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一年のほとんどが雪に覆われている街で生まれ育ったスノウィは、その純白の景色が当たり前になっていた。どこまでも白は続き、そして煌びやかな街並みに鳴り響く鈴の音。だけど、大人になるにつれて、みんな染まってしまう運命にあるんだ。
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幼き日から、あまり感情を表に出すことのなかったスノウィ。彼の心に積もり続けたのは真っ白とは異なる感情。どうして、彼らはあんなに楽しそうなんだろう。どうして、彼らは変わらずにいられるんだろう。並んだ三つの雪だるまを眺めていた。
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どこまでも白くならなければ、僕は僕でいられないんじゃないか。そして、名前を捨て、士官学校への入学を果たした幼き日のスノウィ。僕は彼らとは違うんだ。彼らのようになってはいけない。だから、もっと白く。どこまでも、白くならなきゃ。
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だが、スノウィは自分で気づいていた。自分がつまらない存在になろうとしていることに。違う、僕は正しいんだ。そんな彼の耳に入り続けるのは、染まることなく生き続ける同郷の三人の存在。彼らこそ、幼き日から染まらずに生きていたのだった。
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様々な感情がぶつかり合った聖戦。僕はなにが正しかったのかはわからない。だが、誰かの感情にゆれ、そして誰かの為に染まる。その事実を前向きに受け入れ始めていた。みんなはどうなるのかな。そんな新しい想いに染まり始めていたのだった。