聖王代理のすぐ隣にいたのは樹杖型ドライバ【ブリージア】を手にしたマーリン。まだ彼の行方は掴めませんか。少し不安そうな声。大丈夫よ、私達の王は絶対に、死んでも死なないような男だから。それにね、うちの子達もあの頃より頼れるのよ。二人はにやりと笑う。そうでした、彼と、彼が選んだ部下達ですもんね。
僕は僕の出来ることをしなければならない。そして一人、向かった先は天界の外れ。やっぱり、ここにいる気がしたんだ。そこは在りし日の聖王と聖者がよく喧嘩をしていた川沿いの土手。彼女と話をさせてもらうよ。優しい表情のまま発した殺意、仕方なくその場を後にした雪術師。共に行こう、彼に、お帰りを言いに。
勝手についてきちゃ駄目だよ。そう言いながらも優しく頭を撫でる悪戯な神。だが、言葉を発することのないタマの視線は常に一人の男へと向けられていた。君たちは、似たもの同士なのかもしれない。言葉を発しないもう一人の男。彼のことが気になるのかな。なぜ少女が彼を気にかけるのか、全ては思い出の中だった。
狂騒獣タマは、彼らのやりとりをじっと見ていた。悪戯神のすぐ隣で綴り続ける少女、その隣で虚ろな目で空を見つめる堕王、そんな三人を気にせず研究に没頭する堕闇卿。更に四人を気にも止めないのは客人であるはずの神才。まだ、彼らは来ないみたいだね。悪戯神達は待っていたのだった。退屈は好きじゃないんだ。
魔物はみな、死ねばいいのよ。何が彼女をそこまで掻き立てるのか。裏切り者の闇精王も、あっちにいるのよね。闇の力が、魔物のものだなんて、誰が決めたのかしら。魔物がいなくなれば、私の両親は。それにもう、隠れて生きる必要もなくなるのよ。
もし、辛いことがあったのなら、いつでも遊びに来て良いですからね。そんな場所があれば、何人が救われただろうか。だが、そんな場所に、行きたくても行けない人もいた。だから僕は、もう後悔はしたくないんです。心優しい青年は、自分の戦いへ。