ほら、妹が出来たよ。喜ぶ神才。似てませんよ。不機嫌な原初の機体。まったく、悪趣味なことを。隣で笑う悪戯神。彼の研究成果を生かしてあげたんだ、感謝して欲しいくらいさ。おどけた神才は目の前の新しい機体に声をかける。君の名前は【カゲロウ】だよ。動き出した鼓動、それはとある親子の絆を歪ませていた。
第六世代の自律兵器型ドライバは、再起動<リブート>を必要としていなかった。殲滅対象ハ、炎才ノ息子。人の心を持ちながらの、人らしからぬ言葉。そうだよ、天才の血はね、根絶やしにしなきゃいけないの。炎咎甲士は知らない。自分の向かう先に、数多の想いを踏み躙る【カゲロウ:ホムラ】が待っていることを。
自立型や自律型が存在するのと同時に、武器型のエレメンツドライバも当然のように存在していた。君は失われた技術から生まれたんだよ。神才が語り出す始まり。一度ね、滅ぼしたんだ、でも人間って、過ちを繰り返す。だからね、天才は危険なんだ。
でも、聖暦の天才も大したもんだよ。その言葉に嘘偽りはなかった。お姉ちゃんに、感謝しないと。私ニ姉ナド存在シマセン。片言の返答。可愛くないぞ。可愛サナド、必要アリマセン。そう、第六世代自律型ドライバが求めたのは、破壊衝動だった。
もうすぐやってくるからね。神才は、ゆっくりと未来を見つめていた。でも、あの子の相手は、私にやらせてもらいますよ。割って入ったのは原初の機体。予約制度なんてないからね。返す冗談。だって、残りの第五世代は奪われてしまったんですから。
見つからないようにと、姿を隠しながら行動する炎咎甲士のすぐ側に存在していた炎精王。向う先は堕王の玉座。嫌な予感がする。それは、彼と彼の父と、そして彼らを繋ぐ一つの機体を知っていたからこそ、感じた予感だった。炎が、泣き叫んでいる。