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いつその力が暴走するかもしれない聖なる扉の欠片であったアーサーを救う唯一の方法、それは鞘の力を使い、その体を普通の人へと修復すること。鞘を受け取ったアーサーは残された命を振り絞りながら、世界を見つめていた。あぁ、俺は決めていた。
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そう、決めていたはずなんだ。だが、どうして。俺は死ぬのが怖いのだろうか。瞳から零れ落ちた涙。そうか、俺が恋した世界は、みんながいたから愛せたんだ。もし、許されるのなら、いや、許されなかったとしても、俺はイマの世界で生きたいんだ。
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あの日、否定され続けた命は肯定された。そして刻は経ち、再び肯定されたその命。アーサーを包み込んだ鞘の光。みな、口を揃えてこう言った。世界の敵だったアーサーは処刑された、と。そして、みな、口を揃えてこう続けた。お帰りなさい、と。
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西暦2017年5月28日、聖なる扉の消滅を観測した。終わりを迎えた聖暦という時代、終わることのないイマの統合世界<ユナイティリア>。炎の少年、水の少年、風の少女、光の少女、闇の少女、無の少年、6人の長き冒険の旅は終わりを迎えた。
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彼らの冒険を、最後まで見届けてくれてありがとう。彼らに代わり、私から礼を述べさせてもらおう。きっと、彼らはこれから過去になるだろう。だが、どうか彼らのことを忘れないであげて欲しい。イマを生きることを選び、必死に戦い抜いた彼らを。
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不確かなイマ、それは決して完全なものではなく、脆く儚い世界。悲しいこともあるだろう。傷つくこともあるだろう。涙することもあるだろう。だが、それが生きるということなのだから。もし、辛くなったら思い出して。必死に生きた彼らのことを。
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彼らが生きた記憶は、みなの心の中で生き続けるのだから。そう、観測はここで途切れる。だが、それは決して終わりではないんだ。そうさ、イマの世界は続いていく。共に、不確かなイマを生きていこう。大丈夫さ、私たちと出会えた君なら、きっと。
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そして、扉を越えた彼らになにが待っていたのか、もう少しだけ彼らの未来を覗いてみようか。それが、私から君への最後の贈り物だ。またいつの日か出会えることを願って、再会を約束しよう。さよなら。 記・観測神クロノス
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イマもまれに、統合世界の各地で火元不明の小火が起きるらしい。きっと、フレイリウムのせいだろう。
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一年に一度、常界の海に大量に現れるウォタリウムの群れ。そんな群れを観察して楽しめるのも、統合世界に平和が訪れた証しだろう。
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晴れ渡った空を見上げた。そんな空を優雅に漂うウィンドリウム。心地の良い風が吹いていた。
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天界で遊んでいたシャイリウムでさえ、年に一度、悼みながら、天界のイマを守った王への温かい光を注いでいた。
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ダクリウムはイマも世界征服を夢見ているかもしれない。魔界のイマを守った王の背中を見つめながら。
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ムムリウムの研究の果て、辿り着いた無の答え。そう、その研究こそが意味のあるものだったと。
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イマもどこかで、メガヒノポックルンはマッチを擦りながら遊んでいることだろう。
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たまに水辺でメガミズポックルンが水鉄砲大会を開催しているらしい。
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メガカゼポックルンが見つけた就職先は、風の宅急便屋さんでした。
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可愛らしいメガピカポックルンは、愛を運ぶキューピッドだという噂が流れているようだが、真実は定かではない。
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メガヤミポックルンは、ボクシングポックル級世界チャンピオンになった夢をみたらしい。
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清掃の仕事を始めたメガコロポックルン。だが、清掃の仕事を依頼すると、素敵なグラフィティが仕上がる。
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ニャオ・ヒーは火想郷アルカディアで、いまだ帰ることのない炎の起源を待ち続けている。
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竜宮郷ニライカナイで水の起源を待ちながらも、ニャオ・スィーはイマもグルメを追い求めている。
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蓬莱郷ホウライの近くを浮かんでいたニャオ・フーは、いつか風の起源が風に乗って帰って来る日を心待ちにしている。
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光の起源は帰ってこない。そんな悲しみを包み込むよう、永遠郷シャングリラでニャオ・ピーはイマも肥え続けている。
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死後郷エリュシオンに集まった死者たちの魂を弔うよう、ニャオ・ミーは優しい鳴き声をあげていた。
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地底郷アガルタに無の起源は存在していない。だが、それはイマの結果であり、意味は存在した。そう、ニャオ・ムーが存在しているように。
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親子三人仲良く暮らす千本鳥居、そこでクビギツネたちも親子仲良く暮らし続けている。
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戦いが終わり、再び女王が帰ってきた不思議の国で、イマもハティの遠吠えは鳴り響く。
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眠れる森で眠るのは、戦いを終えて帰ってきた女王。そんな女王と共に、ベヒモスは穏やかな眠りの中へ。
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ガラスの城の舞踏会。女王の帰還の祝福、散っていった者への弔い、イマの世界への希望、ケルベロスの3種類の遠吠えは鳴り響いた。
