シルフが手に入れたのは常界で大人気な初音ミクの衣装だった。これでウチも人気者になれるアル。喜びに心を弾ませた彼女は、自信満々の笑みで天界の歌姫の楽屋へと向かった。アンコールはウチの番ネ。そして、その日の光精霊コンサートのアンコールはカンフー映画だったと、後世に渡り語り継がれるものとなった。
死刑執行人学園で開催された文化祭、君の衣装はこれさ、金髪のクラスメイトから手渡されたのは常界で大人気な鏡音レンの衣装だった。理由もわからずに袖を通したライキリを、そのクラスメイトは至る角度からフィルムに収めた。この売り上げで欲しかったフリルシャツが買える、いつもよりも垂れた瞳は輝いていた。
コスモはプラネタラウンジで開催される、月に一度のとっておきのイベントをいつも楽しみにしていた。そして、その開催日は丁度明日。今回は何を着ようかしら。クローゼットから取り出し、袖を通したのは常界で大人気な巡音ルカの衣装。明日は何人が、最後までいてくれるかしら。支配人は支配者の笑みを浮かべた。
繰り返される縛られた日常に、アカズキンは嫌気がさしていた。そんな、友人の誘いで参加したコスプレパーティー。彼女が着替えたのは常界で大人気なメイコの衣装。その大胆な露出に、少しだけ生まれ変われた気がした。そして、こんな普通の日常が、ただ友達と笑い合い過ごす日常が恋しくなっていくのであった。
氷水研<アモルフォス>に届けられた謎の小包。開けてみると、何故か一度開封された痕跡のある袋に、常界で大人気なカイトの衣装が折り畳まれていた。添えられた手紙には「サイズ間違えちった(´・ω`・)」とだけ書かれていた。シュレディンガーはそれが何の衣装かも知らずに、とりあえず袖を通していた。
一体誰がこの少女を第五世代自律兵器型ドライバだと思うだろうか。その火力は同じ第五世代自立兵器型ドライバを遥かに凌ぎ、普通の人間が束になったところで対処しようのない程である。何故、そんなライコウが常界で大人気な鏡音リンの衣装を着ているのか、それは隣で笑う四人の光の乙女達にしかわからなかった。
すれ違う理想と、ぶつかり合う理念。変革なき平穏を願う天界、犠牲の先の革命を願う魔界。そんな二つの世界を絶対的な力で抑圧する神界と竜界。今こそ、革命の時だ。魔界の王は民の為に立ち上がる。こうして、かつての聖戦は始まった。そして、魔界への対抗勢力の一人に、ヴィヴィアンが存在していたのだった。
カノッサは語る。あなたはもちろん、覚えているでしょう。かつての聖戦が、どのような結末を迎えたのか。戦う力を求め、神の血に近づいた男。守る力を求め、竜の血に近づいた男。そして、そんな二人は、聖戦が終わったとき、自分達が愛した世界に居場所はなかった。今回の犠牲者は、いったい誰になるのかしら。
もし魔界が勝利していたら、私達は危なかったかもしれない。それは魔界の王が、聖戦の先で成し遂げようとしていた理想。今回も、魔界が勝利したら危ないんじゃないのかしら。いいや、今回は指導者が違うよ。彼が成し遂げたいのは、世界への復讐だ。仮面越しに微笑む男。悠久神カノッサは、その笑顔が嫌いだった。
美宮殿に集められた天界幹部。そして、王は魔界への対抗を宣言する。だが、そんな王を真直ぐな瞳で見ることの出来ないヴィヴィアン。だって、あなたは。そんなヴィヴィアンに気付き、優しい視線を返す妖精王。そんなに、悲しい瞳をしないでくれ。