統合世界図鑑
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EP:黄金の夜明け
黄金の夜明け:序章Ⅰ
黄金の夜明け:序章Ⅰ
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これで、僕という存在は完全になった。仕組まれていたのは数々の犠牲。その上に、僕という存在が立つんだよ。そっと呟く独り言。完全世界なんて、存在しない。そして、真教祖の声明が、新たな教団の幕は上げる。さぁ、黄金の夜明けを始めようか。
黄金の夜明け:序章Ⅱ
黄金の夜明け:序章Ⅱ
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辿り着いたグリモア教団本部本館。地下から響き渡る歓声。これは、あの日の私の責任だ。ノアの口から語られる神話。竜が神に敗れた時、そこに存在していた例外。だから私は、奴を許すわけにはいかない。そして、ノアは火竜と共に、地下祭壇へと。
黄金の夜明け:序章Ⅲ
黄金の夜明け:序章Ⅲ
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だったら、お姫様は私が助けに行くね。それは、いつかの恩返し。だって、あなたの大切な人なんでしょ。それは体を捨てた火竜へと向けられていた。きっとね、あの子はあなたと出会えて、幸せだったと思うんだ。だからこれは、私からの恩返しだよ。
黄金の夜明け:序章Ⅳ
黄金の夜明け:序章Ⅳ
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おまたせっと。遅れて現れたのは、少しだけ息の上がったオリナだった。にしても、情けないなぁ。声をかけた先にいたのはライル。だから、まだやれるって。そして、二人は鞘の回収へ。その場に姿を現さなかった、アスルのことを気にかけながら。
黄金の夜明け:序章Ⅴ
黄金の夜明け:序章Ⅴ
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姿を現さなかったのは、アスルだけではなかった。無事だといいんだけど。漏れ出した不安。僕なら、無事だから。更に遅れて現れたアオトの服は赤色に染まっていた。そして、そんなアオトに肩を貸す、一人の男の姿があった。紹介するよ、僕の弟だ。
黄金の夜明け:序章Ⅵ
黄金の夜明け:序章Ⅵ
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ちゃんと挨拶しなって。だが、目を逸らすアリトン、あえて何も聞かない仲間達。そして、そっと発せられた言葉。僕は、弟でもなければ、西魔王でもない。だから僕はね、僕の戦いの続きを始めるよ。それは、旧教祖が与えた特別な任務の続きだった。
黄金の夜明け:序章Ⅶ
黄金の夜明け:序章Ⅶ
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やっぱり、そうだったのね。囚われの身であるカナンは雷帝竜へと問いかける。そうよ、アタシはね、アンタも、竜王も、道化竜も、竜界のみんなが大嫌いなの。もちろん、創られた教祖様もね。そう、雷帝竜が信じていたのは、初めから真教祖だった。
黄金の夜明け:序章Ⅷ
黄金の夜明け:序章Ⅷ
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真教祖の討伐、囚われた姫の奪還、奪われた鞘の奪還、それぞれの目的の為、本館に集った者達は再び、散り散りとなった。そして、誰もいなくなった本館へ、北館からの通路を通り現れた人影もまた、自らの目的の為に、動き出していたのだった。
黄金の夜明け:ミドリⅠ
黄金の夜明け:ミドリⅠ
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きっとここにも、沢山の想いが集まっているんだね。友達の弟の言葉を頼りに、地下牢への道をひたすらに走るミドリ。だが、そんな彼女の行く手を塞ぐように現れたのは堕風才だった。こうして会うのは、初めてね。でも、初めて会った気がしないよ。
黄金の夜明け:ミドリⅡ
黄金の夜明け:ミドリⅡ
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それは恩師の親友であり、かつての仲間の産みの親だったからだった。私はあなたのこと、止めなきゃいけない。構えた棍。だが、堕風才はその道をあっさりと明け渡した。あの子を倒してくれてありがとう。もし、あなたが倒せなかったら、その時は。
黄金の夜明け:ミドリⅢ
黄金の夜明け:ミドリⅢ
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誰だって、友達を自分の手にかけたくはない、それは堕風才も同じだった。ウチもあの時、そうしたくなかった、沢山反対したヨ。だが、離れていた時間は長すぎた。今さら、私は誰も信じることは出来ない。だから私は、あの日の自分だけを信じるの。
黄金の夜明け:ミドリⅣ
黄金の夜明け:ミドリⅣ
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堕風才に別れを告げ、辿りついたのは竜界の姫が囚われていた地下牢だった。よくここまで来られたわね。待っていたのは雷帝竜。お姫様を、返してもらいにきたよ。なんで、アンタみたいな人間が肩入れすんのよ。人間とか関係ない、心は一緒なんだ。
