常界から捨てられながら、それでも常界を愛した一人の王の命と引き換えに、聖なる入口は閉ざされた。だが、既に道化の魔法使いが呼び出した六つの光は天高く聳え立つ塔に降り立っていた。そんな塔を睨みつけ、ギルガメッシュは呟く。この私の体に半分流れる、憎しみの血に制裁を。彼女は一人、塔を上り始めた。
聖なる入口が閉ざされ、本当の意味で統合されたこの世界に、聖なる出口など存在するのだろうか。閉ざされた入口の産物として完成してしまったのは統合世界と上位なる世界を繋ぐとある塔。下位なる種族と上位なる種族、人と神の混種族<ネクスト>である征服王ギルガメッシュが憎んだのは人か、それとも神か。
道化の魔法使いにより、燃え盛る炎の竜は刃へと姿を変え、そして、その刃と呼応するように現われた赤い光が止んだ時、神刃型ドライバ【レーヴァティン】を手にスルトは現われた。幾億万と繰り返されてきた破壊と再生の歴史の果て、聖暦という時代に、再び神は現われた。この統合世界に訪れるのは、破壊か再生か。
天高く聳える塔の最上階、シグルズの手に握られたのは水の刃竜が姿を変えた神刃型ドライバ【フロッティ】だった。各々に散らばり統合世界へと降り立った六人の神達。彼が向かったのは閉じられた聖なる入口。自分を捨ててまで守りたかった弟の手により最愛の女性を失った水を留めし少年へ、更なる悲劇が訪れる。
本来の姿である神刃型ドライバ【ミスティルテイン】へと形を変えた風の竜が求めた宿り木、ヘズはその刃を手にしていた。気だるそうに寝ぼけ眼をこすりながら見渡す統合世界、久しぶりに得た体を慣らす為、少女は一人、閉じられた聖なる入口へと向かうのだった。全ては道化の魔法使いが意図したことなのだろうか。
帰還率100%の神刃型ドライバ【グングニル】はオーディンの手に握られた。天高く聳える塔から放つ神々しい輝きは、そこにこの世界のものではない何かが、そう、神がいるのだと誇示するのに相応しかった。そんな彼女は遥か彼方を見つめ、刃を放つ。何を目掛けて放ったのか、それは彼女のみぞ知る話だった。
闇の竜は刃へと姿を変え、そして生まれた神刃型ドライバ【ダインスレイヴ】を手にしたヘグニは我侭に振舞う。ちょっと、私の椅子はどこよ。天高く聳えた塔の最上階での出来事。この塔では王様にのみ椅子が与えられるのさ。そうはぐらかした仮面の男の奥、唯一の椅子には、虚ろな目の堕ちた王が腰をかけていた。
常界、天界、魔界、三つの世界へと向けられた神刃型ドライバ【ティルファング】を手にしたヘルヴォルは、何故自分が呼び出されたのかがわからなかった。また、わかろうともしなかった。そこに意味を求めず、ただ、再び刃を振るえることにのみ、意味を見出していた。その振るわれる刃は、何を無に帰すのだろうか。