰り返すハニートラップ、甘い悪意は甘い恐怖となり、本当のハロウィンを起こし始める。マスターが望む、ハロウィンを叶える為に。
キーンと冷えた大型冷凍庫、そこには出荷を控えた無数のチョコラ達で溢れかえっていた。我こそ先に、人々に恐怖を与えんと奮い立つ。ただ、彼らはまだ、冷凍庫の外の世界を知らなかった。そして我が身に訪れようとしている滅びの運命を。それでも、彼らはマスターの為に戦うだろう。例えその身が溶けようと。
訪れた常界、初めて体験する冷凍庫の外の世界、触れた常温、そして時間と共に溶け始めた頭、甘い悪意はデッドチョコラへと進化を迎えた。時限式の進化、それはマスターが本当のハロウィンを、収獲魔による収獲を始める合図だった。人々へと襲い掛かる甘い悪意は、その体全てが溶け終わるまで、終わることはない。
トリック・オア・トリート!10月31日、ジャックランタンは声をあげた。ハロウィンランドから杖型ドライバ【パンプキン】で指揮をとり、無数の甘い悪魔を常界へと。ただ彼は人々を驚かせたいだけ、そんな悪戯心が一大事件になるとは思ってもいなかった。いや、気づかないふりをしていただけなのかもしれない。
ハッピーハロウィン?カボチャを脱ぎ捨てた収獲魔ジャックランタンは真の姿を見せた灯篭型ドライバ【パンプキン:セカンド】と共に、甘い悪意が溢れかえった常界を眺めながら、大好きな甘いキャンディにかじりつく。全ては常界に生きる人々の命を収獲する為に。10月31日、本当のハロウィンが始まる。
常界に溢れかえった甘い悪意の正体を確かめに、足を向けたのは魔界に位置するハロウィンランド。そこは光と闇と無で彩られた空間。待ち構えているであろうは、お菓子工場のマスター、収獲魔。一刻も早く、楽しいハロウィンを取り戻せ。
黄金色の昼下がりに、おいでなさいませ不思議の国へ。自立型ドライバ【チェシャ】が刻む時間さえ忘れさせるお茶会。スペードのスプーンにクラブのカップ、ハートのクッキーにダイヤのシュガー、女子の嗜みは世界共通。跡継ぎ問題なんて、角砂糖と一緒に溶けちゃえばいいのに。アリスは午後の紅茶に手を伸ばした。
青いドレスに身を包み、青い瞳を輝かし、青い春を終えたばかりの、青の女王はカップへと手を伸ばす。走る緊張、静寂の間。【チェシャ・クロノ】の刻む秒針だけが王広間に鳴り響く。審判の日へと、集結した不思議の国の全兵力は思い出にふけ、家族を想い、最期の覚悟を胸へ問う。そう、アリスの紅茶が空く前に。
黄金色の昼下がりに、迷い込んだワンダーランド、一面氷の世界を抜けた先に待っていたのは青き城。覚悟を決めた全兵力、その力の使い道を誤らせない為にも、青い春を終えたばかりの青の女王が、最後の紅茶を飲み干すその前に。
幾億種の魔界植物が生い茂る眠れる森の最深部、緑に覆われた御城の最上階。バラの薫り包まれたイバラが立てる穏やかな寝息。彼女の眠りを妨げまいと、幾重にも茨を張り巡らせる自立型ドライバ【ブランブル】。即位問題なんて露知らず、今日も彼女は夢を見る。深い、深い、眠れる森の、深い、深い、眠りの中で。
今日も眠れぬ夜がくる、緑の女王がこぼした溜息。開かれた扉、漏れ出した光が育ませたドライバ【ブランブル・ソーラー】。そしてイバラを深い眠りから、夢の世界から呼び覚ました。眠れる森の眠れる夜を求め、重い体を持ち上げて、彼女は審判の日へと歩き出す。深い、深い、眠りの為に、深い、深い、茨の道を。
世界評議会の一員でもある絶対王制を提唱する者の直属の特務機関ナイツ・オブ・ラウンドに属する女剣士。帯刀するのは炎の可変式銃剣型ドライバ【ベドウィル】。コードネーム・ベディヴィアの名を背負う彼女はボスの側にいられるだけでいい、その為に彼女は自分すらも犠牲にする。その命が燃え尽きるまで。