黄金の夜明け:ミドリⅤ
黄金の夜明け:ミドリⅤ
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だが、ミドリに残された体力は限界を迎えようとしていた。なによ、偉そうなこと言ったって、所詮は人間ね。棍を握る力は抜け、立つことに精一杯だった。そろそろ、死んでもらおうかしら。雷帝竜の最後の一撃が轟く。やっぱり、心は一緒なんだ。
黄金の夜明け:ミドリⅥ
黄金の夜明け:ミドリⅥ
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最後の一撃を受けとめたのは、古ぼけた機械だった。本日に限り、当園のパレードは出張とさせて頂きます。ウサギのきぐるみは告げる。小さな犬は獣を呼び出し、背の高い案山子は風の刃を、翼の獅子はその鋭い牙を、それぞれの想いを放つのだった。
黄金の夜明け:ミドリⅦ
黄金の夜明け:ミドリⅦ
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みんながね、どうしても行きたいって言うんだ。それは、言葉ではなく、心の声だった。誰かが監視カメラを壊してくれたおかげで助かったよ。牢屋の扉が開かれると共に、響き渡る竜の咆哮。救出された竜界の姫は、少し複雑な表情を浮かべていた。
黄金の夜明け:ミドリⅧ
黄金の夜明け:ミドリⅧ
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遠く離れた丘の上から、崩れる教団本部を見守るミドリ達。そして、いつの間にか鳴き止んでいた竜の咆哮。そういう、ことなのね。ただ、悲しい瞳で見守る永久竜。見届けてやれよ。ミドリ達のすぐ横には竜神がいた。見届けたら、俺について来い。
黄金の夜明け:アオトⅠ
黄金の夜明け:アオトⅠ
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これは、僕の戦いだから。刀を構えたアリトン。だったら、これは僕の戦いでもあるから。傷ついた体で刀を構えたアオト。目的は違えど、想いの交差する蒼き兄弟。そして、そんな二人に切りかかる堕水才と水波神。再び、初恋が始まろうとしていた。
黄金の夜明け:アオトⅡ
黄金の夜明け:アオトⅡ
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だから、僕の戦いなんだ。一人、刀を手に立ち向かうアリトン。やっぱり、君は裏切ったんだね。水波神はその刀を弾いてみせた。裏切ってなどいない、これは僕の信じた教祖様の心からの願いだ。旧教祖が伝えた特別な任務、それは教団の壊滅だった。
黄金の夜明け:アオトⅢ
黄金の夜明け:アオトⅢ
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教祖様は、僕を受け入れてくれた。振るう刀。だけど、もう教祖はいないよ。弾かれる刀。罪を重ね、自分を肯定するしかなかった僕を、受け入れてくれたんだ。荒ぶる心。そして生まれた隙間。襲い掛かる刃。だが、それでもアリトンは守られていた。
黄金の夜明け:アオトⅣ
黄金の夜明け:アオトⅣ
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水の刃を弾いたのは、アオトの刀だった。君は、悪魔なんかじゃないよ。傷ついた体が抱き起こしたアリトンの体。あの日、僕は逃げた。だけど君は、逃げなかった。悪魔になるべきは、僕だったんだ。アオトは全ての罪を留めようとしていたのだった。
黄金の夜明け:アオトⅤ
黄金の夜明け:アオトⅤ
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そして、そんな二人を前に堕水才の動きは止まっていた。どうしたんだ。水波神の問いに、答えようとしない堕水才。堕水才の瞳に映し出されていたのは、あの日の瞳ではなかった。そう、蒼き兄弟の瞳は、共に濁ることなく、澄み切っていたのだった。
黄金の夜明け:アオトⅥ
黄金の夜明け:アオトⅥ
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違う、違う、違う、違う、違う、違う、堕水才の脳裏を埋め尽くす言葉。だが、蒼き兄弟はその隙を見逃しはしなかった。あの日覚えた初恋は、恋する人の手により、終わりを迎えた。それ故に、堕水才の初恋は最高の形で終わりを迎えたのだった。
黄金の夜明け:アオトⅦ
黄金の夜明け:アオトⅦ
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聞こえてきた竜の咆哮、それは脱出の合図だった。それでも退こうとはしないアリトン。これは、僕の任務だから。だが、そんなアリトンに差し出された兄の掌。一緒に逃げよう、君は彼女の分まで生きなきゃいけない。それだけは、君が留める罪だよ。
黄金の夜明け:アオトⅧ
黄金の夜明け:アオトⅧ
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崩れ落ちる教団本部を背に、蒼き兄弟は約束を交わした。僕はこれからも、アオトとして生き続ける。それは弟の自由の為に。僕はこれからも、アリトンとして生き続ける。それは罪を償う為に。僕はもう、戻れない。だから行くよ。さよなら、兄さん。
