火の海に消えた家族旅行。泣き叫ぶ一人の少女。あと少し早かったら、少女は幸せな日々を過ごしていただろう。だが、世界は優しくなかった。これは全て俺の責任だ。だから、新しい始まりを贈らさせてもらえないか。それは五人目の出会いだった。
カラン、コロン、開かれたのは古びたパブの入口だった。よぉ、相変わらずへたくそだな。ロアが声をかけたのは奥で的を射ていた先客。お前は球でも突いてろ。その返事に懐かしさを感じながらも、二人は同じ場所で、別々の遊びを始めた。彼らはいつも別々の景色を見つめていた。それはどこにいても変わらなかった。
なぁ、あのとき俺たちの王様はなにを見てたんだと思う。ランは背中越しの男に問いかける。いつも一緒のオマエのことすらわかんねぇのに、俺が知るかよ。投げ捨てた言葉には続きがあった。だからさ、今度はあいつがなにを見ようとしてたのか、見に行こうぜ。カラン、コロン、開かれたのは古びたパブの出口だった。
朝から晩まで終わらない追いかけっこ。それは春から冬まで。春は冬を追いかけているのかな。それとも、冬から逃げているのかな。その問いに対する少女の答え。私が春風だったら、きっと追いかけるよ。だが、終わりを迎えた追いかけっこ。そして、一人になったミドリは、一人で追いかけっこを始めたのだった。
少女は走る。ただ真っ直ぐに。ねぇ、なんでそんなに走らなきゃいけないのかな。そんな自問自答。なにかを追いかけているのかな。縦に振れない首。それとも、なにかから逃げているのかな。横に振れない首。だが、少女は立ち止まりはしなかった。
で、俺になんか用かよ。不機嫌な男が一人いた。会ってみたかった、じゃ、理由にならないか。ご機嫌な男が一人いた。それじゃ、帰らせてもらうわ。更に不機嫌になった男。ここがお前の帰るべき場所になる。更にご機嫌になった男。お前が六人目だ。
なんで、俺が。嘆いていたのは昨日まで査察局所属だった男。そんな男がお目付け役にと転属を命じられた先は特務機関。そこにはいわくつきの人間が集まっていた。誰の手引きか知らないが、俺はお前を歓迎する。差し出された右手。七人目はお前だ。
ある芸術家はヒノペルソナという生物を描き続けることに生涯を費やした。芸術家は語る。その存在、容姿は人間の欲望が具現化したものだと。彼の語る事は周囲から理解されず淘汰された。しかし、多くの研究によりこの手錠に繋がれた生物が人に有益な存在とされた日、皮肉にもこの生物は人の欲望の象徴とされた。
ある芸術家はミズペルソナという生物を描き続けることに生涯を費やした。芸術家は語る。その存在、容姿は人間の欲望が具現化したものだと。彼の語る事は周囲から理解されず淘汰された。しかし、多くの研究によりこの手錠に繋がれた生物が人に有益な存在とされた日、皮肉にもこの生物は人の欲望の象徴とされた。
ある芸術家はカゼペルソナという生物を描き続けることに生涯を費やした。芸術家は語る。その存在、容姿は人間の欲望が具現化したものだと。彼の語る事は周囲から理解されず淘汰された。しかし、多くの研究によりこの手錠に繋がれた生物が人に有益な存在とされた日、皮肉にもこの生物は人の欲望の象徴とされた。
ある芸術家はピカペルソナという生物を描き続けることに生涯を費やした。芸術家は語る。その存在、容姿は人間の欲望が具現化したものだと。彼の語る事は周囲から理解されず淘汰された。しかし、多くの研究によりこの手錠に繋がれた生物が人に有益な存在とされた日、皮肉にもこの生物は人の欲望の象徴とされた。
ある芸術家はヤミペルソナという生物を描き続けることに生涯を費やした。芸術家は語る。その存在、容姿は人間の欲望が具現化したものだと。彼の語る事は周囲から理解されず淘汰された。しかし、多くの研究によりこの手錠に繋がれた生物が人に有益な存在とされた日、皮肉にもこの生物は人の欲望の象徴とされた。