審判の日を前に、業炎の甲士との激闘の中で、一途に聖王を想うその心が引き起こしたリボルバーシフトは、ドライバを【ベドウィル:リボルブ】へと可変させた。覚悟をみせた聖銃士へ託された「来るべき日の約束」、それは聖王の真意。来るべき日の訪れを止める為、彼女はその剣に、生き残ってみせると誓った。
優れた戦術的知能、指揮能力、そんな彼女にボスが与えたコードネーム・トリスタン。自らが戦場に赴くことは少なく、ボスに代わり指揮を執り、眼鏡の奥のその瞳は常に勝利だけを見つめていた。愛を込めて「ダンナ」と呼ぶ銃槍型ドライバ【イゾルデ】を手にした際は、機関内でもトップクラスの戦闘能力を誇る。
彼女を前線へと駆り立てたのは、交わった世界に差し迫る審判。聖王により授けられし聖銃士の証、白い隊服に袖を通し、傷一つ無いその細長く綺麗な指を純白の手袋で包み込む。トリスタンは白い手で愛するダンナ【イゾルデ:リボルブ】を握りしめ、戦場の荒波へと。穏やかな笑顔で、その先の勝利を見つめながら。
授けられたコードネーム・ガレスは、料理をこよなく愛するが故に。老い先短い未来より、これからの長い未来を背負って生きる若者の為、陰ながら支えることに徹する機関最年長の老人。愛用の銃杖型ドライバ【ボーマン】は初老の嗜みだと笑顔を浮かべ、杖つくことなくその足で、その体で、戦況に応じて駆け回る。
聖王の真意に反対しながらも、若き世代への橋渡しをすべく聖銃士へと。若さ故の過ちを犯そうとする絶無の斧士を正す為、可変させた【ボーマン:リボルブ】で応戦を。傷ついた体と心が癒えるよう、戦いの後に機関の仲間達へ振る舞うスープは薄口、だけどそれが、戦うことしか知らない皆の、一番の安らぎだった。
三度の飯よりも三度のキスを好むが故に、ランスロットのコードネームで呼ばれる色魔に取り付かれた男は、銃輪型ドライバ【アロンダイト】を華麗に操り、その場から動くことなく獲物に終わりを与えた。規則を嫌う男が機関に属した理由、それは、彼の瞳にボスを映し出した時に浮かべる笑顔を見ればわかるだろう。
聖王へ裏切りの牙を剥き、発動させたリボルバーシフト、狙いを定めた【アロンダイト:リボルブ】。だけど、そんな彼さえも聖銃士へと昇格させた聖王。ランスロットにとって、聖銃士は忠誠の証ではなく、心を、体を、全てを縛る鎖となった。そして、それを受け入れたのは、まだ聖王の首を諦めていない証拠だった。
ボスから「とある勅令」を受け、隠密行動をとるコードネーム・パーシヴァル。隠密の名に恥じぬよう、銃剣型ドライバ【ディンドラン】で自分が殺されたことにすら気付かせず、死へと誘う。ボスからの勅令が、この交わった世界を、元に戻す鍵に通じると信じ、表舞台には立たず、闇夜に紛れ、暗躍する日々を続けた。
「とある勅令」が指し示した夜の帳の中で、闇夜を照らす閃光の剣士と対峙した時、眩い光に感じた嫌な予感。聖銃士へのトリガーを引いたパーシヴァル、【ディンドラン:リボルブ】が響かす無数の銃声。聞かされる聖王の真意、隠せぬ動揺、それでも見せる聖王への忠誠、再び闇夜へ、表舞台からその姿を消した。
機関に属する最年少の少女、コードネーム・ガウェイン。その若さから、朝はとてつもない強さを見せ、また夜になるとすぐに眠りへ落ちてしまう。父の様に慕うボス、寄り添う二人の姿はまるで本物の親子の様。ボスから誕生日に贈られた大きな銃斧型ドライバ【ガラティン】は少女にとって、この世界で一番の宝物。
私がもっと強かったら、私でもみんなの力になれたら、ううん、私でも力になれるんだ、私がみんなを守るんだ、私がパパを守るんだ。傷ついた仲間達を前に聖銃士へと目覚めるガウェイン。小さな体で大きな【ガラティン:リボルブ】を振り回すその姿はもう、少女ではなく、大切な人を守るひとりの女性の姿だった。
自らの手で奪ってしまった親友の未来、その償い、形見である銃鎌型ドライバ【ロディーヌ】と共に生きることを決めたユーウェイン。一旦前線から退き、自由気ままに気の向くままに過ごしていたが、その胸に秘めた眠れる獅子を解き放たんと、ボスにより機関に招かれた。眠れる獅子が目を覚ます、その日は近い。
