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ここは日差しの温かな聖導院。僕の名前はアサナ。少年は少年へ手を伸ばした。君の名前は。見た目とは裏腹に、少し緊張した面持ちの少年。俺の名前はアルトリウス。そして握り返した手。もしわからないことがあったら、僕に何でも聞いて下さいね。
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アサナは聖導院の職員から、アーサーの事情を聞かされていた。僕が力になってあげないと。それは心からの善意。少し年上のアサナなりの距離感、それは少し遠くから見守ることだった。また、その距離はアーサーにとっても心地の良いものだった。
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少し危なっかしく、ついつい目が離せなくなる。アーサーはそんな子供だった。そして、アサナはいつも優しく見守っていた。怪我をしたら手当てをした。わからなければ勉強を教えた。それはアーサーが常界へ向かってからも、変わることはなかった。
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評議会入りしたアーサーの活躍は天界のアサナの耳にも届いていた。そして、いつしかアーサーはアサナにとっての憧れにも近い存在となっていた。だが、そんなアサナにアーサーは言った。俺にとって君は君だけだ。いまも昔も、きっと、これからも。
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僕は君に、生きる強さを教えてもらった。同じ天涯孤独の身でありながら、それでも強く生きるアーサーの姿。だから、僕は君の力になりたい。そして、アーサーが与えたマーリンというコードネーム。君は俺の部下じゃない。だけど、俺たちは仲間だ。