朝、目を覚ますと枕元には赤い衣装が置かれていた。つまり、そういうことか。汗ばんだ肌をシャワーで流すと、白いシャツへと着替え、無造作にかけられていたコートに手を伸ばし、いざ商店街へ向かうアーサー。俺はあの日特別なプレゼントをもらった。だから、今度は俺の番だ。そう、今日は俺がサンタクローズだ。
サンタクローズはサンタクローズであるにもかかわらず、なぜ自分がトナカイの格好をしているのかわからなかった。そして、さも当然のようにトナカイを迎えに来たのは赤い衣装に身を包んだ幼馴染。そして、ひとつだけ本能的にわかったことがあった。俺はいま、この格好をさせたヤツをブッ殺したい。いや、本気で。
ふふ、みんなびっくりするかな。エリザベートは届けられたリボンを身にまとっていた。だけど、私なんかがプレゼントで、喜んでもらえるのかな。招待状を手に、向かった先はとある王都。きっと、みんなも集まってくるんだよね。そう、今日は常界では年に一度のクリスマス。そして、大切な幼馴染の誕生日だった。
空を見てみな。今日はオレとキミのために、星も祝福してくれてるよ。ライルはカウンターで左に座った女性へと愛の言葉を囁いていた。だけど、どうしてあなたも星なのかしら。グラスに映った自分の姿に驚愕。とりあえず、クソ神をブッ殺してくる。そして大剣に手を伸ばすも、なぜかそこには大きなチキンがあった。
いーっぱい飾り付けちゃおっ。イヴはツリーに扮し、沢山の飾りを施していた。やっぱり女の子はオシャレしなきゃ。だが、気になることがひとつ。お兄ちゃんも、仕事してないみたいだけど、本当に大丈夫なのかな。彼女の元に届けられた招待状に記載されていた言葉。今年は仕事を忘れ、盛大に楽しもうじゃないか。
飾りの施された王都でひとり待っていたロキ。やぁ、ボクからのプレゼントは楽しんでもらえたかい。だが、彼に集まったのは情況を理解出来ないでいる視線と、殺意むき出しの視線だった。今日は年に一度の特別な日、だからみんなに楽しい一夜の夢を見せてあげよう。そして、次の瞬間、王都は決戦場へと変わった。
12月24日から25日へと変わる午前0時、その出来事は起きた。雪降る王都、神の悪戯。これは夢か現実か。そんなの、どっちだっていいじゃないか。ボクはただ、みんなで楽しいことをしたいだけなのさ。こうして、悪戯なクリスマスは始まった。
隣にはロアがいた。悪い、遅くなっちまった。仲間の応援、剣を握る手に再び力を取り戻したレオラ。俺もきっと、同じなんだろうな。なにを考えているかわからない、そんな俺たちの王サマに恋してたんだ。だからきっと、あいつには理由があるんだ。
交わる二本の剣と大剣。あら、せっかちな子ね。テメェ、いいとこ取りすんなっ。アスルが振るう鎚。ふたりの久しぶりの再会に喜びの声はなく、目的は違えど同じ男を見つめていた。アンタたちと同じで、アタシもアンタたちじゃないのよ。ほら早く。