常闇の死神が大鎌を振りかざす。奈落の大蛇の名の前に、目を覚ました眠れる獅子、聖銃士へと目覚めるユーウェイン。亡き親友の想いを胸に発動させたリボルバーシフト、【ロディーヌ:リボルブ】が闇を切り裂き炎を燃やす。それは獅子奮迅の如く、気高き獅子があげた、二度と会えぬ友へと向けた、目覚めの雄叫び。
亡き父の仇を討つ為に機関へ志願した少年、丈の長いジャケットに込めた誓いから授かったコードネーム・ブルーノ。子供だと嘗められないよう、身の丈程の大きな銃鎚型ドライバ【マラディザンド】を力任せに振り回す。込めた誓い、父の仇、それが親殺しの罪を背負った水を留めし者と対峙する道になるとも知らずに。
幾つもの噂を抜け、辿り着いた親殺しの罪を負いし男との対峙。だけど、その男に見覚えはなかった。2年前のクリスマス、自分の目の前で父を引き裂いたのは、金髪、碧眼、そして水を操りし義口型ドライバ。やりきれない想いに溢れ出した焦燥、聖銃士ブルーノは【マラディザンド:リボルブ】を片手に崩れ落ちた。
口を開けば悪口ばかり、そんな毒舌家に与えられたコードネームはケイ。明るい笑顔で射抜いた直後に振り撒かれる毒は、嘘ひとつつけない純真な心の表れ。そんな彼女が超長距離から放つ銃弓型ドライバ【ウルナッハ】は風を纏い、正直なほど真っ直ぐな軌道を描き、その矢は逸れることを、1ミリですら許さなかった。
吹き荒ぶ嵐の中、可変した【ウルナッハ:リボルブ】の弓を引いた聖銃士ケイ。放たれた矢は迷うことなく空へと昇り、彼方の雲を突き抜けた。昇りきった矢が始める急降下、降り注ぐ無数の矢は嵐の中であろうと、その軌道を変えることなく一直線に対象へ向かう。初めから、射抜かれることが決まっていたかの様に。
生まれ故郷の武術が最大限発揮出来るよう、トンファーと思わしき対となった銃棍型ドライバ【モルゴース】を手に戦うラモラック。幼き頃より精通した武術、小柄な体を活かし、軽やかに相手を翻弄する。孤島を訪れたボスとの戦いに破れ、機関への参加を余儀なくされるが、今もなお、故郷の為を思い戦い続ける。
ぶつかり合う棍と棍、旋風の棍士との戦いの刹那に見出したのは喜び。競い合える、高め合える相手との出会いがラモラックを聖銃士へ、そして発動させたリボルバーシフト【モルゴース:リボルブ】。芽生えた友情、交わる棍、けれど決して、交わることのない道を進む2人。彼女はいつかの再会を、楽しみにしていた。
寡黙な彼女は光を嫌い、人は輝かしさに惑わされ、事の本質を見抜けなくなると述べた。暗殺任務を最も得意とするモルドレッドは、珍しいカタールを模した銃剣型ドライバ【ギネヴィア】を手に、紫の闇夜へと紛れた。胸に沸くボスへの不信に目を伏せて、今宵もその身に夜を纏い、悪意を光届かぬ闇の中へと誘う為に。
募らせるは聖王への疑心、誰よりも強く輝かしいその光は、いつしか彼女の心に闇よりも濃い影を落としていた。光を拒み続けながらも、聖銃士の道を受け入れ、そしてその光さえも届かぬ深淵へと始まる深化。禍々しく変容した【ギネヴィア:リボルブ】を手に、モルドレッドはひとり、聖なる闇へと堕ちていく。
用心棒稼業をし、無意味な毎日を過ごしていた彼は、その高い戦闘能力と引き換えに、機関という居場所と、パロミデスのコードネームを与えられた。何者でもなかった自分、意味を与えてくれたボス、誓うのは絶対の忠誠。相棒である重量級の銃砲型ドライバ【ビースト】は、彼以外、担ぐことさえままならなかった。
その純粋な忠誠心はパロミデスに聖銃士の称号を与えた。紫煙くゆらせながら相棒の銃身を磨く最中、突如鳴り響いた轟音。聖王の身を案じ、駆けつけた円卓の間。怒りをあらわに、リボルバーシフトを発動させた【ビースト:リボルブ】の数多の銃口を突きつける。そう、瞳に映し出されたかつての仲間へと向けて。
