そう、彼女は待っていた。共に立ち向かう人間を。私は、何があっても戦い抜く。そして、日常に帰ってくるんだ。闇魔女王が返したのは厳しい視線。あなたは、友達と戦えるの。覚悟は、出来ている。赤の女王は動き出す。黒の森の軍勢を引き連れて。
空いたティーカップ、注がれることのない紅茶、ざわめく不思議の国の軍勢。溶けたのは角砂糖、残ったのは王位。私はね、早く甘い甘い紅茶を嗜みながら、クッキーをほお張りたいのよ。そんな我侭な敵意は、水も滴るいい女へと向けられたのだった。
それでも彼女は眠かった。深い、深い、眠りから目覚めた女王が歩まんとするのは、深い、深い、茨の道。この争いが終れば、今度こそいっぱい眠れるのね。そう言いながら、眠れる森の軍勢に守られた彼女は、浅い、浅い、眠りに落ちていくのだった。
0から始まった彼女の物語。主役は当然私よね。だが、どうやら彼女は主役ではないらしい。私を差し置いて、あなたが主役だなんて認めないわ。睨みつけた先は闇魔女王。そんな彼女へ返す言葉。いつの時代もね、最後まで生き残った一人が、主役よ。
争いから、何が生まれるのだろうか。紫の女王は避けられない日々を前に、遠き月へと歌を詠む。揺れる世界に昇る月が照らすのは、天か魔か。ようやく思い出したんですね。それは竹林に迷い込んだいつかの二人。幼き日の前魔女王と現魔女王だった。
どういうことかしら、私が怖くて逃げ出したのかしら。攻め込む先の無い白の女王。あなたは私と一緒に来て。そんな彼女に声をかけたのは幻奏者。まったく、趣味が悪いですわよ。それは幻奏者の後ろに立った一人の男に対して向けられた言葉だった。
決戦の日へ向けて鍛練を怠らない炎魔将の元を訪ねたのは赤の女王。共に幼き日を過ごし、そして大人として過ごすこれから。もう、あの日みたいに笑い合うわけにはいかないんだよね。そう言った炎魔将は刃を鞘に収めた。私達の日常を、取り返そう。
さっさと終らせましょう。水魔将は闇魔女王の横に。だったら、あなた達に一つお願いをしてもいいかしら。そして告げられたのは、幻奏者の奏でる幻想。誰でも、一人は寂しいのよ。ぎゅっと握り締めるストール。妹を愛する水魔将は全てを理解した。
どっちが風に相応しいか、決着をつける時が来たか。風魔将は胸を躍らせていた。だが、そんな彼を撫でる風。何故そんな悲しむんだ。読み取ったのは不吉な予感。主役ってのは、絶対に死なない。だがそれは、彼が主役だったらの話でしかなかった。
もしも戦場で、彼が敵として目の前に現れたら、僕は彼を殺すことが出来るのだろうか。終らない自問自答。何をそんな浮かない顔してるんだい。隣にはもう一人の幼馴染。もしも僕がためらったその時は、迷わず打ち抜いて下さい。彼じゃなく、僕を。
さっさと終らせましょう。闇魔将は闇魔女王の横に。だったら、あなた達に一つお願いをしてもいいかしら。そして告げられたのは、幻奏者の奏でる幻想。誰でも、一人は寂しいのよ。ぎゅっと握り締めるストール。姉を愛する闇魔将は全てを理解した。
アイツは今、どこで何をしているんだろうな。ふと思い出すのは、何度転んでも立ち上がるかつての愛弟子の姿。いつか一緒に祝い酒を浴びれると思ってたのによ。だがそんな無魔将は嬉しそうだった。もし出会っちまっても、俺は手を抜く気はないぜ。
ご機嫌いかがかしら。再会を果たした幾元嬢コスモ。よく、ここまで辿り着けたわね、妖精のあなたが。そう、ここは不夜城。とっておきの、ゲームを始めるのでしょう。彼女にとって、戦争はゲームでしかない。私は賭けたの、あなたが生きる未来に。そして、黒いウサギだけが生き残り、白いウサギが死ぬ未来に。