世界が廻り続けるように、また陽も廻り続ける。陽は沈み、やがて夜明けを迎える。それが歴史だと、繰り返される歴史は物語っていた。変わらないことが完全であるのなら、変わることは不完全なのだろうか。やはり、世界に完全など存在しないのだ。
彼らが来たみたいですよ。紅茶を注ぐ執事竜。見物をさせてもらおうよ。紅茶を舐める少年。それでは、始めましょうか、完全なる落日を。すべては、黄金の夜明けの為に。グリモア教団本部の本館の地下祭壇には、一部の教団員だけが集められていた。
始まった演説。我らが教祖様は、完全世界へと旅立たれました。私達は、至っていなかったのです。教祖様のみが、完全だったのです。ですが、そんな教祖様に残されようとも、想い続ける三人の魔王達や、教団員達がいるではないですか。演説は続く。
続く演説。モニターに映し出された三人の魔王。私は彼らに賞賛を送りたい。残された彼らもまた、完全だったのだと。みなさん、どうかその目にしっかりと焼き付けて下さい。彼らの散り行く姿を。彼らは最期まで、完全なのです。演説は終わらない。
続く演説。そして、ここに、旅立たれた教祖様の残した一通の推薦状があります。教祖様の意志を継ぐ、真教祖様の名が記されているのです。全ては落日の後に。さぁ、みなさん、その目に、完全を焼き付けるのです。そして、日は沈み始めるのだった。