黄金の夜明け:オリナⅠ
黄金の夜明け:オリナⅠ
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オリナとライルは、鞘が格納されているという地下宝物庫への道を急いでいた。ちゃんと走りなさいって。遠慮しないオリナ。うっせーな。強がるライル。そして、そんな二人が気にしていたのは、鞘だけではなく、行方不明の一人の仲間のことだった。
黄金の夜明け:オリナⅡ
黄金の夜明け:オリナⅡ
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君たちが探しているのは、聖なる鞘かな、それともこの少年かな。二人の前に立ちふさがったのは執事竜。そして、目の前に投げ捨てられたアスル。最悪の形で果された再会。絶対許さない。よっぽど殺されたいみたいだな。二人は、怒りを露にした。
黄金の夜明け:オリナⅢ
黄金の夜明け:オリナⅢ
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たった二人で何が出来るというのだ。執事竜の背後から現れた新南魔王と新東魔王。余裕の笑みを浮かべる三人。悪いけどさ、二人だけじゃねーんだ、出て来いよ。直後笑みは焦りに変わった。なぜ、貴様がここに。派手にいくぜ、レッツ、ハッピー。
黄金の夜明け:オリナⅣ
黄金の夜明け:オリナⅣ
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そこには、傷だらけの旧北魔王が重火器を構えていた。あのまま死んでいれば、完全な存在になれたというのに。死ぬのはテメェの方だ。だが、一人加わったところで、オリナ達の劣勢に変わりはなかった。もう一人加わったら、どうなるかな、けひひ。
黄金の夜明け:オリナⅤ
黄金の夜明け:オリナⅤ
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現れた旧東魔王。私はあんたらを助けたいんじゃない、こいつらが許せないだけ。続く攻防戦。君たちはもう、過去なんだ。思い出に消えてくれ。何度倒れようとも、立ち上がり続ける四人。いくら頑張ったって無駄だよ、ここに鞘なんてないんだから。
黄金の夜明け:オリナⅥ
黄金の夜明け:オリナⅥ
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すでに、鞘は宝物庫から運び出された後だった。そんなことって。動揺するオリナ。君たちが来ることは、初めからわかっていたよ。だったら、なんでオマエらがここで道塞いでんだよ。ライルが突いた核心。この先には、大切な何かがあるんだろう。
黄金の夜明け:オリナⅦ
黄金の夜明け:オリナⅦ
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その言葉で活気を取り戻したのは旧魔王二人だった。聞こえた竜の咆哮。チビを抱えて逃げろ。オリナ達とすれ違う人影。ここは俺達が食い止める。旧北魔王は銃声を響かせる。だから、あんたが迎えに行きなさい。旧東魔王は人影を見送ったのだった。
黄金の夜明け:オリナⅧ
黄金の夜明け:オリナⅧ
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傷だらけの仲間を抱えながら教団本部を脱出したオリナ達は、教団本部が崩れ行く様をただ見つめていた。果たせなかった任務を、悔いてる暇なんてないぜ。その裏側、既に他の隊員達は動き始めていた。夜明けが昇るのは、いったいどっちなんだろう。
黄金の夜明け:ノアⅠ
黄金の夜明け:ノアⅠ
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教団本部地下祭壇へ向かうノアの表情は、いつにもなく硬かった。きっと、これが最後なんだろうな。そして、行く手を阻む二人の水の魔物。ここから先へは、行かせない。だったら、僕が相手をするよ。ノアの背後、教団の裏切り者は姿を現した。
黄金の夜明け:ノアⅡ
黄金の夜明け:ノアⅡ
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それでは、先に進ませてもらおうか。続く地下道、立ちはばかる無数の教団員。まずは、僕の魔法をご覧下さい。オズが鳴らした指先。そこに現れたのは、炎が模した三つ編みの少女と、小さな犬、背の高い案山子と、翼の獅子、古ぼけた機械だった。
黄金の夜明け:ノアⅢ
黄金の夜明け:ノアⅢ
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六つの炎が切り開く王の道を進むノア。あの日、お前を連れ戻していたら。頭を過ぎる後悔。だが、その後悔は、すぐに温かな炎が燃やし尽くした。もし、そうしていたら、お前は皆と、出会えなかったんだな。六つの炎は、止まることを知らなかった。
黄金の夜明け:ノアⅣ
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家族の思い出は炎となり、ノアの進む道を照らし出していた。歩みを止めることのないノアが辿りついたのは、一つの開かれた扉。踏み入れた地下祭壇、その先には真教祖が鎮座していた。久しぶりだね、古の竜王様。そして、出来損ないの道化竜もね。
