竜界で行われていたハロウィンパーティー。なぜ、パンダが空を飛んでいるのか。なぜ、棺桶があるのか。なぜ、誰かが眠っているのか。なぜ、懐かしい誰かの服を着ているのか。無数に存在している不可解な現象。細かいことは気にせずにさ、いまを楽しもうぜ。ヒスイは誰よりもハロウィンパーティーを楽しんでいた。
なんで、僕までこんな格好を。不思議なハロウィンパーティーに巻き込まれたリヴィアは不満を口にしていた。だいたい、僕はこんな遊びをする暇があるなら、鍛練をしたいのに。だが、そんな尖らせた口を緩ませ、頬を火照らせた一言。おお、刀より似合ってるんじゃないか。それは彼が兄さんと慕う存在の一言だった。
空飛ぶ色取り取りのパンダ。常界の仕来りを学ぶのも大切なことです。不思議な竜界ハロウィンパーティーの首謀者、それは魔女っ子になりたかったシオンだった。ふふ、みんな楽しそうでなによりです。この不思議なハロウィンパーティーが現実なのか、それとも魔法だったのか。それは彼女だけが知る秘密だった。
突如、竜界の空を覆った無数のパンダの群れ。いったいなにが始まるのか。そこに住む竜たちは理解に苦しんでいた。だが、ひとりの竜を知る者たちは、これがその竜の仕業であるということは一目瞭然だった。こうしてドラゴンハロウィンは始まった。