ある芸術家はムムペルソナという生物を描き続けることに生涯を費やした。芸術家は語る。その存在、容姿は人間の欲望が具現化したものだと。彼の語る事は周囲から理解されず淘汰された。しかし、多くの研究によりこの手錠に繋がれた生物が人に有益な存在とされた日、皮肉にもこの生物は人の欲望の象徴とされた。
どこから現れたのか、ヒノモックンは統合世界の各地を漂っていた。害はないとされているが、正体不明の奇妙さから一般的に歓迎されている存在ではない。しかし、頭上の輪などの容姿から一部の新興宗教では炎の神の御使いであるとされている。最近ではその個体数が増えており、何事かの前触れかと噂されている。
どこから現れたのか、ミズモックンは統合世界の各地を漂っていた。害はないとされているが、正体不明の奇妙さから一般的に歓迎されている存在ではない。しかし、頭上の輪などの容姿から一部の新興宗教では水の神の御使いであるとされている。最近ではその個体数が増えており、何事かの前触れかと噂されている。
どこから現れたのか、カゼモックンは統合世界の各地を漂っていた。害はないとされているが、正体不明の奇妙さから一般的に歓迎されている存在ではない。しかし、頭上の輪などの容姿から一部の新興宗教では風の神の御使いであるとされている。最近ではその個体数が増えており、何事かの前触れかと噂されている。
どこから現れたのか、ピカモックンは統合世界の各地を漂っていた。害はないとされているが、正体不明の奇妙さから一般的に歓迎されている存在ではない。しかし、頭上の輪などの容姿から一部の新興宗教では光の神の御使いであるとされている。最近ではその個体数が増えており、何事かの前触れかと噂されている。
どこから現れたのか、ヤミモックンは統合世界の各地を漂っていた。害はないとされているが、正体不明の奇妙さから一般的に歓迎されている存在ではない。しかし、頭上の輪などの容姿から一部の新興宗教では闇の神の御使いであるとされている。最近ではその個体数が増えており、何事かの前触れかと噂されている。
どこから現れたのか、ムムモックンは統合世界の各地を漂っていた。害はないとされているが、正体不明の奇妙さから一般的に歓迎されている存在ではない。しかし、頭上の輪などの容姿から一部の新興宗教では無の神の御使いであるとされている。最近ではその個体数が増えており、何事かの前触れかと噂されている。
民が辿りつけるように、王都への道を綴るんだよ。それは悪戯な囁き。そして少女が綴る。ただ楽しそうに、悲劇に通ずる道を。みんな、王様に会いたいんだよ。これは希望の物語なんだ。いつかの小さな希望が、こうして大いなる希望になった。だから彼に希望を見せてあげようよ。そして、新たな舞台の幕は上がる。
骨董品屋にて旅人が出会ったのは一枚の絵画。それを鑑賞すると、何を思ったか急遽画材を持ち、旅人はある場所を訪れる。そこは多くのペルソナが棲息していた。意気込む彼だが、数が多すぎてその情景をキャンパスに残すことは素人には無理だった。
とある宗派の集会に偶然居合わせた旅人。大勢の信者達が声を上げると、辺りに色鮮やかな無数のモックンが現れた。その様子は神秘的というよりは、異様さを感じる。そんなことを思ったからか、一斉にモックンに睨まれた様な錯覚を覚えたのだった。
今、ここに共鳴<リンク>の開放を宣言。よって、魔物との共鳴を可能と致します。これに必要なのは人間の刻印指輪に封じられし生物。共鳴の誓いを立て、絆の力を求める者達よ、新たなる力の解放に歓喜するがよい。さぁ、誓いと絆を解き放つのだ。
