ねぇ、どうしてふたりが争わなきゃいけないの。一歩も引くことのないふたりの女王を見つめる人影。アイツらは、小さいけれど、立派な女王様だってことだよ。だから全部が終わったとき、オマエが慰めてやれよ。いままでお疲れ様、ってな。
きっと、ユカリちゃんなら大丈夫かな。ヒカリが差し出した小指。どういうつもり。私とは、きっと手なんか繋げないよね。だから、指だけ繋いで欲しい。そして、約束をしよう。ユカリちゃんが、この世界のみんなのことを、幸せにしてみせる、って。
だったら、その目論見は外れさ。リイナに届く隠者の報告。そして、同時にロプトへ届く堕闇卿からの報告。そんな、まさか。そして、リイナはヒスイへ告げる。そっちの方は任せとけ。だから、オマエは目の前の邪魔者を、こっから追い出してやれ。
どっちが勝つかな。ヒスイは両手を伸ばしていた。どっちでもいいか。ヒスイは両足を伸ばしていた。だからオマエら、好き勝手暴れろ。ヒスイは空を見上げていた。俺は、今度こそ守れたんだ。ヒスイは誰もいなくなった戦場で、瞳を閉じたのだった。
カゲロウの色の無い瞳は、ただカルネアデスを見つめていた。絶体絶命ってやつじゃない。ラプラスの額に滲む汗。ううん、きっと違うぴょん。そして、カゲロウが差し出したデータディスク。そのディスクに書き記されていた言葉。炎才の息子より。
不完全なリブートながら、任務を遂行したカゲロウ。マスターハ、先ニ未来ヘ進ミマシタ。ダカラ、ソノ道作リオ願イシマス。カゲロウの炎は偽りの未来を燃やし、デオンは王への忠誠を燃やす。コガネは所長の為に最後まで立ち続けたのだった。