かつての神竜戦争、そして敗者である竜界が受け入れざるを得なかったのは、牽制という目的で綴られた火竜。だが、その役目を彼は知らされていなかった。そして、その事実を知るものはごく一部。ふつうの竜のように歳を重ねたオズ。だから、ボクはずっと楽しみだったんだよ。キミがその運命にどう抗い生きるのか。
そろそろ、来る頃だと思ってた。ここは空なのか、宇宙なのか、地上なのか。右も左も上も下もわからない不可思議な空間で、静かに刻を眺めていたウラノス。そして、そんな彼に対する来訪者は、彼と同じくフェイスペイントが施された男。俺はオマエに力を与えた。そして、その意味がようやく果たされる刻さ。
俺はあなたに感謝しています。天空神ウラノスへ頭を下げた来訪者、創竜神。あなたが俺を選んでくれた、だから俺はふたりの友を守ることが出来た。そして今度は、そんなふたりが手をとり共に歩き始めたイマを守りたい。だからどうか、俺に力を貸して欲しいんです。返された言葉。俺に神界を裏切れ、ってことか。
兄さん、いったいどうしたんだい。リヴィアが驚いたのは、ヒスイがらしくない服装をしていたから。着てみてくれって、渡されたんだよ。その言葉で、そのらしくない服装の犯人はすぐに判明した。そして、その犯人はそんなふたりのやりとりを、少しだけ開いた扉から覗いていた。知的なお兄様も、ブイっ、ですね。
ここはもちろんパラレルワールド。文字数制限により、ややこしい説明は割愛する。さぁ、行くわよ、我が息子たち。クールな装いのリリンと、そんなリリンが引率するふたりの息子。向かったヴィレッジヴァンガード常界店。だが、リリンの目的のものは置かれていない。オンライン限定だったなんて、知らなかったの。
綴られた存在。だが、そこには確かに命が存在していた。過ごした時間が存在していた。なぜ、僕に力を与えてくれなかったのでしょうか。嘆き。憂い。だが、その感情が突き動かした心。そう、僕は道化竜。だから、最後まで道化を演じるだけです。
訪れたのは、家族3人で仲良く過ごす休日の昼下がり。頼れる長男と、頼られたい次男、そして我関せずな長女。3人の間で繰り広げられる、たわいもない世間話。そんなありきたりな幸せな景色が訪れたのも、ヴィレッジヴァンガードのおかげでした。
ぴょこぴょこと動き回るふたりの息子。そんな愛くるしい息子たちを優しく見守る美しい母親。これもまた、本来であればありえないような、ごくありきたりな幸せの景色であり、そのすべては、やっぱりヴィレッジヴァンガードのおかげでした。
感動の再会はそこまでです。研究所に現れたベオウルフ。彼らもよく頑張ってくれましたよ。その言葉は横たわった画神たちへと。それでは、二回戦を始めましょうか。その体で、いったいいつまで持つでしょうか。本当は回収したかったのですが――。
――壊してしまいましょう。殲滅対象、研究所及び、レプリカ。さぁ、存分に暴れるがいい。飛来した5つの影。先陣をきって炎を撒き散らしたのは、すでに自我の失われたデラト。竜を手なずけるのは、やはり楽しいものだ。パーティーを始めようか。
デラトに続き現れたアング。そしてアングもまた、自我は失われていた。君たちの残りの体力で、いったいいつまで持つだろうか。そう、先の戦いで研究所の戦力は半減していた。命乞いの時間は終わったんだ。ただ這い蹲り、己の無力さを嘆くがいい。
ラブーもまた、自我は失われていた。そして、ただ滅びゆく現状に涙を流す。どうか来世は愛に包まれますように。涙すら流さないように、決して苦しむことのないように、逝かせてあげるから。安らかな死、それこそが彼女の愛の形の最終形だった。
一方、世界の悲しみを叫び続けるサッド。どうして自分がこうなってしまったのか、いまとなっては考える思考回路すら残されてはいない。だが、それでもサッドは本質的に感じていた。いま世界を襲う悲しみこそ、イマの世界における最後の悲しみと。
憎しみにとらわれたヘート。引きずりだすことすら出来なくなった生体管理チップ。憎むべきは己か世界か。だが、そんなことはいまのヘートにとってはどうでもよかった。憎しみの答えにすら興味を示さず、ただ目の前の獲物を狩りたいだけだった。
ベオウルフと特務竜隊を前に、抵抗すらままならない残された天才たち。壊れ行く研究設備と、失われゆく血。だが、そんな形勢を逆転させる一太刀。僕は君たちを竜だとは認めない。そう、研究所に現れたのは竜の血を誇りに思うリヴィアだった。
怪我人が出てきたところで、なにも変わりやしないよ。リヴィアをあざ笑ってみせたベオウルフ。それでも、君たちくらいの相手なら、いまの僕でも十分だよ。僕を昔の僕だと思わないでね。リヴィアがみせた自信。僕は決して鍛練を怠りはしなかった。
リヴィアへと襲いかかる5匹の竜。炎や、爪、牙、すべてをかわしながら、軽やかに抗戦してみせるリヴィア。僕にはなさなきゃならないことがある。だから、こんな場所で終わるわけにはいかないんだ。君らにみせてあげる、古竜衆の意地ってやつを。
鞘から引き抜かれたリヴァイアサン。この竜刀をもって、竜を制し、竜の威厳を示させてもらう。右への太刀。引き裂かれるは炎。前への太刀。飛沫へと散る水。左への太刀。終わる愛。後への太刀。途絶えた悲しみ。そして上への太刀。憎しみは終へ。