彼女と戦う覚悟は、出来ているんだよね。光精王の問いかけに、口を閉ざした光妖精王。お嬢ちゃんは、黙って見ててもいいんだぜ。堕魔王の優しさ。でも、これは私の責務だから。だが、そんな三人に隠れて、すでに動き始めた妖精が存在していた。
堕ちること、堕とされること、それは似て非なるもの。私はあなたと同じなの。だからこそ、寄り添う二人。私は世界を敵にした。闇魔女王は優しく答える。ずっと一緒よ、世界を壊すまでは。だが、彼女は知らない。すでに戦争が始まっていたことを。
綴られし獣は運命に背いた。だが、それは同時に禁忌を犯すということ。これで君は、死ねなくなったよ。だが、神叛獣ロメオは知らなかった。運命に背いた結果、更なる運命に翻弄されることを。向った先は天界、そこに彼女はいなかった。見られちゃったね。彼女の代わりに見つかったのは、血に濡れた妖精だった。
綴られし竜は運命に背いた。だが、それは同時に禁忌を犯すということ。これで君は、死ねなくなったよ。だが、神叛竜ジュリエットは知らなかった。運命に背いた結果、更なる運命に翻弄されることを。向った先は魔界、そこに彼はいなかった。見るな。彼の代わりに見つかったのは、永遠の眠りについた魔物だった。
綴られた存在が自身の人生を謳歌するには二つの道しか許されなかった。台本通り、物語通りに演じきり、そして終わりを迎えるか。それとも、その運命に抗い、禁忌を犯し、永遠の苦しみを受け入れるか。どちらにせよ、幸せな結末は選べなかった。
綴られた存在が自身の人生を謳歌するには二つの道しか許されなかった。台本通り、物語通りに演じきり、そして終わりを迎えるか。それとも、その運命に抗い、禁忌を犯し、永遠の苦しみを受け入れるか。どちらにせよ、悲しい結末は選べなかった。
悲劇は台本通りに進む。そして人々は感動し、涙する。そう、人はその涙が創られたものだと知りながら、涙を流すのだった。だったら、俺達はどうしたらいいんだよ。その答えが、運命に抗うという、もう一つの運命だった。俺は、受け入れてみせる。
悲劇は台本通りに進む。そして人々は同情し、涙する。そう、人はその涙が創られたものだと知りながら、涙を流すのだった。だったら、私達はどうしたらいいのよ。その答えが、運命に抗うという、もう一つの運命だった。私は、受け入れてみせるわ。
禁忌を犯すというのは、どういうことだろうか。自身を呪い、悲しみに暮れるのだろうか。だが、禁忌を犯した者は、自身の運命を嘆くことはなかった。自分より大切な何かを、守れるならそれでいい。それこそが、禁忌を犯す意味に通じる答えだった。
禁忌を犯すというのは、どういうことだろうか。自身を祝い、喜びに暮れるのだろうか。だが、禁忌を犯した者は、自身の運命を称えることはなかった。自分より大切な何かを、守れるならそれでいい。それこそが、禁忌を犯す意味に通じる答えだった。
好きな人がいる。愛する人がいる。好きな場所がある。愛する場所がある。好きな世界がある。愛する世界がある。その全ては同意義だった。だから俺はこの世界に生きている。例え、綴られた存在であろうと、世界を愛することを、否定出来なかった。
嫌いな人がいる。憎い人がいる。嫌いな場所がある。憎い場所がある。嫌いな世界がある。憎い世界がある。その全ては同意義だった。だから私はこの世界で死んでいくの。例え、綴られた存在であろうと、世界を憎むことを、否定出来なかった。
ありがとう。その言葉で悲劇は終わりを迎えた。そして、彼が出会ったのは新しい始まり。血に濡れた妖精は語る。これが私に出来ること。あの子は彼を想う。彼は彼女を求める。だから彼女はここにいない。それなら、私が代わりを果たすまでだから。
ごめんなさい。その言葉で悲劇は始まりを迎えた。そして、彼女が出会ったのは新しい終わり。不夜城に届けられた差出人不明の棺、覗き込むのは五色の女王。施された死化粧、無数の蓮の花に包まれ、永遠の眠りについていたのは、白の女王だった。