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生まれ故郷の武術が最大限発揮出来るよう、トンファーと思わしき対となった銃棍型ドライバ【モルゴース】を手に戦うラモラック。幼き頃より精通した武術、小柄な体を活かし、軽やかに相手を翻弄する。孤島を訪れたボスとの戦いに破れ、機関への参加を余儀なくされるが、今もなお、故郷の為を思い戦い続ける。
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ぶつかり合う棍と棍、旋風の棍士との戦いの刹那に見出したのは喜び。競い合える、高め合える相手との出会いがラモラックを聖銃士へ、そして発動させたリボルバーシフト【モルゴース:リボルブ】。芽生えた友情、交わる棍、けれど決して、交わることのない道を進む2人。彼女はいつかの再会を、楽しみにしていた。
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アタシを誘ってくれて、ありがとね。おかげさまで外の世界を知ることも出来たし、新しい友達も出来たんだ。なのにさ、アタシ、まだ何の恩返しも出来てないよ。もっと戦いたいんだよ、もっともっと世界のこと教えてよ。だから、早く帰ってきてね。
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再会を喜ぶ二人、だが時間は待ってはくれない。なんで私を。ゆっくり説明をしている暇はなさそうなの。オリナは風咎棍士の手を引く。臨戦態勢の天界と魔界、頂上に君臨した二人の友達。その裏で暗躍する二人の女と二人の男。そして行方知らずの悪戯神に動き始めた教団。二人が向かった先は、教団本部だった。
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おまたせっと。遅れて現れたのは、少しだけ息の上がったオリナだった。にしても、情けないなぁ。声をかけた先にいたのはライル。だから、まだやれるって。そして、二人は鞘の回収へ。その場に姿を現さなかった、アスルのことを気にかけながら。
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オリナとライルは、鞘が格納されているという地下宝物庫への道を急いでいた。ちゃんと走りなさいって。遠慮しないオリナ。うっせーな。強がるライル。そして、そんな二人が気にしていたのは、鞘だけではなく、行方不明の一人の仲間のことだった。
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君たちが探しているのは、聖なる鞘かな、それともこの少年かな。二人の前に立ちふさがったのは執事竜。そして、目の前に投げ捨てられたアスル。最悪の形で果された再会。絶対許さない。よっぽど殺されたいみたいだな。二人は、怒りを露にした。
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たった二人で何が出来るというのだ。執事竜の背後から現れた新南魔王と新東魔王。余裕の笑みを浮かべる三人。悪いけどさ、二人だけじゃねーんだ、出て来いよ。直後笑みは焦りに変わった。なぜ、貴様がここに。派手にいくぜ、レッツ、ハッピー。
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そこには、傷だらけの旧北魔王が重火器を構えていた。あのまま死んでいれば、完全な存在になれたというのに。死ぬのはテメェの方だ。だが、一人加わったところで、オリナ達の劣勢に変わりはなかった。もう一人加わったら、どうなるかな、けひひ。
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現れた旧東魔王。私はあんたらを助けたいんじゃない、こいつらが許せないだけ。続く攻防戦。君たちはもう、過去なんだ。思い出に消えてくれ。何度倒れようとも、立ち上がり続ける四人。いくら頑張ったって無駄だよ、ここに鞘なんてないんだから。
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すでに、鞘は宝物庫から運び出された後だった。そんなことって。動揺するオリナ。君たちが来ることは、初めからわかっていたよ。だったら、なんでオマエらがここで道塞いでんだよ。ライルが突いた核心。この先には、大切な何かがあるんだろう。
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その言葉で活気を取り戻したのは旧魔王二人だった。聞こえた竜の咆哮。チビを抱えて逃げろ。オリナ達とすれ違う人影。ここは俺達が食い止める。旧北魔王は銃声を響かせる。だから、あんたが迎えに行きなさい。旧東魔王は人影を見送ったのだった。
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傷だらけの仲間を抱えながら教団本部を脱出したオリナ達は、教団本部が崩れ行く様をただ見つめていた。果たせなかった任務を、悔いてる暇なんてないぜ。その裏側、既に他の隊員達は動き始めていた。夜明けが昇るのは、いったいどっちなんだろう。
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常界を襲った災厄の数は六つ。あのときよりも、被害規模が大きいわね。かつて、神才により創られし子たちが引き起こした災厄、常界の被害は三箇所。やっぱり、今回も彼女たちが。だが、その災厄に近づけば近づくほど違和感は大きくなるのだった。
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アタシが知りたかったのはこんな世界じゃない。オリナが抱き続けてきた想い。なにを言ってるの、これは君たちの王様だった男が選んだ世界だよ。違う、アタシは認めない。もし、これがあの人の本心だとしたら、アタシがお説教してあげるんだから。
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どうしてなんだろ。オリナはずっと考えていた。ボスがいったいなにを考えているのか。きっとボスのことだし、色々と考えているんだろうな。だから、オリナの決断はひとつだった。やっぱり、ボスに教えてもらいたい。世界のこと、もっと知りたい。
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まだまだ、こんなもんじゃないよ。オリナが振り回す二対の棍。私だって負けないんだから。ミドリが振り回す大きな棍。ふたりは戦いの中にいた。楽しそうにも見え、辛そうにも見える。ふたりとも、互いの感情を戦うことで上書きしていたのだった。
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その言葉が聞けて安心したよ。だが、オリナは知っていた。アーサーのすぐ側で活動してきたからこそ、アーサーの処刑に意味があるということを。だからこそ、アーサーを渡したくはなかった。最後の力を振り絞ってでも、決して渡したくはなかった。
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潮風が気持ちのいい極東国の南の離島。オリナは二対の棍を手に、真っ白な砂浜で汗を流していた。いい動きをしている。オリナに話かけたのは査察に来ていたアーサーだった。お兄さん、本島の人かな。これはこの島に伝わる伝統の武器と武術なんだ。
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手合わせを頼めるか。アーサーの好奇心。別にいいけどさ、怪我しても知らないからね。純真無垢で迷いのないオリナの拳。そして、その拳を楽しそうに受けとめるアーサー。勝敗が決めたオリナの未来。外の世界には、こんなに強い人がいるんだね。
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与えられたラモラックのコードネームと、新しい世界。ラモラックにとってはすべてが新鮮だった。自分よりも強い仲間たちと共に鍛練し、切磋琢磨する日々はラモラックに充実を与えた。そう、ラモラックにとって世界が広がり始めたのだった。
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世界が広がれば、視野は広がる。同じ世界評議会という組織に属しながらも、そこには様々な考えが存在していた。存在する足の引っ張りあい。だけど、アタシはボスを信じてるよ。アーサーはラモラックにとって、世界の中心に存在していたのだった。
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広がったラモラックの世界の中の小さな世界。それは円卓の席についた仲間たち。少しずつ歳をとる。だが、それでも変わることない関係。この広い世界に、信じ続けられる居場所が出来たよ。気がつけば、そこはラモラックの第二の故郷となっていた。
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砕けた二対の棍。そして、砕けなかったのは友情。オリナへ手を差し出すミドリ。だが、オリナはその手を拒んだ。最後まで、格好つけさせて欲しいと思って。アタシはボスと一緒に、世界の敵でいたいんだ。10人目はそれでも自分を貫いたのだった。
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常界の新組織に属することなく、世界を旅しながら回っているオリナ。統合世界の各地で、さまざまな武術を学んでいる。