先に仕掛けてきたのは、あなた達の方よ。美闇精将を前に、唇をかみ締めていた菫闇魔将カグヤ。彼女が連れてきたのは、蓮の花に包まれ、深い眠りに堕ちた友の想い。待ってよ、わかるように説明して。いまさら、なにを言っているの。すれ違う想いと、行き違う解釈。あなた達はいつだって、知らないフリをするのね。
その戦いは、夜に始まり、夜に終わる。だが、決して倒れることのない美闇精将クレオパトラ。そして、互いの想いを乗せた最後の一撃。そんな二人を天高くから見下ろす男達。そんなに真剣な顔して、なにを見ているんだい。少しだけ、古い友人の雄姿をと思いまして。それを見届けたら、そろそろボク達も始めようか。
ある日の魔界と天界の合同軍事演習。ファティマはいつもとは異なる格好で現れた。似合ってるが、その格好はなんだ。視察に来ていた聖魔王は尋ねる。剣も少しは心得があるってところを見せたくて。顔を赤らめながらの返答。だが、衣装まで変える必要はあっただろうか。聖魔王は血の足りない頭を悩ませるのだった。
始祖は世界を見つめる。見つめた先に異世界の神の姿がふと印象的に残った。特に理由も感情もない。そう、ただの気まぐれ。次の瞬間、リリンは異世界の女神の格好をしていた。理由は無い、感情も無い、だが来たるべき運命の時までの時間はあった。始祖といえども、気分転換、着替えの嗜みくらいはあったのだった。
オズが空高く放り投げたシルクハット。そして、次々に現れる炎のシルエット。僕はひとりじゃなかった、そう、昔もイマも。被りなおしたシルクハット、亡き友のクラウンは友情の証し。次は僕がケジメをつける番です。まとめて相手をしましょう。
ありがとう、みんな。そう、ミドリの言葉はオズと共に現れた炎の家族たちへ。君たちは、君たちのすべきことを。そして、僕たちは僕たちのすべきことを。再び走り出したアカネたち。目の前の虚城で待っているであろう聖神。統合世界のイマを―。
行かせないわよ。一番に動き出したのは双剣を構えたシグルズだった。だが、そんなシグルズへと向かったのは、オズの背後から飛び出した炎で創られたトト。そう、オズの家族はここにはいない。だが、オズは家族の想いを連れてきていたのだった。
ねぇ、私のこと覚えているかしら。とでも言いたげなドロシーの炎。そして、その言葉は目の前のヘズへ。かつて、ヘズの槍が貫いたドロシーの体。訪れた再戦。何度でも、貫いてあげる。ヘズは槍を振り回し、そして瞳に捉えた獲物へと刃を向けた。