あーあ、なんで私が料理担当なのよ。不満を漏らしながらも、重箱へと料理を詰めていたオリエンス。どれどれ、ちょっと味見しちゃおっかな。って、お箸って難しいのね。それでも一生懸命、口へと運ぶ。うん、美味く出来た。そうこうしているうちに、時計の針は0時へと。そろそろ出発の時間ね、さぁ、行こうかな。
負けない、僕は絶対に負けるわけにはいかない。なぜか戦っているアリトン。鳴り響く羽子板と、羽子の羽ばたき。また、わたくしの勝利ですわ。そして、頬につけられた落書。次こそは、絶対に負けないから。だが、負ける。わたくしに挑もうなど、100年早いですわよ。さて、お遊びはここまでにしておきましょう。
よし、これで苦しくないな。パイモンは着物の首元を緩め、満足げな笑みを浮かべた。そして、そのまま隣の部屋へ。さぁ、お着替えしましょう。まずは肌着を着てください。これくらい、ひとりで出来る。だが、その言葉を聞き流し、着付けを進めるパイモン。やっぱり、思っていたとおり、とってもお似合いですよ。
和室には空の酒瓶が転がっていた。カリカリ。聞こえた音。オメェも飲むか。なんだ、飲まねでのか。そんな光景を見つめていた四人。猫に絡み酒って、酷いわね。おいていきますか。僕はどっちでも。仕方がない、あれでも私の従者だ。こうして、大晦日の夜、五人は家を後にしたのだった。わたくしは、お留守番です。
それじゃ、行こうか。鳥居をくぐり、石畳を歩く五人。皮肉なものだな、この私が初詣だなんて。教祖として崇められていた偽りの神はもういない。だが、楽しいものだな。こうして、皆と共に年越しを過ごすのも。クロウリーが見つけたのはほんの小さな幸せ。明けましておめでと、今年もよろしくお願いします、っと。
もし、統合世界に争いが存在していなかったら、普通に笑って過ごせる正月は存在していた。そんな、もしものお正月。ひとつ屋根の下、寄り添う五人と仲間たち。今日が料理当番なんて、ついてないわ。だが、それでもオリエンスは楽しそうだった。