ある日の魔界と天界の合同軍事演習。ファティマはいつもとは異なる格好で現れた。似合ってるが、その格好はなんだ。視察に来ていた聖魔王は尋ねる。剣も少しは心得があるってところを見せたくて。顔を赤らめながらの返答。だが、衣装まで変える必要はあっただろうか。聖魔王は血の足りない頭を悩ませるのだった。
始祖は世界を見つめる。見つめた先に異世界の神の姿がふと印象的に残った。特に理由も感情もない。そう、ただの気まぐれ。次の瞬間、リリンは異世界の女神の格好をしていた。理由は無い、感情も無い、だが来たるべき運命の時までの時間はあった。始祖といえども、気分転換、着替えの嗜みくらいはあったのだった。
オズが空高く放り投げたシルクハット。そして、次々に現れる炎のシルエット。僕はひとりじゃなかった、そう、昔もイマも。被りなおしたシルクハット、亡き友のクラウンは友情の証し。次は僕がケジメをつける番です。まとめて相手をしましょう。
ありがとう、みんな。そう、ミドリの言葉はオズと共に現れた炎の家族たちへ。君たちは、君たちのすべきことを。そして、僕たちは僕たちのすべきことを。再び走り出したアカネたち。目の前の虚城で待っているであろう聖神。統合世界のイマを―。
行かせないわよ。一番に動き出したのは双剣を構えたシグルズだった。だが、そんなシグルズへと向かったのは、オズの背後から飛び出した炎で創られたトト。そう、オズの家族はここにはいない。だが、オズは家族の想いを連れてきていたのだった。
ねぇ、私のこと覚えているかしら。とでも言いたげなドロシーの炎。そして、その言葉は目の前のヘズへ。かつて、ヘズの槍が貫いたドロシーの体。訪れた再戦。何度でも、貫いてあげる。ヘズは槍を振り回し、そして瞳に捉えた獲物へと刃を向けた。
いつも不機嫌なヘグニが更に不機嫌な顔を見せたのは、目の前のオズが持つ力を気にしていたからだった。かつて、北欧神たちの力を奪ったオズ。それは北欧神たちの力を引き出すドライバが竜から創られていたから。そして、それはいまも変わらない。
ちょっと、やっかいな相手かもしれない。オーディンも状況を理解していた。そう、神により綴られた竜であるオズは、北欧神たちの力へ干渉出来るということを。だけど、せっかく帰ってきたのに、まさかそんな簡単に命を無駄遣いしたりしないよね。
そこに価値を感じるか、それは彼次第ってことだね。ヘルヴォルは襲いくる炎のブリキをいなしながら、オーディンの疑問に答えた。そして、いまの僕たちに言えることはただひとつ。そうさ、さっさと目の前の彼を殺してしまえばいいだけなんだ。
オズへと切りかかるスルト。そして、オズはステッキにも似た炎の剣で受け止める。僕は沢山の過ちを犯した。僕の犯した罪は僕が背負う。だから、僕は償いながら、イマの世界を生きるんです。そう、オズは真っ向から立ち向かう覚悟を決めていた。
どうかみんな、僕に力を貸してください。オズの背後を守るように集まった5つの家族の炎。そうです、僕はただの道化竜。最後まで、道化を演じさせてもらいます。さぁ、最上級の魔法を。みんながいるから、僕がいるんです。まずはこちらをどうぞ。
天高く掲げた左手、そしてその左手から更に天高く昇るのは真っ赤に燃える火竜。鳴り響く咆哮は、かつて完全なる落日の終焉に鳴り響いた竜の咆哮。そう、その昇りし竜は古竜王だった。あなたはずっと、私の中に生き続ける。共に燃やし尽くそう。