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ミレンの右手が扉を4回鳴らした。失礼します。開かれた扉の先、そこは机がふたつだけ置かれた小さな執務室だった。本日からお世話になります、ミレンと申します。近づく人影。伸ばされた右手。そして、その手を握った右手。始まりは右手だった。
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アーサーとミレン、ふたりだけの部署。宛がわれる仕事は小さなものばかりだった。だが、仕事に大小は関係ない。いつだってアーサーは真剣だった。そんなアーサーを支えるミレン。二人三脚の日々が育む信頼関係。そして小さな右手は、王の右腕へ。
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アーサーが与えたコードネーム、トリスタン。アーサーがなぜ特務機関という組織を発足し、各員にコードネームを与えていたのか。そこには職務上の都合もあった。だが、ミレンは気づいていた。組織という家族を、名前を与える意味の本当の想いを。
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ボスであるアーサーが前線へと赴き、トリスタンが執務室で指揮を執ることも多々あった。そして、トリスタンが思うことはいつもひとつ。どうか、みんな無事で帰って来ますように。そう、アーサーと選ばれし12人の居場所を守りたいと思っていた。
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机がふたつだけ置かれていた執務室は気がつけば13人座れる円卓が収まるほどの広さへと。そして、その円卓に集いし王と12人の騎士。アーサーは告げる、ディバインゲートへ向かうと。行われた晩餐、それが13人全員が揃いし最後の晩餐だった。