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しばらく見ないうちに、随分といい女になったじゃねぇーか。ただその場所で立ち尽くすことしか出来ないライルの側を通り過ぎ、そしてファティマへと歩み寄るのは現れた現天界の王、堕魔王ヴラド。いまでも俺の命令がきけるのなら、すぐ避難しろ。
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ヴラドが口にした避難勧告。それがなにを意味しているのか、ファティマは瞬時に理解した。直後、背中越しに感じたのは憎悪の力。それがいまの、オマエなんだな。現れたのは、現魔界の王、堕精王オベロン。こうして、ふたりの王は再会を果たした。
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見詰め合うふたりの王。そして、そのふたりの姿を見れば、互いに決めた覚悟は明らかだった。本当のことを、伝えなくていいのか。ライルが開いた口。いまさらコイツに、なにを伝えても、信じてもらうことなんか出来ねぇんだよ。それが天界の罪だ。
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オマエらも、さっさとここから避難しろ。ふたりの王を前に、自分達ではどうすることも出来ないと悟ったライルとリオ。そして、いまだに言葉すら発することの出来ないファティマ。それじゃあ、始めようか。あの日の続きを、オレ達の戦いを。
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向かい合うふたりの王。元魔界の王、そして現天界の王、堕魔王ヴラド。対するは元天界の王、そして現魔界の王、堕精王オベロン。そんなふたりを大切に想う竜神が守り抜いた、神も竜も、誰も邪魔することの出来ない最後の戦いが始まるのだった。