そして少年は「炎」に出会った。真っ赤に燃える炎、それは幼き日からいつも傍に感じていた様な暖かさ。亡き父から譲り受けた甲型エレメンツドライバ【イグナイト】はアカネの右腕、左腕へと収まり、炎を灯す。開かれた扉、聖なる入口<ディバインゲート>、交わった世界、運命の火蓋が今、切って落とされる。
「炎」を灯す者として、聖なる出口<ディバインゲート>を目指し、統合世界<ユナイティリア>を自らの拳で壊すことを決心したアカネ。新たな炎を灯し、【イグナイト:セカンド】へ進化を遂げるドライバ。父が託した意味、それが仕組まれた運命だとも知らずに、戦いへの熱い闘志を燃やし、反逆の狼煙をあげる。
火竜さえも凌駕した「炎」は火花を散し、ドライバは【イグナイト:サード】へと進化した。自ら上げた狼煙は災いの火種となり襲いかかる。それはこの統合世界を正常化する為に発足された「世界評議会」にアカネの良く知る「ある男」が選ばれた影響であり、約束された未来の存在と黄昏の審判に気付き始める。
仕組まれた運命、歩かされてきた道、立ち塞がる壁、見せつけられた力の差、消えかける心の灯火。哀傷のままに誘われたのは火想郷<アルカディア>。全てを受け入れ、そして再び炎を灯すアカネ。生まれ変わった相棒【イグナイト:ホムラ】と共に、今度は自らの意思で、自らの拳で、新たな戦いの狼煙をあげた。
ぽつり、ぽつり、降りだす雨。そんな空を虚ろな瞳で眺める少年の空いた心を埋める様に、滴り落ちる雫は「水」となり流れ込んだ。さざ波を立てることすら嫌うアオトと共に、刀型エレメンツドライバ【ワダツミ】は静かに動き出す。開かれた扉、聖なる入口<ディバインゲート>を見つけ、世界の交わりを止める為に。
数多の戦いを経て、【ワダツミ:弐式】へと進化を遂げたドライバ。それは「水」を留める者として、聖なる出口<ディバインゲート>を目指す者としての願いの表れ。ただ1つだけ、けれども大きな、彼を戸惑わせる一言、青い下級悪魔が言い残した「君の罪」という、その一言だけが今もアオトを苦しませている。
おやおや、こんな素敵なお洋服、誰にもらったんだい。そう語りかけられたシェイクスピアは少し大きめのマジカルミライ2014の初音ミクの衣装に身を包んでいた。へぇ、戯曲を綴るだけでなく、作曲までするなんて本当にいい子だ。だが語りかけた男は知らなかった。彼女が綴った五線譜が出鱈目だということを。
再会した三人の友達と、その身を力に変えた四人の大精霊と共に打ち破った聖なる入口。だが、評議会の策略により少年は咎人となり、その身を湖畔に隠していた。渡せなかった聖剣を抱き寄せた湖妖精は言う。聖戦に、行くんだね。炎咎甲士アカネは消えた大き過ぎる背中を見つめる。父さんの想いを、無駄にはしない。
千本鳥居の下、雨は少年を打ちつける。開かれた扉の神は消え、大切な仲間達も数多く消えた。終焉を迎えた黄昏の審判、新たに始まる聖戦、それは聖なる出口を賭けた争い。それでも君は、行くと言うんだね。見送る神主狐。再び罪人になろうとも、水咎刀士アオトは歩き出す。もう二度と、君を失くしたりはしない。
開かれた扉の神に抗った少女もまた、戦犯者として指名手配されていた。竜王により逃がされた先は竜界。失った仲間達を思い出しては、逸る気持ちを抑えていた。そんな彼女を尋ねる初老の男性。その腕輪、見せてくれませんか。力失き声と穏やかな笑顔。風咎棍士ミドリの時は動き出す。今度こそ、一緒に走るんだ。
黄昏の審判は終わり、天界と神の繋がりは途絶えた。綴られし妖精王は消え、辿り着いた歪な平和の真実。美宮殿で難しい書類に目を通すのは妖精王の座を継いだ光妖精王ヒカリ。その直ぐ傍、世界評議会を抜け、幸せな世界を求める天才の姿が。新たな女王は告げる。今度こそ、私がみんなを幸せな世界へ連れて行くよ。
終焉を迎えた黄昏の審判、平穏を取り戻した統合世界。だが、それは束の間の平穏だった。新たに即位した魔界の女王は大好きな幼馴染を抱きしめていた。あなたと私は、二人で一人。闇魔女王ユカリが口にした宣戦布告。神へと加担した歪な平和を壊す為に始まるのは、魔界と天界の聖戦。そうよ、戦争を始めましょう。
そういうことだったんだね。マクスウェルがはじき出した答え。なぜ、聖なる扉<ディバインゲート>が開かれたのか。なぜ、再創<リメイク>する力を持っているのか。でもね、私に解けない数式はないよ。神才と呼ばれた少女は計算を続ける。世界が本当に必要としてるのは、神様なのかな。それとも、王様なのかな。
僕の王様に、ちょっかいを出さないでくれないかな。神才を遮ったのは悪戯神。彼はね、僕という神の存在証明なんだよ。民は王に縋り、王は神に縋る。そう、だから彼は、僕に縋ってくれさえすればいい。だって僕がいなきゃ、生きられないんだから。
王として創られた男は、そのすべてが個の為に捧げられていた。そう、だって俺はその為に生まれたのだから。だが、そんなオベロンのことを、王でありながらも、友として接してくれたふたりの友がいた。迫る決断の日と、今も出せない答え。それは王でありながら、友を手にしてしまったがゆえの弱さと優しさだった。
王は個でなく、全である。それは魔王ヴラドが貫いた覚悟。そうさ、オレは友である前に、王なんだ。自ら下した苦渋の決断。民を守る為に、友を殺す。だが、どうしてだろう。天界への進軍前夜、真っ赤な月が滲む夜。王の瞳に溢れた想い。頬を伝うことはオレが許さない。そして魔王は、固く瞳を閉ざしたのだった。
あぁ、再び目醒めの刻が訪れてしまったのですね。アルルは天へ祈りを捧げる。どうして、みな争いを繰り返すのでしょうか。それは繰り返された聖戦を意味していた。あのときも、あのお方は争いを止める為に力を貸したに過ぎないというのに。創醒の聖者の血がもたらしたのは、かつての聖戦の終結だった。
ようやく、見つけた。常界の始まりの地、ただ天へと祈りを捧げる聖巫女アルルの元に現れたのは炎咎甲士だった。よく、この場所がわかりましたね。友達が力を貸してくれた。そして、彼女がここに連れてきてくれたんだ。彼のとなりに寄り添っていたのは神威狐。だから俺は、俺のすべきことをするんだ。
神に逆らうなど、愚かな行為だ。ナルルはただ悲劇を傍観していた。どうして、父であり、母であるあのお方を悲しませるようなことを。彼女の役割もまた、創醒の聖者の為にあった。再び訪れようとしている目醒めの刻。その刻が訪れてしまえば、すべてのものごとは、意味をなさなくなってしまうというのに。
常界の始まりの地、聖巫女ナルルもその場所にいた。そして炎咎甲士が聞いたのは、すべての血の繋がり。創醒の聖者の血を引く堕精王。だから彼は、あの方の子なの。その堕精王からその血を受け継いだ聖神。その血の繋がりがもたらす悲劇に、炎咎甲士は怒りを隠せずにいた。親子って、そういうもんじゃないだろ。