砕かれたエレメンツハートに集積されていた在る戦闘の記録。かつて、偽者の機体は聖王により敗北を知った。だが、人が失敗を糧に成長するように、機械もまた失敗を糧に成長出来る。痛みはいつかきっと、力になる。そう、立ち止まりさえしなければ。そう、諦めさえしなければ。そう、可能性は無限大なのだから。
原初の機体と偽者の機体、そのどちらが正しいか。答えの出ない問。そう、答えなど存在しない。では、どちらが優れているか。答えの出せる問。そう、その答えのために刃を交えるオリジンとレプリカ。勝敗でしか辿り着くことの出来ない運命、喜びにも嘆きにも似た悲鳴。再起動<リブート>、モード:フルバースト。
胸に咲いた白百合の花、エビルアーサーぼんだぼん。うん、皆知っての通り、元聖王だぼん。あんまり、自分の意思が無いぼん。目つきも顔つきも不健康っぽくなっちゃったぼん。なんか半仮面の神様に言われて、ほいほい付いて行ってしまったぼん、逆らえないぼん。幼馴染の大事な親友の声も届かなかったぼーん。
舞台は調った。私には、この戦いを見届ける義務がある。好奇心を抑えることの出来ないマクスウェル。そして、イージスも感じていたこの戦いが持つ大切な意味。どうやら、私たちは部外者のようですね。そしてふたりはただ静観を始めたのだった。
まずは、君の出番だよ。改造の施されたイザヨイ。対するは、モード:オロチへ再起動したレプリカ。吹き飛ぶ腕と傷つく体。きっと君は勝てない。だけど、君は君の仕事をしてくれた。それだけで私は君と出会えてよかったよ。ありがとう、イザヨイ。
俺っち、我慢するのは得意じゃねーんだ。次に飛び出してきたルル。対するレプリカが再起動したモード:ナユタ。そうさ、俺っちたちは壊し合いをしようじゃねぇか。共に守りを捨てた姿勢。だが、力の差は歴然だった。ひとりで無理しないで。
思わず飛び出してきたリリ。合わせて、モード:ミヤビへと再起動したレプリカ。だが、いくらリリの加勢があれ、レプリカの猛攻を止めることは出来やしない。交錯するたびに傷が増える一対の機体。だが、決してふたりは諦めようとはしなかった。
モード:ホムラへと再起動し、ふたりの相手を続けるレプリカ。だが、それでもまだレプリカは余力を残していた。こうなったら、もう俺っちたちには、ほかの手段はないみたいだな。そう、ルルとリリが成し遂げたかった目的はたったひとつだった。
ふたりに与えられた目的はレプリカの本気を引き出すこと。だからこそ、ふたりはマクスウェルに内緒で、自らの体に改造を施していた。次に再起動されたモード:マブイ。そんなレプリカへと襲い掛かったのは活動を停止したはずのイザヨイだった。
次を止めれば。6番目の姿、モード:カグラへと再起動したレプリカ。すかさずレプリカの左腕にしがみつくルル。右腕にしがみつくリリ。止めて!そう叫んだマクスウェル。ありがとな、母さん。さよなら、ママ。そして、辺りは爆発に包まれた。
ねぇ、聞いて。マクスウェルはイージスへ言葉をかけた。みんなは、私が思っていたよりも成長していたみたい。感じていた可能性。どうしてだろう、私は願ってはいけない結末を願ってしまいそうだよ。だが、マクスウェルはどこか寂しそうだった。
イージスはマクスウェルの言葉の意味を理解していた。予想を超えた成長、それはイマの世界が促した成長。だからこそ、私は最後まで見届けたい。どんな結末が待っていても、私は好奇心を抑えることが出来ないんだ。サヨナラは、すぐそこみたい。
爆発が止んだとき、空に浮いていたのはレプリカだけだった。ついに翼を広げたオリジンはレプリカの前へ。あのときの続きを始めましょう。あなたの本気と私の本気、優劣をつけましょう。対するレプリカの言葉。モード:フルバースト、再起動。