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雨が降るわけでもなく、晴れ渡るわけでもない、そんな中途半端な空模様。私が生まれたのはそんな中途半端な日だった。そして、私という中途半端な存在が生まれてしまったの。曇り空の下、クラウディは伏目がちに小さな声で講義を始めたのだった。
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天界の長い歴史の中で、闇の力は妖精たちから異質だと思われていた。そう、闇は相反する魔界の象徴だからと。なにも、私は望んでこの力を得たわけじゃない。クラウディが持っていた資質。私のような血筋の存在は、生きづらい世界だったのよ。
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私は無理しながら普通に生きることは出来なかった。だから、仕官学校に入った。ここでなら、私のような存在でも、力さえ手にすれば生きていけるから。誰かを怨むでもないクラウディは、自らの資質を怨み、そして、その怨みを力へ変えたのだった。
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いつまでも晴れなくていい、雨も降らなくていい、このもやもやした感情を抱えて生きていく。それがクラウディの選んだ道。それに、曇り空はどっちに転がるかわからないの。次は晴れるかもしれない、雨が降るかもしれない、そういうものなのよ。
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聖戦が終わったいま、クラウディに訪れた心境の変化。私は晴れなくていい、雨も降らなくていい、ずっと曇り空でいい、そう思ってた。だけど、いまはどっちに転んだとしても、別に構わないわ。その心境の変化は彼女なりに成長した証だった。