かけつけたのは美女だけではなかった。僕も相手をさせて貰います。杖を構えたマーリン。約束は果たしたわ。銃を構えたナマリ。足ひっぱんなよ。笑みをこぼしたサンタクローズ。もちろん。笑みを浮かべたエリザベート。悲劇は終演を迎えていた。
私だって、故郷が嫌いなわけじゃないの。聖戦の傷跡を癒したのは危険な甘さ。みんな、甘いもの好きなのね。ハロウィンの夜、配られたのは様々なお菓子たち。今日だけは、子供に戻っていいのよ。驚き、笑い、そして甘美に溶ける。そう、ひとときの安らぎがもたらす喜び。いいわ、いいよ、好きなだけ甘えなさい。
迷い込んだ森の中、抜け出せない迷路。心静かに、聞き耳を立てる。聞こえてくるのは草木や花々の声、届けられたその声は少女を出口へと誘う。迷いの森の出口に辿り着く頃には新しい姿で、アルラウネとして出て行けるように。緑に包まれた世界、僅かに差し込む木漏れ日は、少女を少し大人へと育ませた。
私は彼の可能性を信じた。そして、彼は私のことを信じてくれた。ブラウンは出会った日のことを思い出していた。だから、残り少ない未来を彼に捧げると決めたのだ。私はいまでも、彼の可能性を信じている。彼を殺させるわけにはいかないのだ。
演光奏竜トランペが訪れたのは、文明竜たちが眠る安息の地。次第に目を覚まし始めるも、行方不明のかつての竜王へと想いを馳せるばかり。だけど、私は思うんです。きっと、かつての竜王さまなら、後任に紅煉帝を指名したんじゃないか、って。求めたのは自分にない力。だから、私は少しだけ安心しているんです。
古来より無限の象徴である【ウロボロス】の名が与えられた自立兵器型ドライバ。名前に込められた想い、それが何を意味するのか、始まりがなければ、終わりも存在しない。破壊と再生の歴史を辿ってきた世界の行く末は、黄昏の審判による破壊の未来か、聖なる出口<ディバインゲート>による再生の未来か。
なぁ、ここはどこなんだ。目を覚ました第六世代自律型ドライバ【ルル】は神才へ問いかける。そういえば名前なんて気にしたこともなかったよ。そこで初めて神才はこの場所に興味を抱いた。ねぇ、ここはどこなのかな。そして、悪戯な神はこう答えた。ここはね、彼の為の、彼の為だけの王都ティンタジェルだよ。
私の相手はいないようですね。退屈そうに髭を撫でたサルバドール。そんなサルバドールの背後から聞こえた足音。皆様、いままで本当に申し訳ございませんでした。振り返ったサルバドールの瞳に映ったひとりの男。聖暦の闇才、ただいま戻りました!
崩れ落ちた瓦礫の山を、悲劇の跡地を更地へと均す自立型ドライバ。光ある未来への第一歩。だけど、いくら瓦礫と化そうとも、それは皆が生まれ育った家、青春の笑顔をくれた校舎、生きる厳しさを教えてくれた会社、沢山の思い出が詰まった、大切な瓦礫の山。その全てを、表情もなく【アクスアーム】は粉砕した。