今、ここに共鳴<リンク>の開放を宣言。よって、獣族との共鳴を可能と致します。これに必要なのは人間の刻印指輪に封じられし生物。共鳴の誓いを立て、絆の力を求める者達よ、新たなる力の解放に歓喜するがよい。さぁ、誓いと絆を解き放つのだ。
今、ここに共鳴<リンク>の開放を宣言。よって、竜族との共鳴を可能と致します。これに必要なのは人間の刻印指輪に封じられし生物。共鳴の誓いを立て、絆の力を求める者達よ、新たなる力の解放に歓喜するがよい。さぁ、誓いと絆を解き放つのだ。
今、ここに共鳴<リンク>の開放を宣言。よって、妖精との共鳴を可能と致します。これに必要なのは人間の刻印指輪に封じられし生物。共鳴の誓いを立て、絆の力を求める者達よ、新たなる力の解放に歓喜するがよい。さぁ、誓いと絆を解き放つのだ。
今、ここに共鳴<リンク>の開放を宣言。よって、機械との共鳴を可能と致します。これに必要なのは人間の刻印指輪に封じられし生物。共鳴の誓いを立て、絆の力を求める者達よ、新たなる力の解放に歓喜するがよい。さぁ、誓いと絆を解き放つのだ。
今、ここに共鳴<リンク>の開放を宣言。よって、人間との共鳴を可能と致します。これに必要なのは人間の刻印指輪に封じられし生物。共鳴の誓いを立て、絆の力を求める者達よ、新たなる力の解放に歓喜するがよい。さぁ、誓いと絆を解き放つのだ。
今、ここに共鳴<リンク>の開放を宣言。よって、神族との共鳴を可能と致します。これに必要なのは人間の刻印指輪に封じられし生物。共鳴の誓いを立て、絆の力を求める者達よ、新たなる力の解放に歓喜するがよい。さぁ、誓いと絆を解き放つのだ。
笑顔は少女の味方だった。楽しいときも、悲しいときも。笑っていれば許された。だから少女は笑い続けた。その裏に本当の気持ちを隠して。だが、そんな少女が感じた光。ねぇ、私はいったい誰なの。そして光が指し示した道。それはヒカリにとって、知りたくもない、知らなくてはいけない真実へと通じていた。
自分が笑顔なら、周りは笑顔になる。だったら、自分が笑顔でいればいい。辛いときも、悲しいときも。それは幼いながらに覚えた自分を守る術。なぜ、少女がそんなことを。それは少女の両親が、本当の両親ではないと気づいていたからだった。
少女の筆先が綴る物語。その結末は終わりだった。そして、始まりだった。だが、終わりでもあった。そして、始まりでもあった。さぁ、結末は希望だろうか、絶望だろうか。終わりか、始まりか、それを君に選ばせてあげるよ、ねぇ、僕だけの王様。
もう、私は逃げたりしない。雪の美女エリザベートは雪導犬に導かれるように、魔術師と共に王都への道を歩んでいた。その道は初めて歩く道にも関わらず、懐かしさに溢れていた。だから、顔を上げよう。そして、降り出した雨。きっと、この雨が雪に変わる頃には辿りつけるよね。なぜだか、そんな気がしていた。
聖無才メビウスが監視し続けた世界。集積された情報。辿り着いた成果の結晶。彼女は全てを知っていた。聖なる扉の前、聖王と偽者の機体の死闘を。だから私は、力になりたい。それは彼女が見つけた希望。そして、隣り合わせの野望。私にとってはあなたが本物。だから、それを証明してみせて。行ってらっしゃい。
少女は幼き日々を、どうしても思い出すことが出来なかった。忘れたくても忘れられない思い出。思い出したくても思い出せない思い出。だけど、私は知りたい。知ったうえで、どうするかを決める。それがユカリの想いだった。ねぇ、教えて。私は誰。あなたは誰。それは夜の夢のもう一人の少女への問いかけだった。
これから、いっぱい思い出をつくりましょうね。少女は笑いかける。だから、ほら。少女は少年の銀色の前髪をポケットから取り出したピンで止めた。新しいの、あげるね。それは聖なる夜の贈り物。それじゃあ、こっち向いて。あの日の私、少女エリザベートが覗いたレンズの向こう側、そこにはあの日の二人がいた。
