常界に訪れたホワイトデー。今日は俺から、みんなに愛をお返しだっ。会場に流れ出したのは常界のポップスターのホワイトデーコンサートの始まりを告げる1曲目。そう、なぜかその1曲目のイントロを奏でていたダンテ。まぁ、日頃世話になっているからな。そう、ステージ上でも密かなお返しがされていたのだった。
実験に次ぐ実験。スポイト、ビーカー、メスシリンダー。揺らめくアルコールランプ。めずらしく真剣な表情を崩すことのないヨハン。そして次の瞬間、フラスコの中で生じたビッグバン。溢れる煙が収まったとき、そこには新種の生命が生まれていた。やった、実験成功だよ。これを配れば、みんな喜んでくれるはずさ。
今日はホワイトデーだっけ。ニコラスは帰り道、コンビニの前に車を止めた。適当に買ってきゃいいだろ。優しいのか、優しくないのか。ちょっと待っててな。そして、ガードレールに結ばれるペンギン。なぜか車から降ろしていた。優しいのか、優しくないのか。そんな、誰よりも掴みどころのない男のホワイトデー。
ときおり、統合世界は季節感が失われる。クリスマスにサンタクローズが登場する。当たり前のようで、実は季節感を超越した事件。また、バレンタインデーにもサンタクローズが登場する。これもまた、季節感が失われた出来事。そして、ホワイトデー商戦に意気込むジャックランタン。そう、季節感は再び失われた。
ジャックランタンの密かな悩み。ハロウィンに合わせてスイーツショップを開業したものの、自分の素性のせいで商売は行き詰っていた。そして知ったのはバレンタインに暴れたサンタクローズ。こうなったら、ホワイトデーは私に稼がせてもらうわ。
聖常王と共に残った四大従者。対して、神界へと向かうアカネ、アオト、ミドリ、ヒカリ、ユカリ、ギンジ。ライル、リオ、三魔獣士、旧教団員。少ない戦力であり、大きな覚悟。そして彼らとは別に、また別の動きを始めた者たちも存在していた。
辿り着いた神へと抗う塔。違う、ここはあのときの塔じゃない。そう、かつての塔とは様変わりしていた。そして、アイツもいないみたいだ。見当たらないギルガメッシュの姿。みんな油断するなよ。開かれた塔の扉、そこには無数の怨念が蠢いていた。
踏み入れた塔。灯されていた明かり。僕はこの場所を知っている。アオトが口にした言葉。あぁ、よく似ているな。口を挟んだのはショクミョウだった。ただ静かに辺りを見回すサフェス。そう、かつての教団を模していた内部。気をつけろ、誰かいる。