炎才記念科学館の緊急対応AIには、カゲロウのコアチップが使用されていた。
魔界のとある街で囁かれていた噂話。それは幸福の羊。だが、その羊はどうみても幸せそうにはみえなかった。三つの炎を灯した燭台。闇夜にまぎれる黒いコート。そして、大きな角の生えた羊の頭。どこからどうみても、悪魔の使いのような姿をしていた。だが、確かに彼は、幸福の羊マトンと呼ばれていたのだった。
そして、続いたヒスイが棍を振り回して生んだ風。そんな攻撃、僕に効くとでも思ったのかな。いいや、これは攻撃なんかじゃないさ。そう、ヒスイの風が奪ったのもまた、メイザースの身体の自由。いまだ、早く押さえつけろ。波状攻撃は終わらない。
本当は笑いたかったのかもしれない。叶わない現実。本当は生きたかったのかもしれない。叶えられない現実。本当は、本当は、本当は。だが、終教祖により抑え込まれた本当。そう、嘘を突き通せば、それは本当になるんだよ。だから、東魔神サマエル、君は嘘を突き通してよ。ただ世界を壊したいという嘘を。
新しい自分になりたかった。でも、いつまでも忘れることの出来なかった昨日。人は簡単に忘れられない生き物です。そう言いながら魔法使いは隣に腰をかけた。家族には弱みを隠さなくてもいいんですよ。少女の頬を伝ったのは、一筋の涙だった。
新しい隊服に袖を通したヒルダは、与えられた任務に口を尖らせていた。どうして私が、こんなことしなきゃいけないのかしら。だが、その尖った口からは、かすかに笑みがこぼれていた。いいかしら、これだけは約束してもらうわ。彼が目を覚ましても、目を覚まさなくても、一発だけ、全力で殴らせてもらうから。
神界への道を真っ直ぐ走り出したアカネたち。だが、その道は簡単なものではなかった。塗りつぶしきることの出来なかった憎悪たちがアカネたちを襲う。ねぇ、この憎悪の正体って。そう、襲いかかる憎悪の正体にいち早く気づいたのはアオトだった。
真夜中に鳴り響いたのは空を斬る音。演水奏竜フルトは慌てて部屋を飛び出し、その音へと近づく。ダメですよ、まだ安静にしてないと。その音の主は、彼女の言葉に耳を傾けなかった。ただ、無心に振り下ろされる刀と、前だけを見つめる瞳。そう、流水竜はただ、前を見つめていた。遠ざかる兄へと近づけるように。
恋に恋焦がれ火照らす身体、刺さる冷たいその視線、今は気持ちいい絶頂感。抱かれたい、貫ぬかれるならその氷の刃で。禁じられた恋だとしても、例え火遊びだとしても構わない。この火照った身体を冷ませられるのは、あなたのその刃だけ。より強くなる想い、燃える恋は少女をエキドナへと。キスミー、ダーリン。