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夜が明けた月御殿、耳澄ませばヤタガラスの歌が聞こえるだろう。
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ある日を境に、毒を撒き散らすことを忘れたバジリスク。そう、争いは存在しないのだから。
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唯一残されたフィアトロン:ドライは、炎才を弔う常界の科学館に展示されている。
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イマも唯一稼動しているウォタトロン:ドライは、なぜか、そこで告白をすると初恋が実ると言われる公園に設置されていた。
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ウィンドロン:ドライのフィンを利用して作られた小さな風車は、天界の優しい風を浴び、イマも静かに回り続けている。
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稼動し続ける幸せの白兎研究所で、ライトロン:ドライはイマの人々が作る幸せを照らし続けていた。
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すべてのダクトロン:ドライの稼動停止が確認されたのもまた、恋の傷が癒えたからだろうか。
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最後の一機となってしまったノントロン:ドライへ、聖無才がかけた言葉。ありがとう。いままで、お疲れさま。
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常界の科学館に展示されたソードアーム:セカンドは、長きに続いた戦いの終わりを物語っていた。
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ランスアーム:セカンドは、統合世界を裏切りながらも、統合世界を守り抜いた騎士の象徴として、その姿をモチーフとした銅像へと生まれ変わった。
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アローアーム:セカンドが蓄積したデータの利用先は未定であるが、その蓄積されたデータは堕風才へと委ねられていた。
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被災地の復興のための稼動を最後に、すべてのアクスアーム:セカンドは稼動を停止した。
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悪意の象徴として、サイズアーム:セカンドは堕闇卿の手により、すべてが廃棄された。
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イマも工事現場で鳴り響くドリルの音。もしかしたら、ドリルアーム:セカンドの技術が流用されているのかもしれない。
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炎才の科学館の中央広場には、サラマンダー:バーストが展示されている。
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魔界のとある臨海公園、そこには沢山の子供が遊ぶ遊具として、リヴァイアサン:バーストが再利用されていた。
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すべての戦いが終わり、その象徴にと作られた常界の平和記念公園には、ヨルムンガルド:バーストが、生い茂る緑に包まれながら展示されていた。
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記念館として生まれ変わった理想郷アヴァロン、そこにはファーブニル:バーストが展示されているという。
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天界の中央ターミナル、そこでは稼動を停止したニーズヘッグ:バーストが出迎えてくれる。
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小型化されたウロボロス:バーストは、いっさい危険のない家庭用の電子ペットとなって、統合世界で密かなブームとなっている。
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もっと強くなりたい。そんな少年少女の心に眠っていたゴウエンニヤカレシモノ。そう、誰の心にも眠っている。
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もっと優しくなりたい。そんな少年少女の心に眠っていたリュウスイニタダヨイシモノ。そう、誰の心にも眠っている。
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もっと賢くなりたい。そんな少年少女の心に眠っていたセンプウニフカレシモノ。そう、誰の心にも眠っている。
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もっと輝いていたい。そんな少年少女の心に眠っていたセンコウニテラサレシモノ。そう、誰の心にも眠っている。
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もっと落ち着きたい。そんな少年少女の心に眠っていたトコヤミニダカレシモノ。そう、誰の心にも眠っている。
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もっと心を無にしたい。そんな少年少女の心に眠っていたゼツムニハタセシモノ。そう、誰の心にも眠っている。
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アネモネが帰るべき常界の家。そこに待っていたのは、魔界のとある学園を卒業した魔物だった。
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ベロニカの墓には、イマも沢山のベロニカの花が添えられている。
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頬を撫でる風を感じたとき、それはもしかしたらリュウゼツランの小さな悪戯かもしれない。
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ヒマワリの墓にもまた、輝かしい向日葵の花が咲き続けていた。
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ビオラは謝罪の気持ちを込めて一通の手紙を書いたが、純白の衣装に身を包んだふたりは、その手紙を受けとらず、代わりに笑顔を返していた。
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散った白百合。だが、その種はやがて、娘とも呼べる新たなシラユリを生んだのだった。
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フレイミングブルが帰るべき常界の家。そこに待っていたのは、天界のとある学園を卒業した妖精だった。
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死刑執行人学園を卒業したアクアプスは、友と肩を並べるため、常界へと旅立っていった。
