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天界が生まれたとき、世界を治めていた妖精王ニコラス。そして、それは神の掌の上の箱庭。だからこそニコラスが企てた神々への反乱。そして、その反乱はニコラスの死をもって終わりを迎えた。だが、君は聖人として生き、世界の決定に従い続けよ。
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そして、天界には代々綴られし王が置かれるようになった。ニコラスは聖人という生き物として、自分の感情を殺して長き刻を生き続けた。何度も崩壊と再生を見届けてきた。だが、いつかニコラスは思った。年に一度でいい。年に一度でいいから―。
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―世界中のみんなに幸せになってもらいたい、と。こうして、ニコラスはサンタクローズの仮面をかぶった。いくつもの世界でサンタクローズの仮面をかぶり続けた。世界中のみんなに幸せを届け続けた。いつか終わる世界でも、幸せになって欲しいと。
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沢山の子供の寝顔と出会ったニコラス。そして、ある日ニコラスは思い出してしまった。純真無垢な子供たちが持つ無限の可能性と、ひとりの男として子供が欲しいという感情を。やがて出会ったひとりの女。こうして、ニコラスの子供は生まれてきた。
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だが、それでもニコラスは聖人という生き物だった。聖人に告げられた世界の決定。禁忌の血を引く子供を廃棄せよ。伝えられるがまま向かった美宮殿。そこで待っていた女と禁忌の子供。ニコラスは子供へ尋ねた。なにか最期に欲しいものはあるか。