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美宮殿の王の間。ただ静かに語りだしたオベロン。自らの体に流れる禁忌の血。かつての聖戦の真実。俺は過ちを犯した。沢山の家族を、天界を傷つけた。だから、どうかその償いをさせて欲しい。左手に握られた対のネックレス。右手に抱えられた王の証。いまここに誓わせて欲しい。誰よりも、この天界を愛し抜くと。
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常界の礼拝堂で目撃されたのは、笑顔を取り戻したサインの姿だった。
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迷い込んだ森の中、抜け出せない迷路。心静かに、聞き耳を立てる。聞こえてくるのは草木や花々の声、届けられたその声は少女を出口へと誘う。迷いの森の出口に辿り着く頃には新しい姿で、アルラウネとして出て行けるように。緑に包まれた世界、僅かに差し込む木漏れ日は、少女を少し大人へと育ませた。
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魔界<ヘリスティア>へと初めて堕ちた存在、闇を司る大精霊シャドウ。一度堕ちた存在だからこそ、闇の起源<オリジン>となり、そして産まれた闇の力。誰よりも深い悲しみを知る彼女は、皆が安らげるよう、安心して眠れるようにと、優しい夜を生みだした。その夜は、やがて訪れる堕ちた鎌士を癒せるのだろうか。
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聖なる出口<ディバインゲート>を目指して訪れたのは、連なった極彩監獄の中でも炎刑を与える第一監獄カーマイン。洋紅色に燃える炎に混ざり、脱走を試みる囚人達が逃げ出さないよう、扉の向こうで魔界<ヘリスティア>の炎は待ちかまえていた。
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ほら、たまにはもっと飲めって。ヒスイはふたりに酒を勧める。こういう会議も、たまにはいいだろ。すでに呂律の回らないヴラド、表情ひとつ変えることのないオベロン。それは平和だからこそ。俺たち三人で世界を良き方向へ導いていかなきゃな。
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イマも魔界に残り、悪戯を繰り返しているが、興味の対象が同性に移り変わってしまったようだ。
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続く二撃目。あえてかわさず、機械の左翼で受け止めたオリジン。すかさず、光の右翼はレプリカの体を襲う。だが、それを剣を持たぬ腕で受け止めたレプリカ。案外、丈夫に出来てるじゃない。そう、互いに一歩も引かない戦いは始まったばかり。
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階層を繋ぐエレベーターのランプは【P】を灯した。長い戦いの果てに辿り着いた最上階、閉じた扉をこじ開けたのは荒れ狂う大津波。姿を見せた最上階の水竜は、優雅に空を泳いでいた。まるでそこが、どこまでも広がる大海原であるかのように。