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聖学の月曜日は出席率が低い。約3割の生徒が仮病をつかう。そして、生徒だけでなく、教師も仮病をつかう。だからこそ、毎年留年する生徒が後を絶たない。永遠に学生のままでいられる、そんな夢のような学園。ちなみに、私立だが、学費は安い。
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聖学の学費が安いのには理由があった。入学する為に、入学試験を受ける必要があるが、その内容が少し特別なのである。学力テストは一切無く、理事長が気に入るか、気に入らないか、で全てが決まる。そう、理事長の懇意で学費が免除されるのだ。
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理事長の懇意というよりかは、もはや、理事長の趣味である。趣味で学園を作り、そして趣味に合った生徒を集める。そこは理事長にとっての小さな世界であり、理事長だけの世界。そんな掌の世界で、理事長は生徒達を眺め、何を想うのだろうか。
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聖学では全てが許されていた。遅刻も留年も、全てが許され、そして、毎日楽しそうに過ごす生徒達。理事長は、何の為にこのような世界を、学園を作ったのだろうか。思い出に、帰りたかったのだろうか。理事長のみぞ知る、聖門学園創立の真相とは。
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そろそろ、夢から醒めてもらおうか。理事長はそっと指を鳴らす。崩れ去る日常、それは、本来存在してはいけない嘘の日常。少しでも、楽しんでもらえたかな。そう、これも大いなる希望の、ひと欠片にすぎない。嘘に縋ったところで、嘘は嘘なのさ。