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強くなったじゃん。シオンの鍵爪を受け止めたヒスイは嬉しそうだった。だったら、こっちも本気出さなきゃ失礼だよな。シオンを襲うのは多節に別れた棍。どうしてなんですか、お兄様。それでもなお、シオンはこの戦いを認めようとはしなかった。
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お前は初めから生贄だったんだよ。ヒスイの告白。俺は俺のやりたいようにやる。そのためには、ウチから聖人を出す必要があった。だから、お前に生贄になってもらったんだ。その言葉に、思わず笑みを浮かべたシオン。お兄様は、嘘が下手ですね。
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だが、その下手な嘘はシオンに戦う決意をさせるには十分だった。お兄様がそこまでして、私と戦うというのであれば、私は全力で戦わせてもらいます。そうだ、それでいい。再び交わる刃。ふたりは全力で戦いながらも、どこか楽しそうにみえた。
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聖人と竜神の力のぶつかり合い、それはふたりが互いに集中していなければ、常界に多大なる被害をもたらしていただろう。だが、互いを想いやるふたりには、互いの姿しか瞳に映りはしない。さぁ、これで終わりだ。先に膝をついたのはシオンだった。
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じゃあな。シオンを労ることなく去るヒスイ。シオンへ駆け寄るリヴィア。明かされる真意。闇聖人は裏切ることなく、世界の決定に従った。もし僕たちが決定者に敗れても、君は罪に問われない。そう、どう転んでも、兄さんは君を守りたかったんだ。