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藍色に輝くアクアマリンが散りばめられた藍玉塔から聞こえる小さな遠吠え。それは塔の上に昇る月を追いかけた氷の狼の鳴き声。遠く離れた故郷、魔界<ヘリスティア>に想いを馳せた狼は、行き場のないその想いを侵入者への牙へと変える。
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長く綺麗な水色の髪、それは清らかな乙女の証拠。天界<セレスティア>へと戻る途中、立ち寄った藍玉塔で、警戒レベル2を告げる警報に気を動転させた乙女はいつもながらの勘違い。慌てふためき、呼び起こされる水の力は敵となり襲いかかる。
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藍玉塔の第三階層、上がり続ける警戒レベル、解き放たれた獣達。響き渡る警報と、重なる遠吠え。止まらない音で埋め尽くされたフロアの気温は下がり続けた。3匹の氷の狼があげた遠吠えは冷気となり、凍てつく刃と化した牙を光らせていた。
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地上より遥か高くにそびえた塔のとあるフロア、そこには広がる海があった。空中の海に飼われていたのは大型の自立型ドライバ。何者かに運び込まれたその機体は、人間を守る為の機体。だけど今、人間を守る為の対人実験が行われようとしていた。
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階層を繋ぐエレベーターのランプは【P】を灯した。長い戦いの果てに辿り着いた最上階、閉じた扉をこじ開けたのは荒れ狂う大津波。姿を見せた最上階の水竜は、優雅に空を泳いでいた。まるでそこが、どこまでも広がる大海原であるかのように。