ひとつひとつの小さな愛が形作る小さな世界。そして、やがて生まれた大きな世界。真っ白な世界、飾られた地図、そして世界に恋をした少年。少年は歳を重ね、世界を愛した。やがて、世界のために命を差し出した。それもまた、小さな愛が作った世界。聖なる扉に包まれた命。すべては、聖なる扉を討たせるために。
聖なる扉が壊れれば、世界は扉が現れる前の状態に戻るだろう。だが、それはイマを否定するのと等しい行為。扉によりもたらされた沢山の悲劇。だが、それでももたらされた沢山の喜び。幾億の命のすべてを肯定するために、少年少女たちがすべきこと。さぁ、聖なる扉は開かれた。進もう、すべてを肯定するために。
世界を変えるには、ふたつの力が必要だった。ひとつ、受け取るべきは絶望。そして、世界は半分開かれる。扉は絶望を差し出したことで、絶望の扉は天へと開かれるだろう。そう、傷を負わずして、世界を変えることなど出来やしない。その覚悟があるか否か。すべては想いを。訪れる決断のときは、間近に迫っていた。
世界を変えるには、ふたつの力が必要だった。ひとつ、差し出すべきは希望。そして、世界は半分開かれる。扉は希望を受け取ったことで、希望の扉は地へと開かれるだろう。そう、傷を負わずして、世界を変えることなど出来やしない。その覚悟があるか否か。すべては想いを。訪れる決断のときは、間近に迫っていた。
その瞳に映し出される世界。ひとりひとりにとっての世界。そんな世界が形作る世界。命あるものはいつか気づくだろう。自分が生きるべき世界を。たとえ小さな世界だとしても、それが大切な世界であると。そして、なぜ、その世界が大切なのか。なぜ、その世界を愛するのか。すべては自分を愛してくれる者のために。
そして、少年少女たちは歩き出す。聖なる扉が存在したからこそ争いは生まれた。それは、紛れも無い事実。だが、聖なる扉が存在したからこそ、多くの命は出会うことが出来た。そう、だから扉を開くでも、閉ざすでもない。それが俺たちの出した答えなんだから。俺たちは、扉を越えて生きていく、イマの世界を―。
世界の敵となった男は、最後まで信じていた。いや、信じていたからこそ、世界の敵となる道を選択した。こうする以外に、方法は存在していなかった。あの日見つめた大いなる希望。いつか、その希望が世界の決定を覆してくれることを信じていた。
そこにアーサーはいなかった。アカネたちを見つめていたのは愛を統べし者。彼はもういない、私は彼で、彼は私なのだから。だが、その語り口で伝わった真実。そう、アーサーは飲み込まれたという事実。私と共に、生まれ変わる世界を見届けようか。
ただ、立ち尽くすことしか出来ないアカネたち。愛を統べし者の背後、浮かんでいたディバインゲート。ねぇ、どうして。アオトが気づいた異変。徐々に、その体が光へと変わるタマ。アイツの心は、もう、どこにも存在しないってことなのかよ。
ふざけんなよ。怒りを隠すことの出来ないアカネ。あぁ、その怒りをぶつけてやればいい。アカネに寄り添うように現れたイフリート。俺が教えてやるよ、オマエが愛した世界は、やっぱり愛すべき世界だった、ってことを。この拳で、教えてやるよ。
大丈夫だよ、彼はきっと帰ってくる。そう声をかけたのはアオトに寄り添うウンディーネ。同じ血が、それを感じているの。ウンディーネに受け継がれた呪い。それもまたアーサーが受け継いでいた呪い。うん、だから僕たちは、僕たちのすべきことを。
ねぇ、師匠。私ちょっとワクワクしてるんだ。だって、私はいまから世界を救うんだよ。こんなことって、きっともう二度とない。ううん、二度と起こらないように頑張るね。それでこそ、ウチの一番弟子ネ。それじゃ、おもいっきり駆け抜けるよ!
私は信じてる。それがなにか、ウィルオウィスプは尋ねなかった。私が聞きたい言葉は、さよならじゃないんだよ。私が聞かせたい言葉も、そんな言葉じゃない。みんなで一緒に笑い合うんだ。私とパパとママ、父と母と姉、そして、お兄ちゃんと。
そんな表情が出来るようになったんだね。ユカリを優しく見つめたシャドウ。ええ、きっと私は変わった。だからみんな、変わることは出来るの。沢山の涙があった、だから私はいまここにいる。そんな沢山の涙を、無駄にするわけにはいかないもの。
ドライバを構えたギンジ。みんなが作ってくれた道、最後はめちゃくちゃにぶっ壊してもいいよな。あぁ、いままでよく我慢したな。となりで優しく微笑むゼロ。俺たちは真実を見届ける義務がある。こんな俺でも、イマの世界の希望なんだからよ。
始めようか、終わりの始まりを。最後の審判を。世界に訪れる終わり。生まれ変わろうとする世界。一斉にドライバを構えたアカネたち。俺たちの旅はこれでお終いだ。みんな、いままでありがとう。それじゃ、行こうか。イマの世界を生きるために。
やりたいこともない、夢なんてない、将来なんてどうでもいい。少年はいつも無関心だった。そんな少年が見つけた夢。見つめた将来。俺はイマを生きる。振り下ろされた斧。込められた最高幹部としての責務。それが、あの日の少年のイマの姿だった。