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子供たちは知らなかった。なぜニコラスが姿を消したのか。切り取られた家族写真。子供たちは知らなかった。なぜニコラスが決定に従ったのか。すべては子供たちを守るため。そう、ニコラスはすべての事実を抱え、たったひとり姿を消したのだった。
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聖人として生きるニコラスの楽しみはひとつ。使徒ドロッセルが集積した子供たちの成長の記録。抱きしめることも、会うことすらも叶わない子供たちの成長の記録。ただ遠くからその成長を見守ることだけが楽しみだった。あぁ、いい大人になれよ。
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やがて刻は経ち、ふたりの子供は別々の道を歩き出した。アーサーに届けられた世界評議会への推薦状。どうして、普通に生かしてやれないんだ。怒りを堪えるのに必死なニコラス。だが、そんなニコラスを牽制する決定者たち。君は父じゃなく聖人だ。
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やがて、何の因果か、聖なる扉の前で堕ちたアーサー。そんなアーサーを昔からの名前で呼び続けるサンタクローズ。その一部始終を遠く離れた場所から見つめることしか出来なかったニコラス。こんな結末になるくらいだったら。俺はイマの世界を―。
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だが、ニコラスが思い留まったのは、最期のときまでアーサーの瞳が真っ直ぐだったから。あぁ、これはアイツが望んだことなのか。子供が自分の足で進んだ未来を、否定する親がいるだろうか。だからニコラスはアーサーを肯定しようとしたのだった。