-
あの日の私たちの王様は正しかった。私はこの戦争に勝って、それを証明する。そして、いまの彼は間違っていると証明する。今も昔も、ファティマの心はかつての魔王の姿に縛られていた。だから、鞘を探していたのね。ヴィヴィアンはそっと呟いた。
-
ファティマが鞘の力を使い、再生させたかったのは、かつての魔王そのものだった。だが、それを待たずして蘇った堕魔王。そして、そのヴラドの体も、命も、すべて仮初に過ぎなかった。私の手で、彼を蘇らせるのよ。そう、気高き魔界の王として。
-
だとしたら、やっぱり負けるわけにはいかないね。ヴィヴィアンはファティマの理想を否定した。いつかは、こうなるってわかってた。だけどね、私にもね守らなきゃいけない子たちが沢山いるの。だから、いまこそすべての因果を断ち切らせてもらう。
-
もし魔界が敗北し、今度こそ完全なる敗北が訪れたら。それは、統合世界における古から続く争いの終結であり、平穏へと繋がる。だから、私達にけしかけさせたのね。ヴィヴィアンの無言が意味した肯定。きっと、あの日の彼もそれを望んでいたから。