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ライルという名の孤児がいた。ヴィヴィアンにとって、その孤児は都合の良い存在だった。そして、ライルはヴィヴィアンに引き取られたとき、幼くして運命が決定づけられていた。そう、このときから、ライルはアーサーという鎖に縛られていた。
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それでも、ヴィヴィアンは愛を込めて育てた。だが思春期のライルにとって、本当の両親がいないというのは道を逸れるのに十分な理由だった。そして時は流れ、喧嘩、酒、女に明け暮れる毎日。そんな荒くれ者の噂がアーサーへと届けられたのだった。
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常界の路地裏、出会ってしまったふたり。そして交された約束。いつか俺がオマエを殺す。あぁ、それまで俺は、誰にも殺されやしない。与えられたランスロットというコードネーム。こうして、危険をはらんだ9人目の円卓の騎士が生まれたのだった。
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ランスロットは信じていた。アーサーの大それた言葉に嘘偽りはないと。だからこそランスロットはアーサーに従った。そして知ることになる自分の存在理由。幼き日から自分を縛り続けていた鎖。運命。コイツを殺すのは、俺じゃなきゃダメなんだ。
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ヴィヴィアンとふたりで生きてきたランスロットにも居場所が生まれた。馴れ馴れしく接してくる同世代の同僚。無駄につっかかってくる生意気な弟分。その他大勢の仲間。アーサーを殺すと想いながらも、かけがえのない仲間たちが生まれたのだった。