深い、深い、眠れる森の最深部、茨に覆われた緑の城の最上階。開かれた扉から溢れた光が、眠れる姫を、緑の女王へと目覚めさせた。寝起きでおぼつかないその足取りで、審判の日へと向かってしまわぬよう、半分夢を見ているうちに、新しい夢を。
特務機関ナイツ・オブ・ラウンドの絶対的ボス、コードネーム・アーサー。最強と名高き銃剣型ドライバ【エクスカリバー】を担ぎ、絶対王制の名の元に決め込んだ高みの見物、遥か彼方に浮かぶ理想郷<アヴァロン>で浮かべた笑み。届いた推薦状、表明した参加の意、それは世界評議会が隠した鍵を暴く為に。
始まった黄昏の審判、約束された未来、統合の先にある融合、全ては自分の為にあったんだ、男は自らが聖王だと声高らかに名乗りを上げた。左手には見つけた鍵を、右手には【エクスカリバー:リボルブ】を、寄り添う12の聖なる銃と共に、開かれた扉のその先へ。聖王アーサーとして、聖暦の王の責務を果たす為に。
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聖なる扉<ディバインゲート>の真実を追い求める最中、流れ着いたのは7つの惑星を模したプラネタラウンジのひとつ、ラウンジ:マーズ。ちょっと一休みのつもりが襲いかかる無限の炎。小さな炎であれ、数を増せば、それは脅威へと変わる。
ラウンジの片隅、遊んでいたのは火遊び妖精。そんな火遊びを加速させるのは、吹きすさぶ風。小さな風は、ただの火遊びを燃え上がらせた。火と風が揃った時、ただの遊びは事故へと変わる。ラウンジでの休息は、まだ訪れることはなかった。
マーズラウンジに配備されていた第四世代の自立型ドライバが動き出した。それは予期せぬ来訪者を撃退する為に。このラウンジは一体誰の為に、何の為に用意された安らげる場所なのか、その答えを知るのが先か、それとも朽ち果てるのが先か。
遂に訪れた癒しの時間、それは恋に燃える乙女と、寄り添った風の乙女との一時。妖精と一緒に一休み、と思いきや、突如襲いかかってくる炎と風。休息を求めるには、彷徨い辿り着いた、このラウンジ:マーズを抜け出す他なさそうだった。
ラウンジ:マーズの最後に待ち受けていたのは、名前に釣られて訪れた真っ赤な燃える処刑人。自らの休息を邪魔する者に対して、炎の剣の名の元に、終わることのない炎を。それは、自らが炎刑者への道を進む為にも、必要な悪意だった。
ようこそ、ラウンジ:マーキュリーへ。微かに聞こえる水の流れる音、空調の効いた涼しい空間は、火照った体を心地よく冷やした。だけど、微かにしか聞こえなかったはずの水の音が大きくなった時には、目の前に無限の水が広がる寸前だった。
無限の水を退けた先、聞こえてきたのは無数の銃声。だけど、不思議と火薬の匂いはしなかった。音の正体を確かめようと見渡す周囲。見つけた正体、それは大きな水鉄砲を構えた、悪戯好きな水遊び妖精と、喧嘩をしている火の妖精の姿だった。
仲裁できた喧嘩、だけどもう、遅かった。ラウンジに響き渡る無数の機械音。それは二足ではなく、四足の歩行足。しかれ始めた警戒態勢、近づく二つの四足歩行音、そして、その奥から更に聞こえてきたのは、火花を散らす新たな歩行音だった。
ラウンジで休息していたのは、魔物だけじゃなかった。清らかな乙女もまた、涼しさの誘惑にマーキュリーへ。偶然にも流れ着いた来訪者に、戸惑うよりも早くとった攻撃態勢。制止する炎の乙女の声に耳も貸さず、彼女は流れに身を任せていた。
本当は暖かい場所へ行きたかった、そんな思いも虚しく、涼しいラウンジへと辿り着いてしまった氷の悪魔は嘆いていた。そうだ、暖かくなるには体を動かせばいい、ただそれだけの理由で、予期せぬ来訪者へと外せない手袋で握った氷の刃を向けた。
ラウンジ:ジュピターにはいつも心地良い風が流れていた。そう、冷たくもなく、痛くもなく、まるで春風のような心地よさ。そんな心地の良さに乗り、運ばれて来たのは、心地の良くない風。魔界の風は、風にのり、無限に増殖しようとしていた。