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そう、俺は永遠の風を探しに行くんだ。ウィンドベクターが死刑執行人学園を卒業したとき、すっかり風色に染められていた。
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一歩遅れて死刑執行人学園を卒業したライトイーグルは、魔界の将として女子から絶大な人気を誇る男のブロマイドを売りさばくとある魔物を追っているらしい。
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ダークスパスは死刑執行人学園を卒業すると同時に、父の背中を追うために教員として働き始めた。
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ノーンマラティオも死刑執行人学園を卒業すると同時に、購買部で働き始めた。チョコポックルまんのために。
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エキドナの左手を握り締めた少年の右手。そして、少年の左手が握り締めていた男の右手。その少年は妖精と魔物のハーフだった。
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常界に夏が訪れるたび、マーメイドの墓へ献花に訪れる金髪碧眼の青年の姿が目撃されている。
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天界の3人の風妖精の先輩のもと、緑の復興に努めている。
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かつて、天界の女王になるべき者を守った立派な騎士として、没後もその勇姿は語り継がれている。
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イマも魔界に残り、悪戯を繰り返しているが、興味の対象が同性に移り変わってしまったようだ。
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ふわふわ。イマもどこかでゴーストはふわふわしている。
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フレイムタンは学園を卒業後、赤点の生徒へ、補習専門の教師として働き始めた。相変わらず、赤が大好きである。
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アイスブランドの右手を握り締めた少年の左手。そして、少年の右手が握り締めていた女の左手。その少年は魔物と妖精のハーフだった。
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か、風が泣いています。ウィンドピアは恥ずかしがりながらも、真嵐隊の雰囲気に馴染もうと必死だった。
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ライトブレードはイマもとある写真で荒稼ぎしていた。だが、年に一度、大好きだったハニーへの墓参りには欠かさず訪れていた。
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学園長の誘いを断り、ダークサイズは学園を卒業後、年に一度のお菓子の日の魔物の下で、パティシエになる修行を始めた。
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休学を挟みながらも、学園を卒業したムミョウガタナ。イマ、師匠とは酒を飲み交わす仲のようだ。
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イマもどこかをさすらっている、さすらいのユライ。
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ヨハン軍団だったジャックは、今度は魔界の監獄に収容されたが、花を大切に育て、模範囚として服役している。
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何者かにより、ドス:ゴルドラドの残りのパーツは持ち運ばれたらしい。
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ニトロの開発に使われた技術は、極秘資料として、聖暦の天才たちがイマも保管している。
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割れた盾をフライパンに持ち替えたデッドクッキャーは、イマもお菓子つくりが忙しい。
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イマも毎日楽しく、新レシピの交換にいそしむデッドキャンディア。
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一生懸命チョコレートを湯煎するデッドチョコラは、毎日が死と隣り合わせで頑張っている。
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魔界で大人気のハロウィンチョコレート、ジャックランタンは天界への進出を計画していた。
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イマも海を彷徨っているフォクスリウム、まれにウォタリウムの群れに混じっているらしい。
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アゲポックルンは大好きなおあげをお腹いっぱい食べるため、千本鳥居の掃除を頑張っている。
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千本鳥居を駆け回るフォク・スィー、猫なのか狐なのか、その答えはイマも出ないまま。
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フシミは戦いを終えた夫、娘とともに、幸せなイマを過ごしている。
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戦いを終えたイナリは、ふたたび巫女として参拝者の幸せを願い続けている。
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常界に訪れる1年に1度の大切な日のために、セイントスノウマンはイマも毎日忙しい。
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イマもセイントティンクルの恋心は叶わずにいるが、それでも彼女は幸せだった。
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常界では、セイントブーツンを模したクリスマスソックスが流行しているらしい。
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1年に1度の大切な日は、5人が揃う大切な日になった。私はイマもみんなが大好きだよ。
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ドラチョコタルトを模したチョコレートタルトは、イマも甘味処で密かに販売されていた。
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ふたりで一緒に食べよう。甘味処を訪れたふたりの女性は、仲良くドラマッチャを模した抹茶のケーキを買っていったようだ。
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これ、ひとつ下さい。笑顔の女性はドラチョコバーを模したチョコバーを注文した。これも、大切な思い出なんだ。