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捨てられた少女は食べ物が欲しかった。胃を満たせるものなら、何でも良かった。そうだ、キミに永遠の甘い飴を約束しよう。でもね、その代わりに、その命を預けてくれないか。そうして、名前もなかった少女はフェルノとして育てられた。そして、自分が徐々に人ではなくなっていく感覚さえ、愛おしかったのだった。
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偽りは炎か竜か。あぁ、私はいつ生まれたのか。徐々に失われる記憶。そして、徐々に失われる人としての肉体。そう、肉体ですらも人間であることを忘れ、竜に成り代わろうとしていた。上出来じゃないか。そんな偽炎竜に拍手を送る男。ようこそ、完全世界へ。そこにいたのは、砂上の楼閣に苦しむ教祖ではなかった。
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今日って日も風はファンキーだ。思わずスィング・ア・ソング。オレってば、やっぱり最高にイカすぜ。だがよ、ちょっとご機嫌すぎるのも困ったもんだ。さっきから髪の毛が揺れて仕方ねぇ。暴れ馬なベイビィウィンドも、可愛いもんだぜ、ベイベ。
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神が描いた二重螺旋を弄れる者がいたとしたら、それは神以外に存在しないだろう。もし、神でない者が手を加えたとしたら。血の反発、それは混種族<ネクスト>ではなく次種族<セカンド>にのみ訪れる災厄だった。ぶつかり合う血は、止まらない。