遂に二等悪魔へと昇格を果たし、炎刑者の二つ名を名乗ることが許されたフレイムタン。罪人を焼き尽くすのは魔界<ヘリスティア>の悪しき炎。瞳に映る赤は、彼が追い求めていた真紅の赤。卒業試験まであと少し、最後に課せられた課題は自らを666回殺すこと。死刑執行人は罪人を殺すと共に、自らを殺し続ける。
昇格試験、6回殺すべき相手に選んだ青い瞳の男は、すでに罪人ではなくなっていた。罪人以外を殺めてはならない、それが死刑執行人学園の規則。追い続けた目標を失くしたアイスブランドの心は更に冷たく、そしてその冷たい心はいとも簡単に罪人を6日以内に6人、6回殺め、氷刑者の二つ名を背負うこととなった。
二等悪魔に昇格しようともマスクを手放せないでいたのは、まだまだ人見知りで恥ずかしがり屋なウィンドピア。そんな彼女も今や風刑者を名乗り、穏やかな風すらも罪人を切り裂く刃に変える風の死刑執行人<エクスキューショナー>となった。卒業まであと少し、優しい彼女は自らを666回殺すことが出来るか。
止まることを知らないマイハニーへの想い、咥えたバラは求愛の証。種族を超えた愛が、立ち塞がる壁が彼を夢中にさせた。自らを高め、二等悪魔への試験も一発合格。だけど、光刑者の二つ名を得たライトブレードは知らない。追い求めていたマイハニー、光の妖精が求めていたのは、性別を超えた愛だということを。
次なる昇格試験の真意に触れた時、その手は震えていた。一つ、対象の心を殺す、二つ、対象の世界を殺す、三つ、対象を殺す、四つ、対象を知る者を殺す、五つ、対象の記録を殺す、そして、六つ、対象を殺した者を殺す。完了する6回の殺し。自らの命を6回絶つことと引き換えに、ダークサイズは闇刑者となった。
罪人へ無の刑を与えることこそが自らの正義と信じ、そして貫いた武士道は彼を無刑者へと、二等悪魔へと導いた。だけど、卒業試験の束の間の休息、訪れた極東国<ジャポネシア>の京の都の鴨が泳ぐ川の隣、石畳が続く街の片隅で、枯れることなく咲き誇る桜を前に、聞こえてきたのは諸行無常の響きだった。