クリスマスイブの夜、それは冷たい雪がくれた暖かな出会い。少年達はいつも一緒だった。沢山遊んで、沢山笑った。沢山喧嘩して、沢山笑った。そして、いつしか少年達は大人になり、別々の道を歩き始める。これは、そんな少年達の永遠の思い出。少年アーサーと少年サンタクローズ、あの日の僕らがそこにはいた。
夜は優しかった。それは一日の終わりだから。それは心落ち着くから。全てが正解であり、不正解だった。なぜ、夜は優しいのか。それは大好きだったあの子と過ごす時間だったから。例え記憶からは忘れ去られても、心からは忘れ去られていなかった。
私はね、きっとあの二人の間には入れないの。それは少女だったから。でもね、こうして眺めているのも好きなんだ。優しい瞳に映る二人。だから、私はこれでいい。あの二人が喜べば、それは私の喜びでもあるから。少女はずっと二人を見守っていた。
キミの為の王都に、ようやく民が辿りついたみたいだよ。ロキは堕王に語りかける。ねぇ、彼らはキミに縋りたいみたい。だからさ、キミはもっとボクに縋ってくれていいんだ。さぁ、みせてあげよう、大いなる希望を。そして、キミはただ選べばいい。
アカネとレオラが辿り着いた王都ティンタジェル。それは常界の廃棄地区に存在していた。これはまやかしです。その場所に王都があるはずはなかった。だが、確かに存在していた。そして、閉ざされていた王都への入口。だったら、こじ開けりゃいい。
入口に突き刺さった無数のドライバ。こじ開けられた入口。アカネとレオラは顔を見合わせ、そして同時に振り返る。プレゼントを届けに来た。そこに立っていたのはサンタクローズだった。アカネとレオラが浮かべた笑顔。取り返そう、俺達の王様を。
私は嘘をついていた。ミレンは隊員達に告げる。聖王の奪還、それはきっと彼は望んじゃいない。だからこれは代理としてじゃなく、副官としての命令なの。だが、そんなことなど全員気付いていた。さぁ、行きましょう。私達の王様は、彼しかいない。
メビウスは足元で大破しているヨトゥンを見つめながら呟いた。今のあなたなら、きっと大丈夫。見送った一体の機体。直後、現れたのは無数の評議会警備局員。あなたを拘束します。だが、メビウスは満足げな笑みを浮かべた。希望が、聞こえるよ。
うーん、どうしたらいいかな。これじゃあどうしても、希望のお話になっちゃいそうだよ。筆を走らせるシェイクスピアは不思議だった。いいんだよ、これで。ロキは楽しそうにその物語を見つめる。だって、彼にとっての希望は、彼らにとっての――。
王都に進入したアカネ達の前に姿を現わしたのはカゲロウだった。こいつだけは、俺が相手しなきゃなんねぇな。一番に身を乗り出したアカネ。私も力になります。刀を構えたレオラ。じゃ、先に行かせてもらうぜ。二人はサンタクローズを見送った。
アカネ達に見送られたサンタクローズが対峙したのは金色の装飾が施された第二世代自立型ドライバだった。金色の奴をぶっ飛ばしたいと思ってたんだ。サンタクローズが起動させる無数の武器型ドライバ。勝負は一瞬だった。肩慣らしにもなんねぇよ。
王都中に蠢く無数の第四世代自律型ドライバ。それは堕闇郷が改造を施した機体。俺達はザコでも掃除するか。ロアが預けた背中。道は綺麗な方が歩きやすいからな。ランが預けた背中。だから、みんなは先に行け。二人は戦場で背中を預けあっていた。
これはなんなんでしょ。フェリスとローガンの前には、今にも消えそうな無数の民が存在していた。王に仕えるには、ちいっとばかし心もとねぇなぁ。シェイクスピアが綴りし偽りの民には、王都への侵入者を攻撃する台本が用意されていたのだった。
