ねぇ、どこにいるの。私をひとりにしないで。ずっと一緒だよって、約束したじゃない。魔界の最果ての地、初めての友達を探して彷徨う少女がひとり。友達とお揃いの、紫色したストールを握りしめて。出会いは突然に、そして、別れも突然に。ヴァルプルギスは【サヴァト】と共に、初めての友達を探し続けていた。
なんで、私がわからないの。私のこと、忘れてしまったの。ずっと一緒だって、嘘だったの。友達なら、私がいるよ。私だけの、友達でいてよ。そっか、みんな、殺しちゃえば、いいんだ。そしたら、世界は、私と、あなたと、ふたりだけの世界ね。ヴァルプルギスは【サヴァト・メア】と共に、魔女王の力を暴走させた。
魔界<ヘリスティア>の最果ての地、そびえ立った不夜城ナイトメアの子供部屋、泣き疲れた少女がひとり。探していた友達との再会は、少女を失意の底へと突き堕とした。暴走した魔の女王は、常界<テラスティア>へ向け、大切なストールを翻した。
来客だ。教祖は告げる。どうすんの。アマイモンは問う。殺さずに、連れて来い。彼はその意味が理解出来なかった。冗談は止めろ。多銃砲型ドライバ【ベルセルク】に詰める弾。ここは僕が。水通者と共に現れた西魔王。女連れがしゃしゃんなよ。向けた敵意。君には、特別な任務を与えよう。教祖は言葉と共に消えた。
道化竜の家族は解放された。だが、その裏には北魔王アマイモンが存在していた。手を上げてもらおうか。永久竜の背後、突きつけられた多銃砲型ドライバ【ベルセルク:ゴア】と、更にその背後に潜む無数の教団員。けひひ。笑顔を浮かべる東魔王。そいつらと、交換といこう。鳴り響く無数の銃砲。レッツ、ハッピー。
クロウリーは言った。世界は完全であるべきだと。完全という言葉が何を意味しているのか、それは団員でさえも確証を得てはいなかった。ただ、その真っ直ぐな瞳が見つめる未来を見たい、見てみたい、そんな想いが集まっていたのだった。神に救いを求めよ。だが、そんな言葉を発した少女は、紛れも無く人間だった。
創られた神格は彼女を苦しめ続けていた。でもそれが、私という人格なのだから。教祖クロウリーが右を向けば右を向く。あぁ、なんて健気なんだろうか。そして込めた皮肉。完全世界など、夢のまた夢。終わらせるのも、また私の役目か。砂上の楼閣に気付かない、愚か者達め。彼女の苦しみに、気付く者はいなかった。
そこに無は存在していた。それは悲しみでも、幸せでもない感情。人は悲しみを感じるからこそ、幸せを感じることが出来る。だったら、多くの幸せは、多くの悲しみから生まれんじゃね。それが北魔王の持論であり、決して間違った理論ではなかった。
大丈夫、きっとこの災厄はどうにか収まるはずです。マリナには確固とした自信があった。そして、そのときこそ、わたくしがここにいる意味を果たさなくてはなりません。そう、こうなることを望んでいたんです。いまこそ、わたくしたちの好機です。