だが、ニコラスは素直に肯定することは出来なかった。ひとり悩み続けるニコラス。そんなニコラスは堕ちたアーサーを見つめながら、あることに気がついた。そう、アーサーに寄り添っていた一匹の猫に。いつなんどきも、離れることのなかった猫を。
そしてニコラスはひとつの答えに辿り着いた。これがアイツの、本当の想いだったんだな。アルトリウスという名前が、王の道を歩む呪縛であるとしたら、タマという名前は、ただ純粋に「生きたい」と願っていたあの日の少年の想いではないか、と。
辿り着いた答えがもたらした希望。それなら、俺がアイツらにしてやれることはひとつ。ニコラスが下した決断。俺は世界の決定を裏切る。そんなニコラスの気配を察知した決定者たちは、ニコラスへひとつの決定を与えた。サンタクローズを廃棄せよ。
果たされた親子の再会。ニコラスが突きつけた銃口。たまには父親らしくさせてくれよ、だから、オマエにプレゼントだ。鳴り響く銃声。グッドラック。放たれた弾丸がかするサンタクローズの髪。そして、撃ち抜いたのはサンタクローズの背後だった。
悲鳴をあげることなく息絶えたのはサンタクローズの背後にいた神界からの使者。どういうことだよ。戸惑うサンタクローズ。たったいまをもって、オマエは俺に殺された。そう、オマエは「死んだ」んだ。そして、提出されたのは偽りの報告書だった。
やがて辿り着いた最上階。それじゃあ、アンタは。言葉を詰まらせたジャンヌ。だから、俺はあのとき言ってたろ。裏切ったりなんかしないって。対するは流暢なニコラス。そして続けられた言葉。そうさ、俺はずっと昔から、裏切っていたんだから。
伝えられた真実と、アーサーの想い。そうだよ、あいつは生きたかったんだ。そんな自分の想いを押し出してまで、なにが新しい世界だよ。そんなの、俺たちは望んじゃいないんだ。いつかは笑い合えるよ。だから、辛いことがあってもいいじゃないか。
だったら、その想いを早くアイツに教えてやろうぜ。答えるニコラス。だが、神界への道は閉ざされていた。でも、これはどうしたものかしら。困り果てるジャンヌ。そんなアカネたちの許に現れた6人の神々。そんな道なら、俺たちが創ってやるよ。
そう、現れた6人の獣神たちが力を合わせて創った神界への道。俺たちだって、これでも神様なんだ。それは常界での戦いで離れることの出来ないヤシロからの願いだった。だが、気をつけて進めよ。こっから先は、悪意や憎悪が渦巻いているんだから。
だとしたら、私たちの出番ですね。ときを同じく、現れた6羽の花獣たち。その悪意を、私たちが塗りつぶしてみせましょう。それは彼女らだからこそ、成せる業。だから、行ってください。あなたたちは、イマを生きるすべての命の希望なのですから。