あぁ、私は今、世界で一番美しい景色を見ているのですね。ヘンペルは王への道を切り開く民達に心からの賛辞を送っていた。これが、愛。なんと美しいことでしょう。これが、希望。なんと儚いことでしょう。あぁ、私は間違っていたのでしょうか。
息をする暇もなく攻撃を繰り出し続けるカゲロウ。殲滅対象ハ、炎才ノ息子。その対象はアカネだけだった。こいつの狙いは俺だけだ。だからお前は先に行け。会って、想いを伝えたい人がいるんだろ。だが、その言葉に対してレオラは首を横に振った。
一人、聖王が待つ場所へ。だが、サンタクローズを遮ったのは再び綴られた三つの戯曲だった。悲劇なんか、見たかないね。そしてあの日の嘘を口にする。だって俺は、みんなに幸せを届けるサンタクローズなんだ。その言葉は活路へと変わるのだった。
勝負しようぜ。それはロアの提案。悪くないんじゃない。それはランの返答。撃墜数を競いあう二人。別々にカウントされる撃墜数。だが、そんな二人は背中を預けあいながら、同じ未来を見つめていた。さぁ、さっさと終わらせて追いかけようぜ。
フェリスは楽しげに斧を振り回していた。随分やる気じゃねぇか。ローガンも負けじと撃ち出す銃弾。パパに褒めてもらいたいの。パパがいなくても、私は強くなれたんだよって。それは聖王のいなかった空白を肯定する為の、力いっぱいの笑顔だった。
トゥーン、トゥーン、ヨットゥーン。マクスウェルは新しい鼻歌を口ずさんでいた。やぁ、準備はどうだい。そんなマクスウェルに声をかけたロキ。うん、結構かなり大分ほどほど良い感じだよ。だけど、そっちは大丈夫かな。随分、劣勢みたいだけど。
きっとあの人だったら、あなたを守れと言うはずです。それは、一途に想うがゆえの想い。だから私はあなたを守り抜きます。じゃなきゃ、あの人に顔向けできません。恋焦がれていた乙女の恋は散り、そして散った恋は愛へと花開いていたのだった。
活路を遮る次の悲劇。あなたはロメオね。どうしてジュリエットが。運命に背きし二人の自由はかりそめだった。そして、再び綴られた悲劇はサンタクローズへ襲いかかる。運命に背いたのは、私も同じだよ。そしてもう一人、立場を捨てた美女がいた。
王の下に集いし民。だが、例外も含まれていた。あなた達の愛はキライよ。ヒルダとブラウンの前に姿を現したのはモルガンだった。彼が帰ってきたら、私は目的が果たせないの。パパから全てを奪う。そう、王都には、また別の思惑も存在していた。
来ると思っていたわ。ミレンの前に立ち塞がったのは隊服を脱ぎ捨てたリオだった。どうして、彼を求めるの。どうして、彼を楽にしてあげないの。リオはただ唇をかみ締める。それがあなたの優しさね。だが、ミレンはかつての仲間へ再び刃を向けた。
あぁ、困っているところなんだ。ロキは顔をしかめていた。彼らの成長は、ボクの想像を超えていたよ。このままじゃ、本当に辿りつかれちゃうかもね。そして、顔は笑顔に変わる。本当に、どうなるかわからないからさ。だからボクは、見たいんだよ。
だったら、いっきに終わらせようぜ。火がついた二人は畳み掛ける。俺はお前によく似た奴を知ってる。蘇る温かき思い出。だけど、そいつはお前みたいな瞳をしてなかった。もっとさ、温かい瞳をした奴だったよ。だからお前に、温かさを教えてやる。
かけつけたのは美女だけではなかった。僕も相手をさせて貰います。杖を構えたマーリン。約束は果たしたわ。銃を構えたナマリ。足ひっぱんなよ。笑みをこぼしたサンタクローズ。もちろん。笑みを浮かべたエリザベート。悲劇は終演を迎えていた。
なにその格好、ダッサ。ヒルダのついた悪態。この雨のなか、その格好は冷えるじゃろう。ブラウンが真似た悪態。アンタ達、死にたいのね。モルガンがみせた八重歯。私達はね、どうせあの時一度死んだの。だからこの命、捨てるのは怖くはないのう。
