これが彼の選択みたいだよ。悪戯な神の微笑みは喜びに満ちていた。少し伸びた前髪の隙間から見つめた大いなる希望。王都ティンタジェルの玉座、そこにいたのは人でも妖精でもなく、神の道を選んだ聖神アーサーだった。天高く掲げた剣、轟く雷鳴、崩壊する王都。王でなくなった男に、王都も、民も、必要なかった。
優しき人の血、綴られし妖精の血、禁忌の神の血、男の体に流れていた三つの血。そして男は、王都に訪れた大いなる希望を前に神の血を選択した。捨てられた人の血と妖精の血。それは人として過ごした永遠の思い出を、妖精の血による繋がりを捨てたのと同義だった。大いなる希望が、男にその選択をさせたのだった。
君に邪魔されたくないみたいなんだよ。王都からほど近い上空、近づいていた偽物の機体の前に現れたのは神才。だからちょっとの間、遊んでもらえるかな。神才の背後には目を覚ました六体の機体。だが、臆することのない偽りの機体。燃えるように稼動するエレメンツハート。再起動<リブート>、モード:ホムラ。
あなたには、沢山の想いが乗せられているよ。聖無才が収集したデータは、全てレプリカへ込められていた。偽物だけに搭載されていた機能、それは偽者であるが故に、何物にでもなれる自律変化の機能だった。撃墜された風速機と光明機。本当に凄いよ、君は。感動を覚えた神才。再起動<リブート>、モード:マブイ。
続け様に撃墜された炎熱機と闇磁機。再起動<リブート>、モード:カグラ。そして、残された水冷機と無音機が撃墜されるまでに5秒も要さなかった。息一つ乱れることのないレプリカ。君は本当に強いんだね。そして神才もまた、不安一つみせることはなかった。だからそろそろ、出番をお願いしちゃっていいかな。
そして、神才とレプリカの間を割って現れたのは原初の機体。立ち上がらなければ、二度も同じ目に合わなかったのに。再起動<リブート>、モード:ナユタ。それでもあなたは、偽物なの。ぶつかり合う光と光。互いに一歩も引くことのない攻防戦。本当に気に入らないわ。原初の機体は授けられた大きな翼を広げた。
翻訳っていうのは、人によって意味が変わるんだよ。そして、そのすべてが正解なんだ。だから、僕は新たな解釈をしようと思う。黄金の夜明けが訪れた統合世界の裏側には、完全な夜が訪れている。そう、いつだって世界はそういうものなのだから。
そして、そんな少年の推薦者として名乗り出たのが、現最高幹部として君臨していたギンジだった。俺はこいつを信じる。だからどうか、みんなも信じてやってくれ。突如現れた英雄に、常界の不安に怯える人々は歓喜した。そう、王が再誕したと。
これはアイツが私に教えてくれたことだ。人は悲劇を乗り越え、強くなる。そう、だから利用させてもらっただけさ。こうして生まれた「偽りの王」。皮肉なものだな、私は結局、偽ることしか出来ない。だが、今度は最後まで偽り抜いてみせようか。