黄金の夜明け:ノアⅤ
黄金の夜明け:ノアⅤ
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始まった攻防戦。君は、王に相応しくないよ。だが、ノアは動じなかった。あぁ、知っている。その言葉の込められた意味。僕が、統べる者になる。無数に湧き出る教団員。私は王様失格だからな。古の竜王は、古へと帰る覚悟を決めていたのだった。
黄金の夜明け:ノアⅥ
黄金の夜明け:ノアⅥ
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私は王でありながら、あるまじき道を選んでしまった。その証拠が寄り添う罪深き道化竜だった。まさか、初めから。焦りを隠せない真教祖が出したのは各教団員への避難勧告。だから、私は古の竜王なんだ。新しい時代は、貴様以外の誰かに任せよう。
黄金の夜明け:ノアⅦ
黄金の夜明け:ノアⅦ
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グリモア教団本部全域に轟く竜の咆哮。それは炎となり、辺りを紅く包み込む。もうじき、ここも崩れるだろう。その咆哮は、あらかじめ決められていた脱出の合図。私達はもう、今の時代に必要ないんだ。紅く染まる言葉。だから、共に眠るとしよう。
黄金の夜明け:ノアⅧ
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鳴り止んだ竜の咆哮、いつまでも燃え盛る炎が照らし出したのは夜明け。この日、グリモア教団本部は全壊した。そして、一夜明けようとも、五夜明けようとも、十夜明けようとも、古竜王ノアと、従えた道化の火竜が竜界の玉座に戻ることはなかった。
黄金の夜明け:終章Ⅰ
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みなみまおーは、ずっといっしょにいてくれますか。それは、幼き日に交わした何気ない約束。だが、少女は幾つ歳を重ねようと、その約束を忘れることはなかった。そして、そんな約束を交わした相手もまた、二人の約束を忘れることはなかった。
黄金の夜明け:終章Ⅱ
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南館からの侵入者は、再び旧教祖の手を引いた。そこには旧教祖と旧南魔王という関係ではなく、一人の少女と南従者という関係が存在していた。さぁ、ここから抜け出しましょう。そして、この日、旧教祖は本当の意味での外の世界を知ったのだった。
黄金の夜明け:終章Ⅲ
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私はもう、教祖ではないのだ。旧教祖は涙ながらに訴える。ええ、存じております。だから私は、南魔王ではなく、南従者なのです。そして、私だけではなく、きっと彼らも同じはずです。二人は崩れ行く教団を眺めながら、かつての三人を待っていた。
黄金の夜明け:終章Ⅳ
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教団を後にした旧東魔王の後ろ、ふと姿を現した堕風才。全部知ってたのね。口を閉ざしたままの堕風才。今更、ごめんなさいだなんて聞きたくない。遮られた言葉。私とあなたは、選んだ居場所が違った、それだけの話よ。いつかまた、会いましょう。
黄金の夜明け:終章Ⅴ
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兄に別れを告げた旧西魔王は流水獣の待つ浜辺へ。そこで待っていたのは、流水獣だけではなかった。もう一人の待ち人を抱きかかえ、そっと海へ。さよなら。水面に浮かぶ体。最高の現世はまだ終わらないよ。そして、繋いだ手は解かれたのだった。
黄金の夜明け:終章Ⅵ
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旧北魔王は左腕に残った傷跡に、もう一筋の傷を足した。これで、お別れだ。そして首輪に手を伸ばし、自らの手でベルトを締めた。これは服従の証なんかじゃない、忠誠の証だ。これから始まる未来、振られた尻尾は、振り止むことを忘れていた。
黄金の夜明け:終章Ⅶ
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ほら、見てください。南従者の一声は、旧教祖の視線を誘導するに十分だった。西から男が一人、北から男が一人、東から女が一人、装いを新たにした三人が、再び一つの場所へと集まろうとしていたのだった。そしてほら、もうじき、夜が明けますよ。
黄金の夜明け:終章Ⅷ
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崩れ落ちた砂上の楼閣を見下ろす旧教祖。そして、再び集った四人の従者は、それぞれの想いで思い出に手を振る。私達は、不完全な世界に生きるんだ。風になびく金色の髪。さぁ、ここからもう一度始めよう。そこには、黄金の夜明けが訪れていた。
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