彼を殺してあげて。交わる刃。それは出来ない。交わる言葉。隊服を脱ぎ捨てながらも聖王の真意に従った女と、隊服を纏いながらも聖王の真意に背いた女。二人が見つめた未来は違えど、互いに一人の王の真意を大切にしたからこそのすれ違いだった。
そして、ロキは玉座の堕王へ語りかける。キミは聞こえるかい、この希望が。キミは見えるかい、この希望が。キミは感じるかい、この希望が。キミはこの希望を、どう受け止めるのかな。さぁ、選択の時だ。見せてもらえるかな、キミが選んだ道を。
レオラが切り落とした両翼。アカネが砕いた心。活動を停止したカゲロウ。んじゃ、その顔を見せに行こうぜ。間もなくして辿り着いたのは王の間。そして、目の前にはたった一つの玉座が置かれていた。だが、その玉座に『王』は存在していなかった。
俺たちの親友を、永遠の思い出を取り返しに行こう。王へと通じる道を進むサンタクローズ達。やがて現れた大きな扉。辿り着いたのは王の間。そして、目の前にはたった一つの玉座が置かれていた。だが、その玉座に『王』は存在していなかった。
そういうの大キライ。攻撃を止めたモルガン。いいわ、行ってらっしゃい。どうせ時間の問題よ。そして開かれた道。四人が辿り着いたのは王の間。そして、目の前にはたった一つの玉座が置かれていた。だが、その玉座に『王』は存在していなかった。
フェリスとローガンが駆けつけた時、すでに勝負は決していた。あなたの新しい隊服なら、用意してあるわよ。そんな四人が辿り着いたのは王の間。そして、目の前にはたった一つの玉座が置かれていた。だが、その玉座に『王』は存在していなかった。
これが彼の選択みたいだよ。悪戯な神の微笑みは喜びに満ちていた。少し伸びた前髪の隙間から見つめた大いなる希望。王都ティンタジェルの玉座、そこにいたのは人でも妖精でもなく、神の道を選んだ聖神アーサーだった。天高く掲げた剣、轟く雷鳴、崩壊する王都。王でなくなった男に、王都も、民も、必要なかった。
優しき人の血、綴られし妖精の血、禁忌の神の血、男の体に流れていた三つの血。そして男は、王都に訪れた大いなる希望を前に神の血を選択した。捨てられた人の血と妖精の血。それは人として過ごした永遠の思い出を、妖精の血による繋がりを捨てたのと同義だった。大いなる希望が、男にその選択をさせたのだった。
君に邪魔されたくないみたいなんだよ。王都からほど近い上空、近づいていた偽物の機体の前に現れたのは神才。だからちょっとの間、遊んでもらえるかな。神才の背後には目を覚ました六体の機体。だが、臆することのない偽りの機体。燃えるように稼動するエレメンツハート。再起動<リブート>、モード:ホムラ。
あなたには、沢山の想いが乗せられているよ。聖無才が収集したデータは、全てレプリカへ込められていた。偽物だけに搭載されていた機能、それは偽者であるが故に、何物にでもなれる自律変化の機能だった。撃墜された風速機と光明機。本当に凄いよ、君は。感動を覚えた神才。再起動<リブート>、モード:マブイ。
続け様に撃墜された炎熱機と闇磁機。再起動<リブート>、モード:カグラ。そして、残された水冷機と無音機が撃墜されるまでに5秒も要さなかった。息一つ乱れることのないレプリカ。君は本当に強いんだね。そして神才もまた、不安一つみせることはなかった。だからそろそろ、出番をお願いしちゃっていいかな。
そして、神才とレプリカの間を割って現れたのは原初の機体。立ち上がらなければ、二度も同じ目に合わなかったのに。再起動<リブート>、モード:ナユタ。それでもあなたは、偽物なの。ぶつかり合う光と光。互いに一歩も引くことのない攻防戦。本当に気に入らないわ。原初の機体は授けられた大きな翼を広げた。
