トンビは常界の新組織で、相変わらず災害が起きたときに備えて訓練しているが、起きるのはもっぱら火事ばかりなので安心している。
その扉がどこに存在しているかはわからない。また、本当に存在しているかどうかすらも怪しい。だが、廃病棟から無事退院した、という者は存在していた。では、そんな彼らはいったいどうやって病棟へ入ったのだろうか。やはり、その扉は存在した。
新体制となった魔界で諜報員として所属しているサフェスだが、たいした仕事も発生せず、イマの世界で退屈をもてあましている。
オリジンから離れ、スパナを構えたマクスウェル。そして、対するは盾を展開したイージス。邪魔はさせない。これは私がイマの世界に感じた最後の可能性だから。だから、オリジン、私に構わず存分に戦って。もうすぐ、もうすぐあの子が来るから。
崩れ落ちた聖銃士に手を差し伸べる水を留めた少年。その背後、聞こえた起動音。オリジナルを超えるにはオリジナルを倒すしかない、そこには【サミダレ】を従えた猫背の天才が立っていた。こんな偶然って、あるんだね。血相を変えた聖銃士と天才、水を留めた少年と自らを模した自律兵器の、四人の戦いが始まる。
ヒスイの左側、立っていたのはヴラド。部下どもが、オレに生きろ生きろって、うるさくてさ。そう、魔界での死闘、ヴラドの決死の特攻を制止していたのはファティマだった。それに、オレはいつまでも助けられる側じゃイヤなんだ。なぁ、親友。
悲劇を塗り潰す力に辿り着こうとした矢先の突然の襲来により消えゆく仲間達。無くした心、流れない涙。残ったのは無神と少年の二人。そして、消えたはずのもう一人の存在。安心しろ、我は姿無くとも傍にいる。それは、存在しえない証明だった。
壊れた世界の欠片は涙に変わり、壊した少年達は涙を流すことはなかった。僕達は何も間違っていない。それは片一方の世界の見解。もう一方の世界の見解はどうだろうか。決して少年達を許してはいけない。正しい世界の角度など、存在しないのだ。
何でみな争うのかしら。オリエンスは疑問を抱いていた。魔界も天界も、仲良くすれば良いのに。妖精である彼女は優しさや厳しさの風に吹かれ育った。四人の風の妖精達はいつも一緒だった。ねぇ、あなたはどう思うの。語りかけたのは共に育った一人の天才。よく言うわね。視線の先、そこに囚われのある家族がいた。