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黄玉塔トパーズ、そこは光で満ちていた。誰もが迷うことなく最上階へと辿りつけるようにと散りばめられた光を放つ宝石。そんな塔にも迷える子犬が1匹。ただ、決して道に迷っていたわけではなく、この世界の、存在理由に迷っていた。
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トパーズの黄色い輝きの光に負けないほどの輝きを魅せていたのは光の妖精、聖なる乙女。常界<テラスティア>と天界<セレスティア>に住まう者が安全に行き来出来るようにと、その聖なる力で予期せぬ侵入者にのみ、光の刃を向けていた。
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第三階層で聞こえた鳴き声、それは幾重にも重なって聞こえた。怒り声、悲しみ声、喜び声、怒り声、悲しみ声、喜び声、怒り声、悲しみ声、喜び声、聞こえてきたのは3種類の9つの鳴き声。気がつけば、3つ首の光の番犬が、すぐ側まで来ていた。
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度重なる戦いに呼応して、塔の警戒レベルが4を突破した時、鳴り響いた警報に混ざって聞こえた大きな機動音。圧倒的旋回力で侵入者の前に現れる大型の自立型ドライバ。長い身体をくねらせながら、予期せぬ侵入者を、どこまでも追い続ける。
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止まったエレベーター、開いた扉、差し込む光、それはここが最上階であると共に、すぐそこに絶望があるということを知らしめた。鳴り響いたのは遅れた轟音。音よりも早く届いたその光は、最上階の光竜が呼び寄せた雷鳴だった。