放たれる無数の光線。だが、その全てを受け止めたレプリカ。直後の再起動<リブート>、モード:オロチ。それは守りを捨てた覚悟の姿勢。振り下ろされる大鎌、散った翼の羽。そんな、まさか。姿勢を崩した原初の機体は地上へ。ボクには翼がない。だけど、羽ばたけるって教えてくれた。みんなが教えてくれたんだ。
危ない、逃げて。神才がその場で書き換えたプログラムは原初の機体を再び稼動させた。そろそろ撤退だよ。神才と共に遥か上空へ退避した原初の機体。そして、レプリカが追いかけなかったのは、地上を多い尽くす無数の第六世代の量産型ドライバを目の当たりにしたからだった。再起動<リブート>、モード:ミヤビ。
轟く雷鳴、崩れる王都、玉座の聖神。それは大いなる希望が辿り着いた景色。俺はお前の選択を認めない。サンタクローズが漏らした声。だが、その声が神の道を選んだアーサーの心へ届くことはなかった。だけどね、キミたちの希望は無事に届いたよ。
お題は夢、希望、未来です。だが、少年が提出した作文は空白だった。なにも記されていなかった。普通の両親の元に生まれ、普通の兄と弟に挟まれ、何不自由なく暮していた少年には、特別な未来などなかった。何者でもなく、何かを持っていたわけでもないギンジ。だが、それこそが幼き少年を動かした衝動だった。
そこに何も存在していないのなら、それは終わりなのか、始まりなのか。だが、少年が選んだ答えはそのどちらでもなかった。まだ、始まってすらいなかったんだ。そして少年だけの物語が動き出す。そのとき、何者でもなかった少年に意味は生まれた。
サンタクローズは再び無数のドライバを起動させた。ここは危ない、隠れていてください。エリザベートへと促すマーリン。ううん、私はもう逃げないから。対峙した二人を見つめるエリザベート。そしてナマリはただ、その行く末だけを見つめていた。
なぁ、なんでだよ。炎を灯したアカネ。私が恋したのは、あなたじゃありません。レオラは剣を振り上げた。越権行為をお許し下さい。コートを脱ぎ捨てたミレン。パパの目を覚ましてあげなきゃ。フェリスは今すぐ飛びつきたい気持ちを抑えていた。
始末書は自分で書きます。ローガンは葉巻を咥えた。やっぱ、わかんねぇな。ロアが送る視線。それが俺らがここにいる理由だよ。ランが返す視線。一発じゃ済まないわね。ヒルダが引いた弓。ここにいては冷えますよ。それはブラウンの覚悟だった。
王都を取り囲むように姿を現したおびただしい数の【量産型ヨトゥン】。みな、同じ姿形をしていたのは、量産型であるが故の当然の事実だった。なぜ、神の手を持つほどの神才が、わざわざ量産型を開発したのか。それは神が人間に対して覚えた好奇心と、そして好奇心による探求の果ての一つの解答でしかなかった。
殲滅行動を開始した量産型。だが、偽物の機体は臆することなく次々と撃墜を繰り返す。再起動<リブート>、モード:――。立ち昇る白煙、雨に濡れた残骸。そして、偽物の機体一機が全ての量産型を撃墜し終えた時には姿を消していた神才と原初の機体。だからこそ、神才達は知らない。偽物の機体の七番目の姿を。
雲行き怪しくねぇか。馴れ馴れしく話しかけた男は窓越しの雨空を見つめていた。口の利き方は教えたはずだが。馴れ馴れしく話しかけられた男は苦言を呈していた。いいのか、放っといて。馴れ馴れしく続けた男。手なら打ってある。馴れ馴れしく続けられた男。炎聖人の執務机上、そこには腰をかけたフォルテがいた。
なんだ、俺にお願いごとじゃなかったのか。ふてくされたまま話し続ける男。貴様に課す仕事など、一つしかない。その言葉で動いた眉。なぁ、歌の仕事か。違う。一言の否定。貴様の歌に興味などはない。だが、貴様の腕に興味はある。表の顔は常界を揺るがすポップスター、そして裏の顔こそが炎奏徒フォルテだった。
