誰にでも屈託のない笑顔を見せる花の妖精プチニカは、水も滴る美女の元で、元気いっぱいに育てられていた。いつの日にか、黄昏の審判に立ち向かうひとりの、水を留めた少年の力になれるようにと、今はまだ、花開く時ではないと。そしてまた、花開く時が、永遠に訪れないことを、切に願われてもいたのだった。
ふっ、この風の悲しみに、涙に気付いてあげられるのは俺だけさ。あぁ、頼って良いんだ。俺はどんな時も、お前の傍にいる。悲しい時も、嬉しい時も、共に行こう。その涙も連れ去るから。おいおい、そんな喜ぶなって、この傘、買ったばかりなんだ。
これで、良かったんだ。ヒスイはひとり、固く結ばれた王と王の右手と左手を、女王と女王の右手と左手を見つめていた。聖戦の終結。そして、新しく生まれた共に歩む道。その道の先には、未来へと進む神々の後姿が浮かび上がっていたのだった。
ねぇ、アーサー。キミはボクが思っていた以上に成長したね。だけど、ちょっとやり過ぎちゃったみたいだ。これからキミがとる選択しだいで、ボクが世界の決定に背いたことになるみたいなんだ。それがいったい、なにを意味しているかわかるかな。
闇に紛れて悪戯を繰り返していたのは、進化を遂げた闇の悪戯妖精だった。暗闇から忍び寄り、そして繰り出される正義の拳。自らがこの、闇のラウンジのチャンピオンに君臨すべく、足を踏み入れた者全てに、その右ストレートを叩き込むのだった。
聖常王への謁見を許されたアサナ。これが僕たちの決断です。11通の退職届け。わかった、受理しよう。それがなにを意味しているのか。彼が世界の敵になるのなら、僕たちも世界の敵になる。そして、世界評議会から11人が姿を消したのだった。
あー、マジでイラつくわ。闇の神は二人の少女を思い出していた。今、あの椅子には片っぽが座ってるね。遠くから眺めていたのは魔界に位置する終わらない夜の城。でもいいわ、希望を失った王は、神に縋るしかなくなるのよ。だから、希望を奪えば。
壊れた世界の欠片は涙に変わり、壊した少年達は涙を流すことはなかった。僕達は何も間違っていない。それは片一方の世界の見解。もう一方の世界の見解はどうだろうか。決して少年達を許してはいけない。正しい世界の角度など、存在しないのだ。
日夜繰り広げられるショータイム、それはただのエンターテイメント。勝者にはこの世の栄光を、敗者にはこの世の絶望を。全てを超越した多元世界のお嬢様は自分こそがルール。【マレット:セカンド】を振りかざすコスモ、今宵、支配人は支配者へ。巻き込まれたデスゲーム、ダイスが決める未来。サイは投げられた。