常界で発生した災害は炎と水だけではなかった。巨大な竜巻が街を襲う。ほら、ここは誰かと誰が育った大切な街なんでしょう。災害は咎人を誘い出す手段にしか過ぎなかったのだ。家族とか、友達か、馬鹿じゃないの。ドライは吐き捨てる。所詮人は、どこまでいっても一人なのよ。生まれた時から、彼女は一人だった。
一人じゃないよ、ずっと一緒なんだ。風咎棍士は左手首を握り締めた。創られた少女が起こす風と闇を纏いし風。そんな二つの風はもう一人の少女を運んだ。聖王代理の命により、助太刀参上っと。元気良く飛び出してきた少女は一対の銃棍を手にしていた。詳しい話は後でね。棍と棍は思い出を守る為、立ち向かう。
再会を喜ぶ二人、だが時間は待ってはくれない。なんで私を。ゆっくり説明をしている暇はなさそうなの。オリナは風咎棍士の手を引く。臨戦態勢の天界と魔界、頂上に君臨した二人の友達。その裏で暗躍する二人の女と二人の男。そして行方知らずの悪戯神に動き始めた教団。二人が向かった先は、教団本部だった。
風精王が語る幼き思い出。ウチら四人は、いつも一緒だったネ。きっと、私達みたいだったんだね。取り戻せない過去を想う風咎棍士。ウチは取り返すアル。そう、彼女達が向う先に待っている東魔王と堕風才。教団本部へと、追い風が吹いていた。