自分を生んだ母が存在するのなら、その母にもまた、自分を生んだ母が存在する。そして、その母にもまた、母は存在する。無限に遡った果てに辿りついた女。どちらが生き残るか、見せてもらおうか。さぁ、争うがいい、我が息子達よ。始祖リリンは、その手にした鳥かごに閉じ込められた聖戦の行方を見守っていた。
うーん、やっぱりこっちの方が人間らしいね。神才は無数に並んだ巨兵を前に、一人で結論へと達していた。うんうん、やっぱりこの無個性が人間らしいよ。神才の瞳には、人間と量産型の巨兵が同じように映っていたのだった。つまり、これで完成だ。
帰って来い。聖神となったかつての聖王、アーサーへと向けた一斉攻撃。込められたそれぞれの想い。巻き起こる粉塵、鳴り響く衝撃、零れ落ちる涙、噛み締める唇、色褪せた永遠の思い出。だが、それぞれの想いは、六つの影により遮られたのだった。
我らが主君の子に手出しはさせない。訪れた静寂が姿を照らし出したのは、神刃型ドライバを手にした六人の神だった。神に抗いたいのなら、どうぞご自由に。悪戯な神は笑いが止まらなかった。皮肉だね、キミ達の行動が、彼にこの選択をさせたんだ。
聖神アーサーへと、それぞれに跪く北欧の神々。大いなる希望を見つめるアーサーの手をとったロキ。さぁ、行こう、ボク達が帰るべき場所へ。そして、ロキが見上げた空には、聖なる扉<ディバインゲート>が希望を蔑むかのように浮かんでいた。
帰ってくることのなかった聖王アーサー。神々と共に消えた聖神アーサー。目の前の現実を受け入れることの出来なかった王という希望を失った民。そして、そこに残されていたのは大いなる絶望。この日、最後まで雨が雪へと変わることはなかった。
あなたにはディバインゲートが見えていたのね。母は大切にしまっていた甲型ドライバ【イグナイト】をアカネに手渡した。やっぱり、親子ね。それじゃあ、行ってらっしゃい。そして炎の少年のディバインゲートを目指す長い旅路は始まったのだった。
少年は真実を拒み続けていた。ディバインゲートが見えたという事実さえも。だが、そんな少年に気がついた男がいた。そして水の少年は刀型ドライバ【ワダツミ】を受けとる覚悟を決めたとき、ディバインゲートを目指す長い旅路が始まるのだった。
少女は信じていた。ディバインゲートへ行けば、もう一度会うことが出来ると。だってあの日、私にはディバインゲートが見えたんだから。風の少女は棍型ドライバ【フォンシェン】を手に、ディバインゲートを目指す長い旅路を走り出したのだった。
お守りのように大切にしていた剣型ドライバ【リュミエール】が放つ光。そして、少女には見えた。その眩い光の果てのディバインゲートが。この光を辿れば、いつか。そして光の少女は、ディバインゲートを目指す旅路へと光に導かれたのだった。
少女の最古の記憶、それは目の前のディバインゲート。そして手にしていた鎌型ドライバ【アビス】から感じる懐かしさは、更に古い記憶である気がしてならなかった。その答えを知る為に、闇の少女はディバインゲートを目指す旅路を始めたのだった。
ディバインゲートが見えたかもしれない。だがそんなことは少年にとって、どうでもいい話だった。道端に転がっていた斧型ドライバ【ヤシャヒメ】を振り回す毎日。無の少年がディバインゲートを目指す旅路、それはやり場のない思いの行き先だった。
ほら、お前にお届けものだよ。その日、ジンソクはいつものように配達をしていた。ふんっ、呑気な奴だな。そんな言葉を返したのは同胞でもある神、ダンテ。そして、この時ジンソクはまだ知らなかった。自分の身に訪れていた完全なる不幸を。