元気にしてるか。ヒスイが訪ねたのは弟弟子の病室。兄さんは、彼を受け入れるつもりじゃないよね。開口一番にそれかよ、可愛くねぇな。詰まる言葉。言ったろ、俺は俺らしくやらせてもらうって。張り詰めた空気。だから、あとのことは上手くやってくれよ。創竜神ヒスイの去りゆく背中は、いまも大きなままだった。
俺はオマエを、そんな風に育てた覚えはないぞ。死刑執行人の学園長室、呼び出されていたのはフレイムタンだった。俺は俺の思うがままに動いたまでだ。偉そうに胸張ってんな。学園長の鉄拳制裁。少しは加減しろよ。うずくまる小さな体。だが、今回は特例だ。退学代わりに炎魔刑者は一等悪魔へ昇格したのだった。
古ぼけたストーブにパイプベッド。ボロボロの毛布は投げ捨てられた。こんな日が来るって、わかってた。去りゆく背中へと声をかけた燃恋乙女。もう一度、彼に会いに行くんだよね。氷魔刑者アイスブランドは常界へ。それじゃあ、行ってらっしゃい。そこに不安はなかった。大丈夫、私はあなたを信じているから。
あの、失礼します。風魔刑者ウィンドピアが訪れたのは真嵐隊の隊長室。開かれたドアから吹き抜ける風。本日から研修にやってきました、って、あれ。そこに気配はなかった。いったい、どういうことなんでしょうか。なびくカーテン。風が答えてくれる、ってことさ。乗せられた声。彼女は今後が不安で仕方なかった。
僕は君が大嫌いだった。魔界の共同墓地に揺れる二等悪魔のコート。だけど、君がいたから僕は強くなれた。真閃魔将は亡き友への想いを吐露していた。くっくっ、作戦成功。そんな姿を楽しげに見つめる光愛者ライトブレード。もぅ、いつまでたっても悪戯っ子なんだから。訪れたもうひとりの友。昔の俺は死んだのさ。
よく働いてくれたな。ダークサイズを褒め讃えた学園長。別に、俺はたいしたことしてません。そして与えられた一等悪魔への昇格。オマエが影で働いてたのを俺は知っている。だから、もっと胸を張れって。問題児ばかりの死刑執行人学園で、彼のような生徒は珍しかった。そこで俺から、ひとつ提案があるんだ。
その格好、どうしたのさ。言い渡された破門。こうなることを望んでいたのかもしれません。すでに一等悪魔同等の力を得ていたムミョウガタナ。これからの私は、名もなき浪士です。そして、そんな彼の理解者がいた。それじゃあ、私たちで大義の誠を貫くとしようか。極東国、そこにはふたりの始まりが存在していた。