オレについてきてくれるか。王としての笑みを浮かべた魔王の言葉。その言葉の意味を、在りし日のファティマは頭で理解していた。そして、失って初めて気づく本当の意味。あの日、心の理解がおいつかず、ただ残された後悔。私は、あの日のあなたを否定しない。そして、過去を肯定し続ける生き方を選んだのだった。
うーん、失敗しちゃったかな。ビヨンドから発せられる狂気。水聖人は世界の行く末を気にすることもなく、ただ自分の好奇心と向かい合っていた。どうして、彼は完成したんだろう。思い出すのは、神界へと赴いた天神の獣。とりあえず、適当に処理しといてよ。こうして、ビヨンドは失敗作として廃棄されたのだった。
で、そっからがオレのスゲェところよ。超越獣ビヨンドは、飴を咥えた子供へ自慢話を続ける。そう、オレは狂気を押さえ込んだんだ。後天的なセカンドの完成形。お兄ちゃんは、それで幸せなの。それはだな、えっと。素朴な疑問に、回答を持ち合わせていない彼。だったら、いまから幸せになればいいだけだぴょん。
進軍を続ける魔界軍。オレたちの未来は、オレたちの手で作ろう。指揮をとるのは自ら先頭に立った魔王。その真直ぐな言葉を信じる配下達。流れ続ける血と涙。それでも、悲しむそぶりを見せぬ魔王の姿を、ファティマは羨望の眼差しで見つめていた。