ミドリとオリナが辿り着いたのは教団本部だった。そこは本館を中心に、東西南北の五つの館に別れていた。もぉ、どこから入ればいいのー。そんなミドリの迷いを振りほどいたのは、かつての仲間との再会だった。西館は、僕達に任せてくれないかな。
東館に突入したミドリとオリナの前に立ち塞がった二体の第四世代自律兵器型ドライバ。きっと、あの子のアル。だったら、壊しちゃっていいよね。構える三本の棍。そして、対峙した少女達を、堕風才は別室のモニターから静かに眺めていたのだった。
アタシだってね、あの頃より強くなったんだよ。左手の棍で風波機を弾き、右手の棍で炎波機を防いだオリナ。だから先に進んで。だが、戸惑うミドリ。なんだか、嫌な予感がするの。解かれていた教団の警備と不穏な空気。大丈夫、すぐ追いつくから。
オリナを残し、先へ進むミドリは嫌な風を感じていた。どうしてここの風は、悲しいんだろう。直後、目の前に現れた笑顔。一緒にいるんだよね、私にはわかるよ。その言葉が向けられたのはミドリではなく、風精王だった。そして笑顔は歪む。けひひ。
また奪うんだね、私達の居場所を。再開を果した東魔王と風精王。師匠が話してくれた、友達だね。歪な平和の犠牲者は襲い掛かる。どうしてアル。私達はもう、ここしかないの。だが、東魔王は知っていた。もう、ここにも、居場所がなかったことを。
知ってるよ、完全世界なんて存在しないって。ぶつかり合う風と風。だけど、私はあの子を信じた。あの子の目は真っ直ぐだった。私は、完全が欲しかった。そう言ってもらえるだけで嬉しかった。溢れる本心。心安らげる居場所を求めて、何が悪いの。
居場所を求めることを、否定しない。語り掛けるミドリ。あの子も、そうだった。巻き起こした風に乗せる想い。だけど、居場所はきっと、この場所じゃない。近づく決着。なら、どこだっていうのよ。棍が打ち砕いた心。場所じゃなくて、人なんだよ。