私が、もっと早く動き、そして気付けていたら。大切な配下を失った竜王は後悔を口にしていた。共に戦った湖妖精に別れを告げ、咎人となった少女を連れて竜界へと。そして竜界代表が新生世界評議会の会議から戻って来た時、新たな物語は動き出す。
湖畔で肩を休めていた少年に問うのは、かつて炎を交えた聖銃士。私達の、王は。真実を知り、崩れ落ちる少女。そっと肩を抱き寄せる少年。あの子達はきっと、自分の足で歩いて行くよ。見上げた空、だけどそこに、かつての理想郷は存在しなかった。
極東国の千本鳥居、神主狐に匿われていた少年。君に、伝えなければならない話がある。それは新生世界評議会で魔界代表が読み上げた手紙の内容、聖戦の序章。友達と弟と、どうするんだい。少年は雨空に手を伸ばし、そして微かな水滴を握り締めた。
閉じた刻の狭間、封じられし開かれた扉の神。ここで、永遠を迎えましょう。観測者は再び観測を開始する。約束された未来が過ぎ去った世界で、これから始まる聖戦の行方を。再び争う数多の種族、今はただ、出口を求めて。開かれた扉の、その先へ。
世界評議会からの発表です。黄昏の審判は終わり、統合世界は救われました。しかし扉を開いた少年少女と、世界の裏切り者である道化竜は現在逃亡中です。発見次第、殺して下さい。そして、悪戯王の最後の言葉。やっぱり、再創<リメイク>ですね。
ちゃんと挨拶しなって。だが、目を逸らすアリトン、あえて何も聞かない仲間達。そして、そっと発せられた言葉。僕は、弟でもなければ、西魔王でもない。だから僕はね、僕の戦いの続きを始めるよ。それは、旧教祖が与えた特別な任務の続きだった。
飾りの施された竜道閣、そこで開催された誕生日会。なんだか、ちょっと照れくさいよ。恥ずかしさを隠し切れないミドリ。大丈夫、だって私が選んだんだから。親友の心強い一言。それじゃ、みんなで待ってるからね。閉ざされていたはずのふたりだけの世界を開いたのは、未だ見つかることのない道化の火竜だった。
年に一度の誕生日を誰と過ごすかは、世界によって異なるだろう。だが、愛すべき人と過ごすというのは、どの世界でも共通だった。だから、来年は必ず彼らとも一緒に過ごそう。その小さな約束を叶える為に、ふたりは前だけを向いていたのだった。
日常ってなんだろう。アカズキンは想いを馳せる。そう、私が欲しかったのは決して平穏なんかじゃなかったんだ。笑い合える友達がいる。大変なことがあるかもしれない、だけど、それでも大切な友達が側にいる。それが、私の欲しかった日常なんだ。
きっと、私はあのときに死んだんだ。ヒメヅルの言葉は、あのときのふたりの言葉を肯定する為に。だから、こうして友達になることが出来た。戦いが終わり、手を取り合ったふたり。そして、今度は絶対に負けない。いつかまた、戦えることを願って。