少女を無事に送り届けたし、これで晴れて自由の体になったと思ったら、今度は天界に行ってこいだなんて、まったく酷い扱いだ。それに、深い闇が閉じ込められた洞窟だなんて、誰が好き好んで行くかよ。今度こそ、本当に自由と引換えだからな。
死してなお、愛の為に生き続けた一人の男がいた。涙も流せないその姿に、セイカシャイリウムが贈ったのは心からの聖歌。魔物でありながら、天使の様な姿のまま天界へと昇り、そして目にしたのは、何者かに創り出された存在である妖精王の苦しみ。創られた王であれば、その子もまた、創られた存在なのだろうか。
闇の魔物でありながらも、祝福の優しい哀しみに包まれて天界へと昇ったフラワダクリウム。辿り着いたのは優しさが溢れる天界ではなく、歪さが溢れた天界の裏側だった。ちょっと、そこの鍵を開けてもらえないかな。深い闇が閉じ込められた洞窟の奥、幽閉されていたのは、もう一人の創られた男の妖精王だった。